心理科学科 Psychology

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新型コロナ感染症とメンタルヘルス

・新型コロナウイルス感染症の流行は、さまざまな心理的問題をひきおこしています。
・ここでは、このような事態の中で、心身の健康を維持するための情報を整理しています。
・主要な読者層としては、心理学を学ぶ大学生や心理学に興味のある高校生などを想定しています。
・新型コロナ感染症に関する心理支援は、交通や流通と同じ「エッセンシャル」な社会的仕事といえます。
・また、まだ十分に行き届いていませんが、医療従事者を支援するという重要な社会的役割もあります。

先生方からのコメント

新型コロナ感染症に関連した課題について、先生方からコメントをいただきました

新型コロナの時代と心理学 (八田武志学長)

医療における心理学の役割を振り返ると、科学的測定への貢献が大きいことが分かります。特に、知能検査や人格検査などは、概念に数値を与えることを可能にしてきました(ご興味のある方はこちらをご覧ください)。
新型コロナ感染症が拡大している現在は、心理学はさらに積極的にその社会的役割を果たしていく必要があります。心理学に関わる者は、医学的検査や測定についての理解を深め、測定値の価値について思考し、学問分野をまたいだ高いコミュニケーション力が求められていると考えられます。

コロナ流行のストレスへの中長期の心構え(山田冨美雄学部長)

さまざまな災害に際して、私たちに大きく影響するのはストレスです。特に、災害が長期化する場合には、心理的ストレスにどのように対応するのかが、一人一人に健康や幸福に重要になります。そして、心理的ストレスへの対応を支援する社会的活動も重要になるのです。
災害への支援として、心理学的応急処置(サイコロジカル・ファースト・エイド;PFA)があります。新型コロナ感染症の世界的流行についても、この活動が重要だと考えられています。
左の図は、日本赤十字社のPFAのリーフレットに掲載されている行動原則ですが、専門家でなくても、誰かを支援する時に大切にしたいことが含まれています。誰かを支援する時の参考にしてください。

ふだんよりも攻撃したくなる気持ち(相谷登先生)

感染症の流行は、偏見や差別を誘発することが少なくありません。今回の流行に伴って、アジア人への差別がニュースになっている国もあります。また、それを煽っている国家指導者もいるようです。
私たちにできることは、1)正しい知識を得て広める、2)社会的影響力のある人たちを巻き込む、3)感染経験者の声を広める、4)社会の多様性を示す、5)倫理的な報道を進める、6)偏見を助長する言説に異議を唱える、ことです。
ここに紹介した内容は、アメリカ心理学会の公式サイトに掲載された記事を日本心理学会のHPで紹介したものです。詳しくは、こちらをご参照ください。

イライラした時の対処法 (島井哲志先生)

私たちの生活は、今年のはじめに新型コロナ感染症が発生したことで大きく変わってしまいました。そして、少なくともしばらくの間、元に戻ることはないだろうと思われます。
しかし、私たちは、頭の中で、本来はこうであるはずだと考えてしまいます。大学生なら、キャンパスで友だちとお茶を飲みながらおしゃべりをしたり、サークル活動をしたりすることを思い浮かべるかもしれません。思い描いている生活と、現実にそうしなくてはいけない「新しい生活様式」との間のギャップは、イライラを生み出し、不安にさせます。
この冊子は、ストレスマネジメント学会の「新型コロナウイルスに負けるな」のページで紹介されていますが、セルフヘルプで乗り切るためのコツを分かりやすくまとめています。
金子書房のnoteにも関連の情報「今こそポジティブ心理学」があります。

不安と上手に付き合う (小笠原將之先生)

新型コロナウイルスは、若年者は感染しても無症状もしくは軽症で済むことが多いものの、合併症を持った方や高齢者では重症化する可能性が高くなります。
そして、各自が社会の一員としての自覚と思いやりを持ち、自分が知らないうちに感染しているかもしれないということを忘れず、個人衛生に気をつけることさえ肝に銘じておけば、あとはそんなにやみくもに恐れる必要がないということも分かってきています。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、それまでに持てていた漠然とした安心感が揺さぶられ、強いストレスを感じておられる方もいらっしゃるかも知れません。ただ、そのような時だからこそ、いたずらに不安を煽られることなく、むしろ不安と上手につきあっていく、というぐらいの気持ちの余裕を持っておくことが大切です。このような「気持ちの余裕」について考えることも、心理学の重要な役割の一つです。

