理学療法士についてわかりやすく解説
  • 2023.07.14

 理学療法士はリハビリテーション分野の専門職の一つです。理学療法士になるには国家試験に合格する必要がありますが、病院、介護老人保健施設、福祉施設など、さまざまな職場で活躍できます。本記事では、理学療法士の仕事内容や活躍できる職場、理学療法士のやりがい・魅力、理学療法士になるための方法をわかりやすく解説します。

目次

理学療法士ってどんな職業?

 理学療法士はどのような仕事をしているのか分からない人もいるでしょう。理学療法士の主な仕事内容は、患者の身体機能を回復するための運動療法や物理療法、日常生活動作の練習を行うことです。

 例えば、脳性マヒの患者、事故や病気で障害を負った人、脳卒中などの後遺症を抱えた人を対象として、少しでも快適な日常生活を送れるようにサポートします。最近は、スポーツで怪我をした後の機能回復や競技復帰、再発予防を目的として、スポーツ分野で活躍する理学療法士も増えてきました。
 ここでは、理学療法士の仕事内容や、作業療法士・言語聴覚士との違いをわかりやすく解説します。

理学療法士とは?

 理学療法士は国家資格の一つで、リハビリテーション分野における専門職を指します。理学療法士はPT(Physical Therapist)とも呼ばれ、病気やけがなどによって身体機能が低下した人達に対して、医師の指示の下、運動機能の回復や維持・向上を図り、自立した日常生活を目指して運動療法や物理療法を行う医療技術者です。

 理学療法は、幼年期から老年期までさまざまな障害を有する人達を対象とし、医師や他の専門職と連携しながら身体機能の回復や日常生活の自立を目指すための治療法です。

 理学療法士の役割は、患者の身体機能の回復・改善に貢献し、快適な日常生活を送るためのサポートをすることにあります。近年は高齢者の身体機能の低下を予防したり、スポーツ選手の競技復帰や再発予防など、様々な場面で活躍する理学療法士も増えてきました。

理学療法の主な手段

 理学療法の手段は主に3つに分けられます。

運動療法 関節可動域練習、筋力増強練習、神経筋促通運動、歩行動作などにより運動機能の維持・改善を図る。
物理療法 電気刺激、温熱、光線、水など物理的なエネルギーを利用した治療法
日常生活動作の練習 患者の障害の程度に合わせて、日常生活動作の練習や生活上注意する点や行ってはいけない動作を指導し、自立した生活を促す。

 理学療法士はこれらの手段を組み合わせ、患者の状態に応じたリハビリテーションを実施しています。

理学療法士と作業療法士の違い

 理学療法士と混同されることがあるのが作業療法士(OT)です。作業療法士も理学療法士と同様に国家資格の取得が必要な職業ですが、理学療法士とは役割や担当分野が異なります。

 作業療法士は、作業を通じて心身機能の維持、回復を図り、食事や入浴、家事などの基本動作を自立して行えるようにサポートする医療専門職です。

理学療法士と言語聴覚士の違い

 言語聴覚士(ST)は、言語や聴覚を用いたコミュニケーションに障害を抱える人のケアや、嚥下障害などの治療を行う職業です。例えば、失語症、聴覚障害、言葉の発達の遅れ、認知症の症状などを抱える患者に対し、言語聴覚士が治療や訓練、リハビリを担当します。

理学療法士が活躍できる職場

 理学療法士が活躍できる職場は、病院や介護老人保健施設、福祉施設だけではありません。最近は理学療法士がスポーツ分野や、一般企業で活躍するケースも増えてきています。
  • 病院
  • 介護老人保健施設
  • 福祉施設
  • 一般企業 など
 理学療法士が活躍できる職場や、理学療法士に求められる役割を簡単に紹介します。

病院

 病院やクリニックなどの医療機関では、理学療法士は医師や他の専門職と連携しながら、患者の身体機能の回復をサポートします。脳神経外科や整形外科、内科、心臓外科などの様々な疾患が理学療法の対象となります。

介護老人保健施設

 介護老人保健施設は、主に要介護認定を受けた人が入所する施設です。患者入所者の身体機能の回復をサポートし、自立した生活が送れるようにリハビリプログラムを考えて実施するのが理学療法士の役割です。

福祉施設

 身体障害者福祉センターや児童福祉施設など、福祉施設でも理学療法士が活躍しています。福祉施設では、主に身体障害者や障害児のリハビリ、生活上必要な訓練を行うのが理学療法士の役割です。特に児童福祉施設では、障害を抱えた子どもと向き合い、コミュニケーションを通じて信頼を獲得するスキルが必要になります。

スポーツ分野

 理学療法士はスポーツで怪我をした選手の競技復帰や、再発予防に関わることもあります。理学療法士によっては、プロスポーツチームに雇われ、アスリートのケアやサポートを行う人もいます。選手の健康管理やコンディション管理、スポーツ障害の予防などの役割も担います。

一般企業

 まだまだ少ないものの、一般企業で活躍する理学療法士も増えています。例えば、ハウスメーカーでは、高齢者が暮らしやすいバリアフリー住宅の設計に理学療法士が関わるケースがあります。また、医療機器や介護機器のメーカーでも、理学療法士の資格が有利に働く場合があります。

理学療法士のやりがい・魅力は?

