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災害時におけるリハビリテーション職の役割とは?人の役に立つ仕事3選
  • 2026.06.26

 近年、日本では自然災害が増加しており、災害時におけるリハビリテーション職の重要性について関心が高まっています。
 リハビリテーション職は、一般的に病気やけがなどによって低下した心身機能の改善を図り、自立した生活を支援する専門職です。
 その役割は、災害時においても非常に重要となります。

 この記事では、災害時にリハビリテーション職がどのような役割を担うのか、またこれらの職をめざすにはどうすればよいのか、について解説します。
 リハビリテーション職の仕事に関心があり、災害が発生したときに「人の役に立ちたい」「支援したい」と考えている人にとって、進路を選択する際のヒントになるでしょう。

目次

1.災害時に求められるリハビリテーション職3つ

 災害が起きたときには医療・福祉による支援が不可欠で、人命救助や避難誘導、被害拡大の防止、医療活動などを行うため、自治体から被災地に人員が派遣されます。
 
 これまで、医療活動で派遣されていたのは、主に医師や看護師です。
 しかし、2025年5月に災害救助法施行令が改正されたことにより、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も派遣の対象になりました。
 
 災害時には、環境の悪化や長期にわたる避難生活によって身体機能の衰えや持病の悪化、最悪の場合は死に至るケースもあります。
 こういった二次被害を防止するために、被災地ではリハビリテーション職による支援は不可欠です。
 
 なお、リハビリテーション職には主に以下の3つがあり、いずれも国家資格を有する医療専門職です。
 
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
 
 次からは、これら3つの仕事について詳しく解説します。

1-1.理学療法士とは

 理学療法士は、日常生活における基本動作の改善を支援します。
 病気やけが、加齢などによって身体機能が低下した人に対し、運動療法や物理療法などを行い、自立した日常生活を支援します。
 
 身体機能が低下すると、立つ、座る、歩く、階段を上るといった日常生活では当たり前にできていた動作が難しくなります。
 そういった人に対して、基本動作を安全に行えるよう支援するのが、理学療法士です。
 
 例えば、患者の身体機能の向上や維持を図るために、運動療法によって筋力トレーニングや関節の動かせる範囲(可動域)を広げる運動を指導します。
 また、温熱や電気、光線などを用いて、痛みをやわらげ症状の改善や血行促進などの機能改善を図る物理療法を行う場合もあります。
 
 【主な活動場所】
 理学療法士は次のような場所で活躍できます。
 
  • 病院・クリニック
  • リハビリテーション施設
  • スポーツ施設
  • 介護施設
  • 福祉施設

1-2.作業療法士とは

 身体の動きの改善だけでなく、心のはたらきの回復や、日常生活の動作を支援するのが、作業療法士です。
 身体や心に障害があり、その人らしい生活や社会参加が難しくなっている人をサポートします。
 
 具体的には、食事・着替え・入浴・移動など、毎日の生活に欠かせない動作ができるよう支援します。
 さらに、学校や職場への復帰、趣味の活動など、本人が望む社会活動に参加できるように支えることも大切な役割です。
 
 また、自宅に手すりを取り付けるなど住環境を整えたり、車椅子などの福祉用具を選んだりして、その人が生活しやすい環境をつくることも作業療法士の仕事です。
 
 【主な活動場所】
 作業療法士の主な活動場所は次のとおりです。
 
  • 病院・クリニック
  • リハビリテーション施設
  • 精神科病院
  • 介護施設
  • 地域支援センター
  • 教育機関(特別支援学校など)

#コラム 作業療法士と理学療法士の違い

作業療法士と理学療法士の業務内容は似ていると感じるかもしれません。
しかし、以下のような違いがあります。

理学療法士:
立つ・座る・歩く・起き上がるなど基本的な身体動作の回復・維持を目的とするリハビリを行い、日常生活の自立を支援する

作業療法士:
食事や入浴といった日常生活の動作や、仕事、学ぶ、趣味を楽しむといった社会適応能力の回復をめざすリハビリを行う

理学療法士・作業療法士は、ともに日常生活の自立を支援する専門職です。
理学療法士が基本的な動作能力の改善を図るのに対し、作業療法士は応用的な動作能力の改善や社会参加の支援を行い、その人らしい生活をサポートします。