人との関係とレジリエンス (谷向みつえ先生)

レジリエンスという言葉があります。力を加えられた時にどれくらい撓(たわ)んで跳ね返す力があるのか、元は物理学の言葉ですが、心理学では弾力性や復元力、不利な状況における精神的回復力といった意味で使われます。人に備わる適応力の1つと捉えていいでしょう。 
このレジリエンスを育むには、幼少期に大人と深い信頼関係を持ち、内省力を養うことが重要と言われています。安全で安心できる関係に支えられてこそ、自分や事態を調整する力が健全に育ち、バネのように強靭なレジリエンスが形成されるわけです。つまり、人とのつながりに支えられてこそ人は強くなれるということです。 
このwithコロナの時代を生き抜くために、今一度、人との関係を見つめ直しレジリエンスを忍耐強く発揮する必要があるでしょう。 

あふれる情報の受け取り方(津田恭充先生)

新型コロナウイルスの流行で、トイレットペーパーが(実際には在庫が十分にあるにもかかわらず)足りなくなるという情報が拡散され、一時期混乱が生じました。
人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に影響されやすいという特徴があり、これをネガティビティ・バイアスと呼びます。
「トイレットペーパーの在庫は十分にある」「トイレットペーパーが不足している」というふたつの情報があった場合、後者のほうが注目されて拡散されるわけです。特に非常事態ではネガティブな情報が爆発的に拡散される傾向があります。こうした人間の特徴を把握し、その情報が事実なのかどうかを冷静に確認することが大切です。

コロナ流行中の受験生活で気をつけたいこと(松本敦先生)

現在のコロナ禍の状況で受験生は大きなストレスを抱えていることと思います。入試がどう行われるのか不透明な状況で勉強に集中できないのも仕方がないかもしれません。そんな受験生の皆さんは、テレビを見る時には、できるだけ楽しい番組を見るようにしましょう。
ドイツの研究グループによれば,人間は、他の人がストレスで苦しんでいる様子を見ているだけで、ストレスホルモンが分泌されます。つまり見ているだけでストレスが増すわけです。
コロナの状況下,テレビは苦しんでいる人達のニュースが多いですが、わざわざストレスを感じる必要はありません。楽しい話題,楽しい番組をみてリラックスしてつらい時期を乗り越えましょう。

新型コロナ感染症とメンタルヘルスについての論文情報

・新型コロナ感染症については、治療薬や予防に役立つワクチンの研究が盛んに行われています。
・ニュースにも取り上げられていましたが、ワクチンの領域は、論文取り下げもあるほど過熱しています。
・これに次ぐ勢いで、多くの研究や実践が行われているのが、心理学・メンタルヘルスの領域です。
・多くの心理学の専門家が熱心にこの問題に取り組んでおり、その社会的ニーズも高いのです。
・ここでは、コロナの問題に、どのように取り組んでいるのかも含めて、英語で書かれた研究を簡単に紹介します。
・心理学に限らず、科学的知識の95%以上が英語で発表されており、それを読む必要もメリットも大きいのです。
・この後にも書いてありますが、査読前という状態で公開されている内容も含まれていることをご承知ください。

研究情報の公開と迅速化

現在、新型コロナの研究は非常な勢いで進められています。そのひとつは情報の公開です。ふつう、学術研究誌は、それを購読している機関や研究者しか読むことができません。しかし、現在は、新型コロナに関連する<英語>の情報は完全に無料でだれでも(あなたも)読めます。(残念ながら、日本語で書かれた情報は従来通り著作物として管理されています)
さらに、ふつうは、査読という審査プロセスを経て間違いがない論文となってから公開され、半年くらいかかっていたのですが、現在は、その前の論文がネットで公開されています。
ここに挙げたのは、COVID-19への恐怖感尺度ですが、3月27日に元の
英語の論文が公開されました。その日本版の作成したデータが査読前の論文(Masuyama et al.)として公開されてます。論文の質は各自が判断しなければなりませんが、情報が流通するスピードがとても速くなり、このディジタル時代への変化は、科学の世界を変えていくでしょう。

