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言葉や文字以上に、お絵描きが子どものコミュニケーションツールとして大きな役割を担っています。

教育学科 子ども発達教育専攻
湯川 雅紀

専門分野、研究テーマ

専門分野:絵画および図工・美術教育
研究テーマ:絵画教育のカリキュラム開発

なぜその研究テーマにしたのか

私の専門は絵画です。それも現代絵画で抽象絵画という、一般にはあまり馴染みがないというか、理解するのが難しいと思われている分野で活動を続けてきました。一人の人間が絵の具を塗りたくったものですから、みなさん好き勝手に観たり感じたりしてくれればいいのですが、なかなかそうもいかないようで、展覧会を開催しているとよく、「絵のことはわからない」と前置きしてから「表現意図や意味を教えてください」と尋ねられることがあります。本人から絵について説明してもらうとなんだか理解できた気がするようなのです。しかし、芸術作品の価値や意味は作者が押し付けるのではなく、観る人やそのコミュニティの価値観によって決められるものだと思います。モネや北斎なども、作者の思惑を超えたところで社会がその価値を認めたからこそ後世にまで作品が残っているのです。だから展覧会で芸術作品を鑑賞する際は、説明を聞いて納得するよりも、自分の感性や経験に基づいた感じ方を大切にした方が良いと思います。現代の日本でそのような、芸術に対するリテラシーを成熟させるにはどうしたらよいかと考え始めたのが、美術教育の世界で絵画教育のカリキュラムを見直す研究を始めたきっかけです。

どこが面白いと思われてるポイントなのか

子どもはお絵描きが大好きです。特に幼児期では、言葉や文字以上にお絵描きが子どものコミュニケーションツールとして大きな役割を担っています。しかしある年齢からあまりお絵描きが好きではない子どもが増えはじめ、中学生や高校生になると大半が絵を描かなくなるか、美術を苦手と思うようになり、「絵のことはわからない」「自分には絵心がない」などと思いこむようになります。それはなぜなのか?色々な要因があると思いますし、それらが複合的に作用していると思われるので一概には言えませんが、一因としては幼保小連携に関する問題が挙げられます。幼稚園や保育所では自由に伸び伸びとお絵描きができていたのに、小学校に上がると決まった描き方を指導され、委縮してしまうのではないか、というものです。また、小学校3~4年生ぐらいから子どもは自分を客観的に見つめる視点を持ち始めますが、今までは絵を描くこと自体を楽しんでいたのに、この頃からは自分の描いた絵を観て、下手だと自己批評してしまう。その際に適切な指導が行われていないと絵を描くことが嫌いになってしまうのではないか、という考え方もあります。あと「絵を描く技術は身体能力である」という思い込みもあります。ある種の特殊技術や運動能力と、絵を描く能力は違います。絵を描くのに必要なことは、目と脳の働きを熟知することだと思います。体のある部分を鍛えたり、幼いころから毎日自分自身に鍛錬を強いたりするようなものではありません。自分の目が見た情報は脳で処理され、視覚イメージとして認識されます。その処理の仕方をちょっと変えてやると、絵が描けるようになるのです。ものを見るときの「見方」を変えるとでも言いましょうか、そういう能力は特別な身体の訓練でも、幼いころからの鍛錬の賜物でもありません。ごく普通の人にごく普通に備わっている能力です。以上のような(本当はもっとありますが)問題点を克服して、図工や美術が好きな人をたくさん育てることが、この研究の一番面白い点であるといっていいかもしれません。

趣味等

昔から一人で遊ぶのが好きで、趣味というか、熱中することは常に自分との戦いを強いるものばかりでした。ですからスポーツも個人競技ばかりに興味がありました。今はやっていませんが、一番得意な運動は水泳でした。現在はサイクリングを少々やっています。とはいってもロードレーサーでウエアも揃えて本格的に走っているわけではありません。折り畳みの小径自転車をいつも車に積んでいて、行く先々でサイクリングを楽しむ。そんな程度です。自宅がある和歌山で紀ノ川沿いのサイクリングロードを走ったり、大学の近くでも大和川沿いを走ったりしています。先日は自動車の点検で堺にあるディーラーを訪れた際に、待ち時間を利用して堺の古い街並みや仁徳天皇陵などを散策しました。また、普段の生活だけでなく、旅行先でも自転車に乗れると、楽しみの幅がぐんと広がりますね。琵琶湖畔やしまなみ海道などはいつか走ってみたいと思っています。自転車で走っていると、自動車よりも遅く、歩くよりも速いという、他に代えがたい時間の流れを体験できます。そんな中で普段見えない風景が見えたり、いつもとは違った思考ができたりするところに魅力を感じているのだと思います。

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