1-3.言語聴覚士とは

 言語聴覚士は、話す・聞くといったコミュニケーションや、食べ物を飲み込む力に困難がある人を支援します。
 脳卒中や事故による脳の損傷によって、聞こえや発声、発音、言葉の理解などに障害が生じた人や、発達の遅れにより言葉の発達に課題がある子どもなどが対象です。
 
 具体的には、聞く、話す、読む、書くといった言語能力の向上をめざした訓練や、音を正しく聞き取り理解できるようにするための聴覚訓練を行い、必要に応じて補聴器や人工内耳の調整も担当します。
 また、食べ物をうまく飲み込めない人に対しては、口や舌の動きを鍛える訓練を通して、安全に食事ができるよう支援します。
 
 伝える・理解する・食べる力を支え、その人らしい生活を取り戻すことが言語聴覚士の業務の目的です。
 
 【主な活動場所】
  • 病院・クリニック(耳鼻咽頭科、口腔外科、形成外科、小児科などを含む)
  • リハビリテーション施設
  • 介護施設
  • 児童福祉施設
  • 教育機関(特別支援学校など)

  このほか、言語聴覚士の専門性を活かせる場として、言語に関する研究施設や補聴器メーカーなどで働くこともあります。

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2.災害時におけるリハビリテーション職の業務内容

 大規模な災害が起こると、被災者の生活環境は大きく変化し、さまざまな健康上の問題が生じます。
 避難所や仮設住宅での生活では、十分に体を動かす機会が少なくなり、社会との関わりも減ってしまい、その結果、心身の機能が低下しやすくなります。
 
 このような状況が続くと、体を動かさないことによって心身の機能が衰える「生活不活発病」のリスクが高まるほか、災害関連死につながる可能性も指摘されています。
 こうした健康被害を防ぐために、リハビリテーションの視点から被災者の生活や活動を支援する取り組みを、災害リハビリテーションと呼びます。
 
 災害リハビリテーションでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職が重要な役割を担います。
 災害時にはどのような役割があるのか、フェーズごとに見てみましょう。
 
 【災害リハビリテーションにおけるフェーズごとの役割】

  • 応急修復期(災害発生後4日〜約1か月)
  応急修復期には、ライフラインの復旧や支援体制が整い始めます。
  この時期には、被災者の生活状況やリハビリテーションのニーズを把握し、避難所の環境整備などを行います。

  • 復旧期(災害発生後約1〜6か月)
  生活環境が日常に戻り始める時期です。
  この時期には、避難所などでリハビリテーションを行い体を動かす機会を確保し、生活不活発病を予防します。

  • 復興期(災害発生後数カ月〜数年)
  復興期には、地域や生活の再建が進みます。
  リハビリテーション支援を地域全体で行い、生活不活発病を防ぎながら、長期的な健康支援を行います。

 次から、災害時におけるこれらの専門職の役割を解説します。

2-1.災害時における理学療法士の役割

 普段は問題なく生活していた被災者でも、災害による環境の変化から、体調不良や症状の悪化、新たな疾患につながることがあります。
 
 こうした健康問題を防ぐため、災害時における理学療法士の支援は重要です。
 理学療法士は被災者に対して運動や動作の指導を行い、身体機能の維持・改善を図るとともに、生活不活発病や二次的な健康被害を予防します。
 また、避難所や仮設住宅でできるだけ自立した生活を支える役割を担います。
 

2-2.災害時における作業療法士の役割

 災害時、被災者は突然の出来事や生活基盤の喪失によって、大きな不安やストレスを抱えることがあります。
 そのため、身体面への支援だけでなく、心のケアも欠かせません。
 
 作業療法士は、身体機能と精神機能の両面から被災者を支え、自立した生活の再建をサポートします。
 避難所での運動指導や、生活しやすい環境づくりを行うほか、心身のケアにも関わります。
 また、医師や看護師、理学療法士、言語聴覚士などと連携しながら、包括的な支援を行うことも重要な役割です。
 
#コラム 東日本大震災における理学療法士・作業療法士による支援

多くのリハビリテーション職の人たちが被災地に派遣されたのが、2011年3月11日の東日本大震災です。
例えば、岩手県にあるいわてリハビリテーションセンターは、リハビリテーションチームを結成して、理学療法士・作業療法士を派遣しました。

