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失語症とは?言語聴覚士が関わる失語症について
  • 2023.03.13

  • 2024.10.15

 将来は人の役に立つ仕事がしたい!その中でも医療職に興味があるという高校生のみなさん。

 ドラマや動画を見て「失語症」という症状があることを知り、どのような症状なのか詳しく知りたいと思った方もおられるのではないでしょうか。

 今回は、「失語症とはどのような症状なのか」や「失語症のリハビリテーションではどのようなことをするのか」、そして失語症のリハビリテーションを担当する言語聴覚士の取り組みについてお伝えしたいと思います。

 最近では、テレビや映画で大活躍されたアメリカの有名な俳優さんが、失語症を理由に俳優業を引退されたというニュースが話題になりました。

 その俳優さんは、日本国内でもソフトバンクのCMなどにも出演されてされていた有名な方です。

 そんな、誰にでも起こり得る「失語症」の症状や原因、そのほかの障害との違いについて詳しく見ていきたいと思います。

目次

失語症とは?失語症について知っていますか?

 失語症について気になっている高校生のみなさんにまず知ってほしいのは、失語症の概要についてです。

 失語症とは、交通事故や転倒などによる脳の外傷や、脳梗塞(のうこうそく)や脳内出血などの脳の血管に起こる病気によって、大脳の言語をつかさどる部分が損傷することで起こる言語障害の一種です。

失語症とは、どのような症状?

 失語症の症状は、損傷を受けた脳の場所や損傷の大きさによって異なりますが、「聞く」「話す」「読む」「書く」といった言葉の働きに何らかの不具合が生じます。
 
【失語症の具体的な症状】
  • 相手の話を理解することができない
  • 伝えたい言葉がうまく出てこない、言い間違える
  • 相手の言ったことを復唱できない
  • 文字や文が読めない、書けない、理解できない
 失語症になると、相手の言葉を理解することや、会話や文字でものごとを表現することが困難になるため、日常生活や社会生活上のコミュニケーションに支障が出ます。

失語症によく似たことばの障害もある

 失語症とよく似たことばの障害に「構音障害」があります。
 
 構音障害とは、脳血管疾患や脳の損傷によって脳の運動中枢に障害が起こることで生じる障害です。
 
 唇や舌など、言葉を発する器官に問題が生じて、発音がうまくできない状態になります。
 
 失語症はこのような障害とは異なり、唇や舌などの機能そのものには問題はありません。
 
 他には、声を出すこと自体の障害として、声帯ポリープや声帯結節などによって発声に支障が出る「音声障害」や、明確な原因がなく、ストレスなどの精神的な原因で起こる「心因性失声症」といった障害があります。

失語症になる原因とは?

 次に、失語症になる原因が何かを見ていきましょう。
 
 「失語症とは?失語症について知っていますか?」の中でも紹介しましたが、失語症の主な原因としては以下が挙げられます。
  • 脳梗塞(のうこうそく)、脳内出血などの脳の血管に起こる障害
  • 交通事故・転倒などで起こる脳の外傷 
 失語症の原因の多く(9割近く)が脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血などの脳卒中となっています。
 
 脳卒中は、中高年以上の方で多く見られる病気で、それが原因で失語症になってしまう方も多くいます。

失語症にはタイプがあることを知ろう

 失語症は損傷を受けた脳の部位や症状によって、タイプが分かれます。
 
 失語症のタイプについて、見ていきたいと思います。
 
【運動性失語(ブローカ失語)】
  運動性失語(ブローカ失語)とは、言葉を理解することはできるものの、自分が話す時はうまく言葉が思い浮かばないというタイプの失語症です。
 
 自分で考えた事をことばに変換する「運動性言語野」に障害がある場合に生じる症状です。
 
運動性失語(ブローカ失語)の症状の特徴
  • 言葉を聴いて理解できるが、話す時にたどたどしくなる
  • 話す言葉の音が歪んでしまう
  • 話をする量は少ない
  • 単語や決まり文句などの短い言葉なら話すことができる 
 
【感覚性失語(ウェルニッケ失語)】
  感覚性失語(ウェルニッケ失語)とは、自分から話すことはできますが、相手の話を聴いて言葉を理解することがうまくできないというタイプの失語症です。
 
 ことばを聞いて理解する「感覚性言語野」に障害がある場合に生じる症状です。
 
感覚性失語(ウェルニッケ失語)の症状の特徴
  • 話し方は滑らか
  • 話をする量は多い
  • リズムやイントネーションなども問題がない
  • 言い間違いが多い
  • 言葉が支離滅裂になる場合が多い
  • 自分の言いたいことが思うように伝えられない
  • 文字を書く能力が障害される
 
【全失語】
 全失語とは、言葉を話すこと・相手の話を聞いて理解すること・単語や文章を復唱すること・文字を読んだり書いたりすること。

 これらすべての能力が重度に障害されるタイプの失語症です。
 
全失語の症状の特徴
  • 理解が難しい言葉や発声になる
  • コミュニケーションをとることが難しい

失語症のリハビリテーションではどのようなことをするの?

 続いて、失語症のリハビリテーション方法について見ていきたいと思います。
 
 失語症は、「聞く」「話す」「読む」「書く」といった言葉の働きに何らかの不具合が起きていますので、コミュニケーションをとることを中心としたリハビリテーションが行われます。

会話をする

 失語症の症状を改善したり、コミュニケーションの意欲を高めたりするためには、やはり会話をして「話す」「聞く」のトレーニングをすることが大切です。

挨拶をする

 「おはよう」「ありがとう」などの挨拶や声かけを積極的に行うことは、発話や発声のトレーニングになることはもちろん、会話などのコミュニケーションのきっかけや、周囲の人々との良好な関係性を保つことにつながります。

字を書く

 文字を書くということも、失語症の改善に効果的です。

 自分の名前の文字をなぞったり、書き写したりすることから始める場合もあります。

 書ける文字が増えてきたら日記やハガキを書くことに取り組むなど、少しずつステップアップしながら改善を目指します。

各段階に適したリハビリ方法

 急性期(発症後2週まで)、回復期(発症後3か月まで)、維持期(それ以降)といった発症からの経過日数や、個々の患者さんの症状やニーズなどを考慮しながら、失語症のリハビリを実施します。

 また、失語症のリハビリ効果を最大限に引き出すためには早期診断、治療が大切です。

失語症のリハビリを担当する言語聴覚士(ST)

 失語症のリハビリを担当するのは、「話す」「聞く」「読む」「書く」ことを評価・訓練・支援するリハビリの専門職である言語聴覚士です。
 
 言語聴覚士は、患者さんや家族の方の希望に応じて面談や検査を行い、それぞれの症状に合わせた訓練を実施します。
 
 言語聴覚士が、どのような職業か、どのような仕事内容なのか詳しく知りたい方は、コチラの記事をご覧ください。
 
 また、言語聴覚士が向き合う失語症という障害についてドラマを通して詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
 ▶言語聴覚士に興味がある方に見てほしいドラマ・映画

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