【社会福祉学科】私が社会福祉士をめざした理由2019年05月27日
社会福祉学部 助教 朴蕙彬(ぱくへびん)
私は2004年に日本に留学してきました。初めて日本でバスに乗った時、驚いたのは高齢者が多いことと元気であることでした。当時、日本の人口高齢化率は約20%ですでに超高齢社会になりかけていましたが、韓国はまだ2000年に人口高齢化率が7%だった時期でした。その時、バスの中で見かけた高齢者のみなさんは元気そうで買い物などに出かける様子でした。高齢者はみんな杖を持ち、腰が曲がってしんどそうな人だというイメージをもっていた私は、日本の高齢者は今まで思っていた高齢者とは違う人のように感じました。
その後、社会福祉を学んでいくなかで自分が高齢者に対するエイジズムをもっていることに気づきました。このエイジズム(ageism)は高齢者や老いに対する態度のことであり、一般的には差別や偏見を指す概念です。また、高齢者に関する様々なきめつけ(ステレオタイプ)もエイジズムに含まれます。
私は、高齢者は杖を持ち、腰が曲がりしんどい思いをする人だと決めつけていたのです。自分のもっているエイジズムに気づいた瞬間、エイジズムの特徴とともにこれを訂正するにはどうすればいいのかに興味をもちはじめました。その後、私は社会や文化にあるエイジズムについて研究しています。
ある日、エイジズムについて社会福祉学との関連を考える機会がありました。その時、社会福祉は人権と社会正義の原則を拠り所とするものであり、その原則に反するものがエイジズムであることがわかりました。社会福祉士は相談援助や支援業務をする専門職であると同時に、差別、抑圧、排除などから人々を守り包含的社会を目指すように努める責任もあります。このエイジズムを克服するための多様な働きかけや研究活動は、一人の研究者としての研究活動だけでなく、社会福祉士としての責任を果たすことにもつながることに気づきました。この気づきから私は社会福祉士という資格をとることを決めました。