 ここからは、理学療法士という職業の魅力について解説していきます。

 身体機能が回復するにつれて、感謝の言葉をかけられる機会も多く、とてもやりがいのある仕事です。また、理学療法士の日々の関わりや言葉掛けは患者のメンタル面のケアにもつながることがあります。誰かの心の支えになりたい人も、理学療法士に向いています。

身体機能の回復をサポートできる

 理学療法士は、医学的・社会的な視点からリハビリプログラムを立案し、運動療法や物理療法などを実施します。障害の程度によっては、身体機能の回復に時間がかかるケースもあります。それでも、患者が自力で歩行したり、座ったりできるようになった瞬間、患者と共に喜びを分かち合えるのが理学療法士という職業です。

心の支えにもなれる

 理学療法士には、身体機能の回復を目指す患者に寄り添い、精神的なサポートを行う大切な役割もあります。患者の中には、事故や病気で体が動かせなくなり、精神的な苦痛にさいなまれる人も多くいます。

 しかし、地道なリハビリを繰り返し、身体機能が回復するにつれて、だんだん患者やその家族に笑顔が戻ってきます。患者が前向きにリハビリに取り組めるよう、心の支えになるのも理学療法士の仕事の一つです。

感謝の言葉をかけられる

 理学療法士として働く人が最もやりがいを感じる瞬間は、「感謝の言葉をかけられたとき」です。人の助けになりたい人や、人に感謝されるような仕事がしたい人は理学療法士がおすすめです。

理学療法士になるには?

 理学療法士になるには、大学のリハビリテーション学科などの養成学校で知識や技能を修得し、国家試験に合格する必要があります。理学療法士の養成学校には、4年制の大学、3年制の短期大学、4年制ならびに3年制の専門学校などがあります。そのため、理学療法士を目指す人は、まず理学療法士の養成学校で学ぶ必要があります。そして、国家試験に合格することで理学療法士として医療機関などで働くことができます。
  1. 高校を卒業する
  2. 理学療法士の養成学校で知識や技能を修得する
  3. 理学療法士の国家試験に合格する
  4. 理学療法士として病院やリハビリテーションセンター、介護老人保健施設、障害者福祉センターなどに勤務する
 理学療法士になるために必要なステップを簡単に解説していきます。

理学療法士の養成学校に通う

 まず、理学療法士の養成学校(大学・短大・専門学校)に通いましょう。理学療法士になるには、規定のカリキュラムを修めて養成学校を卒業する必要があります。

 修得が必要なカリキュラムは、基礎教養科目、解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床医学などの専門基礎科目、理学療法評価学や理学療法演習などの専門科目、病院やリハビリテーションセンターでの臨床実習など、さまざまな内容があります。

理学療法士の国家試験を受験する

 養成学校で必要なカリキュラムを修得したら、理学療法士の国家試験を受験する必要があります。理学療法士の筆記試験では、一般問題と実地問題があります。[注1]
[注1] 厚生労働省:理学療法士国家試験の施行

一般問題 解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要および理学療法
実地問題 運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要および理学療法
 
 国家試験の合格率は79.6%(第57回)です。年度にもよりますが、例年80.0%前後の人が合格しています。[注2]
[注2] 厚生労働省:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について

医療機関や福祉施設で働く

 国家試験に合格した後、理学療法士免許を取得することで、医療機関や福祉施設など理学療法士が求められる様々な職場に就職することができます。

理学療法士を目指すなら、関西福祉科学大学の理学療法学専攻へ

 理学療法士は運動療法や物理療法などを通じて、患者の身体機能の回復をサポートするリハビリテーション分野の専門職です。理学療法士になるには、養成学校で学び、理学療法士の国家試験に合格する必要があります。

 理学療法士を目指せる大学なら、関西福祉科学大学の理学療法学専攻がおすすめです。最先端の理学療法を学べる学内教育と、医療現場で必要な技術を実践する学外教育の組み合わせで、理学療法士に必要な知識と技能を学ぶことができます。

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