非常事態宣言と心理的苦悩

日本では、 非常事態宣言が出され、全国の教育機関は休校になり、また、人の多く集まるさまざまな商業活動が制限されました。
この
研究(Yamamoto et al.)では、そのおよそ1か月後の5月11日—12日にオンライン調査で1万人以上の18-89歳の男女のデータを分析しています。
その結果、K6という抑うつ傾向を評価する指標では、図に示されているように、それ以前の全国調査の割合(おおむね30%未満)と比較して、心理的苦悩があると回答した総割合が48%に達していることが示されました。そのうち、13点以上のリスクの高い人の割合は11.5%でした。これらの人たちでは、孤独感が高く、対人関係が悪化し、睡眠不足で不安傾向にあり、家計の悪化、仕事や学業の問題をもっていることが示されています。

予防行動と不安や性格の関連

緊急事態宣言後の4月8日に、日本全国の一般市民1856名のオンライン調査から、その予防行動と不安や性格の関連について検討されています。
この研究(Qian & Yahara)の結果は、性格、道徳的基盤、イデオロギーと、精神的負担、意識的予防行動、生活充足評価、自分への評価、医者への信頼その他の要因の関連が分析され、結果は、ちょっと複雑ですが、ここに挙げた図に示されています。性格として、神経質傾向の人ほど予防行動をとるが、他人の努力や医者への信頼度が低く、協調性の高い人はストレスが低く、他者への評価が高い特徴があることが指摘されています。
この図は、論文ではなく、大学のHPのニュースプレスリリースとして情報発信されています。このような事態における発信は、論文を公表すること(専門家の情報交換)だけではなく、一般の人たちに対しても努力するべきだという考えが実践されています。

自分と他者の予防行動をどう評価するか

緊急事態宣言下のゴールデンウィークの間に行われた3892人を対象としたオンライン調査(Sakakibara & Ozono, 2020)では、人込みを避ける、外出後に手を洗うなどの感染予防行動の実践に関連する要因として、自己の感染リスクや感染させるリスクの認知、周囲の評価、周囲への同調・調和、国・自治体の要請を取り上げて検討しています。
その結果、自己および他者の感染リスク認知、周囲への同調・調和、自己と他者を感染させないことが予防行動に影響する要因としてあげられています。社会的に効果的な対応のためには、どこに働きかけるのかを把握することが重要です。
また、自己の予防行動の評価は高いものの、国民全体の評価は低くなりました。メディアのニュースなどで、十分に予防していない人が取り上げられることの影響も指摘されています。


新型コロナ感染症と自殺の低下傾向

新型コロナ感染症の流行によってメンタルヘルスの状態が悪くなっているとすれば自殺の動向がどうなのかも気になりますが、この論文(Sueki & Ueda, 2020)では、新型コロナ感染症の流行前と緊急事態宣言下での自殺念慮の変化をインターネット調査しています。
図に示したように、感染がほとんどなかった1月(T1)と4月末(T2)に追跡調査を実施して6683名の回答を得て、その内訳は、男女(男性51.2%)、平均年齢は46.5±13.8歳です。
調査の結果、警戒宣言下の4月の自殺念慮レベルの平均は1.59と、1月(1.71)に比べて有意に低下しており、この傾向は、2020年の警察統計による自殺者数が、過去2年の同じ時期の自殺者数と比較して低いことと一致していました。一方、若年で低収入の集団では自殺念慮の増加がみられており、パンデミックがもとから脆弱な集団に大きな影響を与える可能性が示されている結果となっています。
折れ線の自殺者数は、7月には例年と変わらない値になっており、この低下傾向が今後の動向に影響するのかも注意が必要です。→次の項を見てください。

女性の自殺の増加とその要因

7月から9月にかけての自殺の推移についての研究論文が発表されています。
この論文(Nomura et al. 2020)では、警察統計による月別の自殺者数について9月までの分析を行っています。 
世界の研究からは、一時的な自殺の低下の後に自殺の増加が示唆されていますが、このデータでは男性の自殺の増加はみられていません。
しかし、女性のデータでは、図にあるように7月から9月まで縦棒が突き抜け、過剰な増加が示されています。この要因として家庭内暴力の影響も考えられていますが、それよりも非正規雇用の多い女性では、その経済状態に大きな影響を与えていることが指摘されています。
論文には明言されていませんが、女性が非正規で雇用されることが多い現状を変える政策が、この自殺増加の対策としても求められているといえます。

