【教育学科】湯川雅紀准教授の個展が開催されました。(動画あり)2018年09月11日
2018年8月27日から9月1日まで、東京銀座のコバヤシ画廊にて、本学の湯川雅紀准教授の個展が開催されました。
湯川准教授は1991年から2010年までドイツで現代美術のアーティストとして活動されていた方で、東京国立近代美術館や大阪にある国立国際美術館など、日本の美術館にも作品が収蔵されています。専門は現代絵画で、日本の絵画を次のステージへ展開させる試みを積極的に進めています。そんな湯川准教授の展覧会にお邪魔してきました。
-作品のテーマは何ですか?
「宇宙の真理を解明することです」
-なぜ絵を描くことが宇宙の真理に通じるのでしょう?
「絵画は眼と脳が連動した思索の末に生み出されるものであるということです。レオナルド・ダ・ヴィンチが生きていた時代は科学や哲学と同じ括りの中で絵画が論じられていたのですよ。考え方の基本は問題を設定することと、その解決法を探ることです。学問研究は基本的に『わからない物やわからない事象』を解明したいという欲求に支えられています。絵画も例外ではないということです。綺麗だとか、本物そっくりとだか、そういう基準で絵画作品を鑑賞することは必ずしも間違いではないし、それは絵画の大切な特質なのですが、絵画の価値はそれだけではないのです」
-実際の作品を見てみると、楕円が浮遊する不思議な空間が描かれています。宇宙というより顕微鏡写真のような?これはいったい何なのでしょうか?
「インスピレーションは常に生き物の形(フォルム)から得ています。生物の構造に興味を持って、どんどんミクロの世界に分け入って、面白いフォルムを見つけてそれを描いているうちに、それがマクロな世界にも共通するイメージになってゆくのが面白くて、もう二十数年続けています。」
-今までは絵を観て「これは何を表現しているのだろう」とか、「作者のメッセージとは何だろう」とか考えていたのですが、ちょっと見方が変わりました。
「作者のできることは限られています。絵に込められた個人の感想なんて誰も聞きたくないでしょう。大切なのは普遍的な何物かを捉えられるかどうか、ですね。良い作品はこちらがああしたいこうしたいと考えているその思惑を軽々と飛び越えて、勝手に出来上がってゆきます」
-勝手に出来上がってゆくとはどういうことでしょう?もしかして魔法?
「筆と絵の具が実際勝手に動くわけではありませんが(笑)、自分の意思とは関係なく、絵の方が自然に出来上がってゆくような感覚に襲われることはよくあります。そういうときの作品はえてして誰か第三者に見せる価値のある普遍性を備えているのです。不思議ですよね」
湯川准教授が作品制作に込める思いがよくわかりました。絵画がもつ奥深さを、ほんの一端ですが感じ取ることができたような気がします。
会場風景はこちらの写真をご覧ください。