彼らがまず行ったのは、災害発生後に被災地の避難所や病院などを訪問し、リハビリテーションのニーズの調査です。
その後、災害発生から21日後の4月1日には、理学療法士や作業療法士などを陸前高田市に派遣、リハビリテーション活動を開始し、避難所では、集団での健康体操を実施したほか、健康相談も受け付けました。
支援は、被災者が仮設住宅へ入居したあとも行われ、生活不活発病や介護予防のほか、コミュニティづくりにも大いに役立ちました。

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 「言語聴覚士・作業療法士の仕事内容や違いとは?」

2-3.災害時における言語聴覚士の役割

  災害時の情報伝達は音声で行われることも多く、聴覚障害のある人や言語理解が困難な人には十分に情報が伝わらず、避難の遅れや避難所での孤立につながるおそれがあります。
 
 そこで、言語聴覚士は、聴覚や言語に障害がある人が安全に避難し、できるだけ不自由なく避難生活を送ることができるよう支援します。
例えば、筆談や身振り、コミュニケーション支援アプリなどを活用し、情報収集や意思疎通を助けるといった内容です。
 
 また、災害時には歯磨きなどの口腔ケアの不足や、食事の形態が変わることでの摂食・嚥下に関する問題が生じやすく、これらの問題に対しても言語聴覚士による支援が重要です。
 嚥下障害のある人に対して姿勢の指導や嚥下訓練を行い、安全に食事ができるよう支援するとともに、口腔ケアのサポートも行います。

3.災害時に活躍できる人材となるには

 災害リハビリテーションに携わるためには、専門的な知識や技術に加え、災害時における医療・福祉への理解が必要です。
 まず、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の国家資格を取得し、専門的な知識や技術を習得することが求められます。
 
 さらに、被災地で活動する際には、状況を的確に判断する力や、他職種と協力して支援を行うためのコミュニケーション能力も重要です。災害時は物資不足や想定外の出来事が起こりやすいため、臨機応変な対応力や安全への配慮、被災者に寄り添う姿勢も欠かせません。
 
 【求められるスキルの例】
  • 災害状況を把握し、迅速かつ適切に判断する能力
  • 被災者に寄り添い信頼関係を築く能力
  • 被災者が理解しやすいよう、専門用語を分かりやすく説明する能力
 
 加えて、災害現場の厳しい環境においても冷静さを保ち、適切に対応するための心構えも必要です。

4.災害時の支援についても学べるミライドプログラム

 災害リハビリテーションに関心があるなら、関西福祉科学大学のリハビリテーション学科への進学がおすすめです。
 本学科には次の3つの専攻があり、この記事で解説した職に就くための知識や技術を身につけられます。
 
  • 理学療法学専攻
  • 作業療法学専攻
  • 言語聴覚学専攻
 
 さらに、関西福祉科学大学では、学科の学びに加えて、以下の3つの領域から興味のある科目を選択して学べる「ミライドプログラム」を開講しています。
 
 【ミライドプログラムの3つの領域】
  • SDGs・災害支援領域
  • グローバル・共創領域
  • 現代カルチャー領域
 
 災害時におけるリハビリテーションに関心がある人は、ミライドプログラムの「SDGs・災害支援領域」が適しています。
 災害支援論や災害心理学、安全の科学などの科目を通じて、災害時における支援や役割の重要性について学べば、被災者に寄り添い、現場で力を発揮できるリハビリテーション専門職をめざせるでしょう。
 

リハビリテーションで災害時に力になることをめざすなら、災害支援が学べる関西福祉科学大学へ!

 災害時には、避難所などで多くの人がリハビリテーションを必要とする可能性があります。
 災害発生時の過酷な環境下では、迅速に状況を判断し、被災者に適切なケアを行わねばなりません。
 被災者に寄り添う姿勢を忘れず、高いスキルを持つリハビリテーション職となるには、まずしっかり学べる環境で知識や技術を身につけることが重要です。
 
 関西福祉科学大学のリハビリテーション学科なら、必要な知識や技術、実践力を体系的に学べる環境が整っています。
 また、実践的な演習を通じて、技術力に加えて専門職としての心構えや患者に寄り添う人間性を育むことも重視しています。
 
 興味がある方は、ぜひ関西福祉科学大学のオープンキャンパスを訪れてみましょう。

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