19歳以下の自殺も増加傾向

この研究(Tanaka and Okamoto)は、厚生労働省の市町村レベルのデータを用いて第2波と呼ばれる10月までをていねいに分析した報告です。
やや長文ですが、第2著者の所属からのプレスリリースや、第1著者による日本語サマリーNoteでも発信され日本語でも読むことができます。
上の二つの論文に紹介してきたような自殺の一時的な減少の後、7月以降には月別自殺率が16%増加していることが示されています。
また性別、年齢層別の自殺率の相対的変化(図)をみると、先の報告と同様に女性の自殺率の増加(37%)と同時に、19歳以下の増加(49%)がみられます。
ここでは新型コロナ感染症流行の影響の分析のために相対値をみていますが、以前と同じく男性の自殺率の方が高いことも記されています。(図は、日本語サマリーから転載しています。)


低収入集団の心理的リスクが高い

 この研究(Kikuchi et al., 2021)では、2月末、4月初め、5月中旬と追跡して、メンタルヘルスの指標(K6)を追跡調査し、メンタルヘルス上のリスクの高い状態(SPD)にある割合は、それぞれ9.3%、11.2%、10.7%でした。
そこで、このようなリスクの高い状態の発生への収入の影響を多重ロジスティック回帰分析で検討した結果、年収が600万円以上の集団を基準(すなわち1)とすると、200万円未満の集団では2~4月では2.09倍、4~5月では3.00倍、リスクが生じていることが示されました。
この結果は、新型コロナ感染症の流行が及ぼすメンタルヘルスへの影響は、収入が低い集団により顕著に表れることを示しています。

また、別のオピニオン論文(Tsutusmi, 2020)では、労働者の問題に焦点を絞って、非正規雇用者や外国人労働者、自営業の場合に、なかなか自殺予防のための支援を受けられないという問題があることが指摘されています。
低収入であることは、雇用が不安定であることに密接に結びついていますから、社会制度としては、この観点が大切だと考えられます。

子どもの養育者のメンタルヘルス

緊急事態宣言下の4月末から5月初めに、3-14歳の子どもをもつ養育者・両親を対象としてメンタルヘルスの状態が検討されてた研究(Horiuchi et al., 2020)が報告されています。 
結果は、この期間に1200名の男女の養育者の29.3%が深刻なメンタルな問題を、24.1%が中程度の問題を示し、これは2016年と比較すると倍以上になっていました。
また、多くの学校が閉鎖される状況下で、子どもの68.9%が睡眠リズムの問題など何らかの健康問題をもち、養育者のメンタルヘスの問題が深刻な場合には3.11倍、中程度の場合にも2.21倍になるという関係が示されています。
現在の制度でだれが担うかは明確になっていませんが、この研究からは、パンデミックの中で養育者・両親への適切な心理的な支援が、子どもたちのためにも必要であることが提案されています。

心理的支援が必要な対象は?

大規模な自然災害の場合に、心理的支援の優先度の高い対象として支援者集団がいます。災害の場合は警察や消防などですが、今回は感染症流行なので医療従事者ということになります。この場合、心理専門家は、医療従事者のメンタルヘルスを良くする活動を通じて、その人たちが支援する地域集団を間接的に支援することができるというわけです。
この論文(Awano et al., 2020)では、緊急時の医療支援の代表的組織である日本赤十字社の医療センタースタッフを対象として、不安やうつのメンタルヘルスのリスクについて調査した結果を報告しています。調査は緊急事態宣言下の4月から5月に実施され、医療従事者への心理的支援が必要であることを示しています。
この表では、うつになりやすい傾向が、医師と比較して看護職では3倍以上であったことが示されています。一方、経験を積むことでそのリスクがやや低下する傾向も示されています。

コロナ状況下でのメンタルヘルス改善法

これまで、新型コロナ感染症の流行によってメンタルヘルスにどのような影響があるのかという研究を紹介してきましたが、日本人で、その影響を効果的に改善することをめざした研究が報告されました。
この論文(Chishima et al, 2020)では、「未来の自分の手紙」を書くという課題をすることによって、図にあるようにネガティブな感情が低下することを示しています。この課題では、今のコロナ禍の日常生活について文章を書いてもらった後で、1年後の自分に向けてメッセージを書く、あるいは、1年後の自分から今の自分へのメッセージを書くという2条件で行われました。図にあるように、未来の自分への手紙条件と未来の自分からの手紙条件の間には違いがありませんでした。
また、元の論文に図がありますが、手紙を書くことでポジティブな感情はネガティブな感情と逆に上昇しています。そして、これらの効果を、現在の状況を距離を置いて展望するというtemporal distancingの心理過程が促進していることが示されています。ポジティブ心理学的介入と呼ぶことができる課題が効果をあげている点が注目されます。

