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【社会福祉学科】得津愼子先生の最終講義が開催されました。2018年04月04日

 3月19日(月)本学において「記憶とレジリエンス」と題して、平成30年度3月31日をもって、本学をお辞めになる社会福祉学科 得津愼子先生の最終講義が開催されました。
 最近よくレジリエンスという言葉が聞かれ、様々な分野においても研究がなされていますが、得津先生は、専門とされている家族療法を通して、家族が本来持っている家族自身の力を働かせて、家族自身のありたい姿に変化させていくことが有用であり、これを家族レジリエンス概念という言葉で説明しておられます。家族レジリエンス概念について、得津先生は、「『個人』—家族—(親戚・近隣などの家族のような)コミュニティー—社会・自然環境」のそれぞれのシステムを文脈として、『家族に潜在するストレングス』、『それを発揮させる外界との交流』の座標に『時間(歴史、発達)・空間(場)』を加えた多次元モデルであり、そのモデル上で展開される『関係性』と『(発展的な)回復以上の回復』と全体的な動きとの相互作用をするプロセスである」と述べておられます。
 講演の中で、得津先生は、ソーシャルワーク実践で展開するにあたって家族レジリエンス概念が有用なものとなるためには、家族をオープンなシステムとして考え、外界との交流が絶えず行われることで変化と安定を繰り返す動的なものとしてとらえることが大切である。そして、支援者には、家族の持つ潜在的な可能性に注目し、「家族の自然な力に委ね」ながらも、次なる変化に対する準備を行い、そして待つ、また必要に応じてニーズに合うように行動することが求められており、レジリエンスは希望のアイコンなのだと述べておられました。
「記憶とレジリエンス」ご講演の冒頭に、得津先生はウイリアム・フォークナーの「野生の棕櫚」を引用しながら、記憶と語りについて、「記憶の対象は存在しない。過去のリアリティは自分たちの中にしか存在しない」と語ってくださいました。そして本人たちのストーリーを知っているのは専門家ではなく、本人自身であること。すなわちその人の物語を信頼し、語りを大事にすることが必要だとお話しくださいました。
 得津先生、長年本学科のソーシャルワーク教育、そして研究活動を牽引して下さり本当にありがとうございました。これからも益々のご活躍をお祈り申し上げます。なお、先生の家族レジリエンス概念については、得津愼子著『家族主体ソーシャルワーク論~家族レジリエンス概念を手がかりに~』(ナカニシヤ出版、2018年)でお読みいただけます。
(文責:社会福祉学科 寳田)

  • 得津愼子先生の記念講演

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