【社会福祉学科】私が精神保健福祉士をめざした理由2018年10月16日
社会福祉学部 専任講師 御前由美子
大学を卒業後に私が就職したのは、地方のテレビ局でした。そこでは制作部に配属されたのですが、入社の際に、女子の配属は初めてなので期待していると言われました。うれしい反面、それがプレッシャーでもありました。会議は夜9時ごろから始まることもあるし、お正月には生放送もありました。私は、どういうわけか、いろんな仕事をそこそここなせていたので、あっちこっちの部署からお呼びがかかるようになり、仕事は必然的にどんどん増えていきました。自分で言うのもなんですが、まじめだったのでしょう。与えられた仕事はこなさないといけないと思い、一生懸命努力していました。すると、自分では気づかないうちに(気づかない方がおかしいのですが)食べない、寝ないという生活を送るようになっていったのです。そして、このような生活が続くうちに、食べようとしても食べられない、寝ようとしても寝られないという状態になっていきました。すると、自分の気持ちをコントロールできなくなっていき、ちょっとしたことで大声を出したり、涙がとまらなくなったりするようになりました。
そんなある日、仕事中に過呼吸をおこし、精神科病院へ救急搬送されました。心身症と診断され、そのまま入院となりました。(その当時、よくわからない病気に心身症という名前をつけていました。)入院患者の中には、座ったままじっとしている方や、病室(その当時は畳敷きの大部屋でした)の中を1日中歩き回ったりしている方がおり、ここに何十年も入院しているとのことでした。
幸い、私は長期の入院ではなかったのですが、退院後も患者さんのことが気になっていました。やさしい方ばかりでしたし、体に悪い所があるようにも思えませんでした。にもかかわらず、薬を飲むだけのためになぜ何十年も入院しているのだろうかという疑問をもち続けていました。そんなある日、精神保健福祉士という職種が医療とは異なる形で精神障害者の生活を支援する仕事だと知り、これだ!と思いました。この仕事ならば、入院中に出会ったような方の支援が何かできるのではないかと思ったのです。すでに40歳を過ぎていた私が精神保健福祉士を目指して本学に入学し、学ぶことになったのは、このような理由からでした。