ワクチン接種と心理社会的要因

日本でもワクチン接種が始まります。ワクチンは感染症の流行に対する強力な対抗手段になりえますが、そのためには多くの人々が摂取することが必要です。
この研究(Machida et al., 2021)では、日本人の新型コロナ感染症のワクチン接種への受容について、約3千人の調査結果を示しています。その結果、ワクチン接種をきっとするだろうという回答は全体の62.1%でした。
ワクチンの受容にどのような心理社会的な要因が関係しているかについての多重ロジスティック回帰分析から、受容を低下させる社会経済的要因は、女性、若年(20-49歳)、低収入でした。
ワクチン受容を高める心理的要因としては、表にあるように、ワクチンの有効性を高く評価すること、ワクチン接種によって流行を防ぎたいと思っていることなどがあげられました。
ワクチンを接種することが、自分自身を守るためだけではなく、社会を守るためのものと捉える心の働きが大切だと改めて感じます。


日本人のマスク装着が高いのは?

マスクをつけることは新型コロナウイルス感染症の流行を防止する効果があるとされています。 
これはマスクをつけることで自分自身が感染しないというよりも、もしも自分感染している場合に他の人に感染させないことによると考えられます。
自分の感染を防止するわけではないのに、日本人はなぜこれほどマスクをしているのかの心理的要因を、この研究(Nakayachi, 2020)では検討しています。
その結果、表にあるように、マスクをするべきだという社会的規範(Norm)とマスクスすことによる安心感の影響が大きい事がわかりました。
この報告は大学のプレスリリースでも報告されており、そこでは論文では簡単に触れているナッジの利用についても詳しく説明されています。


コロナ対策の有効性:一般集団と専門家の比較

この研究(Nakayachi, Ozaki, et al., 2021)では、新型コロナ感染症予防のためのさまざまな方法 (マスク、手洗い、換気など) の有効性認知について、一般公衆と医師からデータを収集しています。
図に分かりやすく示されているように、医師(Experts)と比較して、一般公衆(Public)が過渡に楽観したり悲観したりしているわけではなさそうです。
公衆も医師 (専門家) も平均値には大きな違いはありませんでしたが、公衆の分布は三峰性を示していました。
一般公衆の中でも、防御手段の有効性をかなり高く見積もる人たちと、かなり低く見積もる人たちに対しては、それぞれ異なるコミュニケーションが必要になると考えられます。(プレスリリース)
 

アメリカ心理学会のコロナ関連情報

アメリカ心理学会のページです。部分的に日本心理学会にも翻訳がありますが、英語の情報が最新でかつ豊富です。
この写真の左は、コロナによるパンデミックの中で将来を見通せないスポーツ選手をどう支援するかの話題です。右の写真は、自殺予防やアルコール依存などに代表される、電話相談のニーズが高まっていることの報告です。
この他、ICU入院患者の家族支援変更を求められる教育課題への取組などのテーマが取り上げられ更新されています。国によって事情に違いがあるので、日本の状況にそのまま当てはまるわけではありませんが、リンクも充実しておりとても参考になります。


新型コロナウイルス感染症と心のケアの関連情報

厚生労働省や文部科学省からも心のケアの必要性について発表されています

・厚生労働省からの新型コロナ感染症に対応した心のケアの実施についての通知はこちら

・厚生労働省による、さまざまな人のための「こころのケア」のページはこちらです。関連情報や教材、相談窓口などもまとめられ提供されています。

・文部科学省の新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見の防止に向けてはこちら

・日本精神神経学会からは、メンタルヘルス対策指針が公表されています。

 →地域社会、罹患者、医療従事者、こども、ハイリスク者などの課題について網羅的に取り上げられています

・日本社会心理学会のホームページに、新型コロナウイルス感染症に関わる社会心理学研究が紹介されています

 →このページでは紹介していない日本語で書かれた論文へのリンクも含まれており、大変貴重な情報です。
  社会心理学が注目する偏見や差別などのテーマは、心理学に興味のある大学生に興味をもってほしいものです。

 →その中にもリンクがありますが、早稲田大学の小塩真司教授はnoteでさまざまな情報を解説しています。
  卒業研究を考えている学生に役立ちそうです(ただし少額ですが有料のようです)。




