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学部・学科紹介faculty
研究者としてのスキルは、博士論文の執筆によって磨かれます。そのために見極めるべきことのひとつはオリジナリティです。研究者あるいは実践者としての自分のなかにある切実な何か、表現ないし究明せずにはいられないテーマを、どんな順序で、どう絞り込み、どのような方法で探求するのか。研究の結果だけではなく、プロセスにもその人らしさは宿ります。博士後期課程の使命は、切実さの核であり、研究者や利用者の実存性をかたちづくっている感性や実感を、博士論文というかたちで結実させ、分かちあい、継承していくお手伝いをすることだと考えています。
福祉社会を実現するために必要な高度な理念、知識、技能を教授し、人の幸せの実現に貢献できる高度専門職業人および専門職業人に対するリーダー・スーパーバイザー、ならびに研究者を養成し、福祉社会の構築に還流することを目的とする。
博士後期課程においては、臨床福祉学の教育と研究に従事しうる高度な知識と学識を有し、臨床福祉に関する研究の実施および指導のできる教員、研究者を養成します。
高度な専門的職業人の養成をその第一の課題とした博士前期課程に比較して、【博士後期課程】は福祉科学のひとつの実現形態としての「臨床福祉学」の研究者を養成することを第一義とします。ますます少子高齢化が進む未来の日本社会において、総合科学としての福祉科学が重要度を増すことは明らかであり、この意義はきわめて大であると考えられます。そればかりでなく、学部・博士前期課程において「生活支援」に関する実践の具体性を習得した後に、【博士後期課程】に進学してさらに理論的に研究を深めるという事情を考慮すれば、幾年にもわたる期間に輩出される「臨床福祉学」研究者の量の拡大は、未来社会に多大な貢献を果たすものと確信されます。
博士論文作成を目的にした研究演習です。学術誌への論文掲載を積み重ねて単著にまとめるイメージです。私自身の関心は、近代以降における日本の社会福祉史にありますが、学術論文執筆に際して、その研究テーマにどのように取り組んでいくか、一緒に討論していくことは可能でしょう。単著を見据えたテーマを設定し、そのテーマの中にいくつか特定のテーマを企画します。特定のテーマは、ひとつのまとまった論文になるものです。特定のテーマを組み合わせた結果、最終的には単著にまとめられるものになるということです。博士論文の作成過程は、教員と論文作成者の相互作用の過程でもあります。お互いに高めあえることを楽しみにしています。
ソーシャルワークでは、利用者の主体性を尊重し、協働しながら課題解決をめざすライフモデル(生活モデル)の実践が求められています。しかし、他方で科学的な研究や支援の方法が重視されていることも周知のとおりです。ただ、エビデンスを重んじるあまり、利用者や支援者の実存的な側面は軽視される傾向にあり、理論(考え方や利用者理解のあり方)が変わったとしても、それに見合うような方法が整備されてきたとは言い切れない状況にあります。臨床福祉学の研究では、支援者のひとりよがりではなく、利用者と支援の成果を分かちあい、合意しながら支援を展開していくための実存的で科学的な支援方法の開発に焦点化しながら、学位論文執筆の一助となるような研究を行っています。
障害のある人々の生活支援に向けたアプローチとして行動変容アプローチが注目されています。行動変容法の基礎学問で学習心理学についての理解を深め、ソーシャルワークのひとつのアプローチである行動変容法である応用行動分析に焦点を当てて、福祉現場でどのように活用可能かを模索します。そして、行動変容法のソーシャルワークに果たす意義について検討していきます。本研究演習では、学生個々の研究テーマを尊重し、研究成果を発表し、学位論文の執筆につなげていきます。
「臨床福祉学」とは、個々人の側の空間(場所・時間)において、対象者の多義性に最大限の配慮をしながら、彼らとの交流(実践)の中で生まれる関係性を捉える学問であり、あくまで人間の幸福を追求するための実践が前提であると考えます。すなわち、実践と研究は一体であり、確固たる目的を持った実践のみならず、対象者のために思わず動かざるを得ない衝動に駆られる…といった行動やそのために必要となったコミュニケーション等を質的に分析し、捉えることでその意義や相互作用のプロセス等を浮かび上がらせることを追求します。これまで主として「認知症高齢者支援」、「スピリチュアリティーへの支援」や「自殺予防対策」等をテーマに実践・研究してきましたが、対象者の範囲は決して限定的ではありません。なぜなら、私たちは皆「生きることへの問いや痛み」をいつでも持ち合わせていると考えるからです。