本学の心理・教育相談センターから

「いまここ」への意識(久保信代先生)

 

コロナ・パンデミックの危機的状況下にある私たち。なんだか落ち着かない心境が続きます。そんな時には「マインドフルネス(mindfulness)」。世界の精神保健領域ではマインドフルネスが治療に取り入れられ、患者の不安を和らげる効果が検証されています。

 本学心理・教育相談センターのHP、「新型コロナウイルス対策おうちでできるストレス対処法~マインドフルネス~」ではマインドフルネスの呼吸法とストレッチを紹介しています。ぜひ試してみてください。食べることへの集中もマインドフルネスの効果あります。例えば、一粒のチョコレートを意識して噛み、味に集中します。飲み込んだら体に入っていく感覚に注意を向けます。あら不思議、心が軽くなってきましたね。一日に数回試すことで気持ちの変化が実感できることでしょう。

 マインドフルネスは落ち着かない気持ちになりがちな意識を、あえて、「いまここ」に向けます。「いまここ」で何が起こっているのか、その現象に敏感であることは心理学を学ぶ人に重要なスキルです。皆さんも日常生活で意識してみてくださいね。 


遠隔相談(北村由紀恵 専任スタッフ)

新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言の間に、大学・学校の授業や企業などの会議がオンラインで行われるようになり、登校、出勤せずに家にいながらいろんなツールで他の人たちと繋がることが可能となりました。このような状況の中、もともと面接室で対面で行われてきた心理カウンセリングも必要に応じて、遠隔で行われる試みが始まっています。電話、メール、そしてZoomMeetなどのビデオ会議アプリを使ったオンラインでの面接です。
遠隔心理面接が普及すると、遠くに住む人や身体的、精神的障害のため外出できない人たちも自宅でカウンセリングを受けられるようになるでしょう。その一方で、面接室で守られてきたプライバシーの保護をいかに守っていけるのか(例えば同居の家族に相談を聞かれないような工夫)、通話、・通信の環境(料金、機器・Wi-Fiの有無)などの課題があります。また対面とは違う距離感、雰囲気もあります。
しかし対面より遠隔での方が話しやすいという人もいるので、今後は相談者の状況によって、対面、遠隔を選んでいけるようになればよいのかもしれません。


・この他に、センターでは、新型コロナウイルスに負けないように心身を健康に保つためのストレス対処法を紹介しています。

・以下の各対象別に、ストレスへの対処法が紹介されています。

  ・すべての人を対象とした内容
  ・子育て家庭を対象とした内容
  ・学生を対象とした内容
  ・小学生以下の子どもさんのいるご家庭
  ・成人から高齢者の方向けの内容

こちらに心理・教育センターへのリンクがあります。必要にあわせてご活用ください。

当センターでは、小さなお子様から、大人まで、年齢に関わりなく幅広く心の相談をお受けしています。


心理学の諸学会の取り組み

・心理学の各学会や団体でも、COVID-19関連の支援情報を提供しています。

日本心理学会の特設ページ

 →国際担当の先生方を中心に、アメリカ心理学会APAからのさまざまな情報がとりまとめられています。

日本健康心理学会の特設ページ

 →東日本大震災をはじめとした震災・災害での活動実績を活かし、運動・睡眠などの生活習慣にも触れています。

日本ストレス・マネジメント学会の特設ページ

 →メンタルヘルスへのさまざまなアプローチを中心に、学校再開への対応やセルフヘルプガイドなども紹介しています。

学校心理学会のページ

 →保護者が子どもたちにどのように説明するかや学校の実践などの資料が公開されています。

日本心理臨床学会の特設ページ

 →災害時の「こころのケア」のサイトがリニューアルされ、新型コロナウイルス対応に関する情報が追加されています。

日本公認心理師の会

 →心理職のための支援スキルの講習会の案内など、支援の専門家のための情報が提供されています。

日本赤十字社

 →緊急時の活動を支える支援者(感染症対応に従事している人)への支援を中心に情報を提供しています。

学生相談学会

 →遠隔で相談を受ける場合についての情報があります。

公認心理師養成機関連盟

 →感染拡大状況での実習などの進め方やアンケートの結果などがあります。

禁煙科学学会

 →新型コロナ感染症の重症化の予防として禁煙の重要性を説明しています。


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