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養護教諭(保健室の先生)になるには、どんな大学(学部・学科)で学べば良い?
  • 2024.10.29

 養護教諭になるためにどんな学校に行けばよいのかわからず、困っている方もいるでしょう。
 養護教諭をめざすためにはどのようなことを学ぶのか、また、学校(大学・短期大学・大学院)の選び方なども気になるところです。

 この記事では、養護教諭になる方法を知りたい方に向けて、どんな学校(大学・短期大学・大学院)で学ぶべきか、どのようなことを学ぶのかについて解説します。

 養護教諭になるための学校の選び方や、自分に合った学校を選ぶポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

養護教諭になるにはどんな学校に進学すべき?

 養護教諭になるには、養護教諭免許状が取得できる学校に進学する必要があります。
 養護教諭免許状は「一種免許状」「二種免許状」「専修免許状※」の3種類があり、いずれかを所持しないと養護教諭として働くことができません。したがって、養護教諭免許状を取得できる学校を選んでください。
(※専修免許状は単独では取得できません。この後に出てくる大学院の項目をご参照ください)

 しかし、具体的にどんな学校に進学すれば養護教諭免許状を取得できるかわからない方も多いでしょう。どんな学校(大学・短期大学・大学院)に進むのがよいのか、また、どの系統の学部・学科で探せばよいかについて解説していきます。

4年制大学

 養護教諭一種免許状をめざす場合、4年制大学に進学することが近道です。その中でも、教育系や健康・保健系(学際系)、もしくは看護系の学部・学科を選びましょう。その際必ず、「養護教諭の免許状に関する教職課程」のある大学を選びます(養護教諭養成課程のように記載をしている大学もあります)。
 教育系や健康・保健系、看護系の学部・学科のある全ての大学で養護教諭一種免許状を取得できるわけではないので、注意して大学を選びましょう。
 また、免許状を取得できる人数等に制限などが設けられている大学や、めざす進路の割り振りが入学後に行われる大学など、何らかの条件がある大学も多いので、受験する前に調べておくと安心です。

 4年制大学では、4年かけて幅広く深く学べるので、実際に養護教諭になった際にもスムーズに業務にあたれるでしょう。
 また、養護教諭に関連するさまざまな内容をじっくり学んだり、ボランティア活動など、教員になった時に活かせる活動ができる時間があることがメリットです。養護教諭免許の取得に関心はあるものの、どの進路を選ぶべきか悩んでいる人はじっくり考えることができます。
 大学によって学べる内容に特色があり、関西福祉科学大学の健康科学科では、公認心理師の受験資格に対応したカリキュラムや様々な現代の課題に対応する教育プログラムも用意されています。
 しかし、免許状取得のために4年間在学することが長いと感じたり、4年分の学費がかかる点はデメリットといえます。

短期大学

 短期大学の場合も、「養護教諭の免許状に関する教職課程」のある教育・保健・看護系の学部・学科を選んでください。短期大学は在学期間が2年と短いため、養護教諭になるのに最低限必要な知識を学べます。また、大学に比べて学費を抑えやすいのもメリットです。

 早く就職したい方や、学費を抑えたい方は、短期大学がよいでしょう。しかし、在学期間が短い分、学べる内容が免許取得に必要な内容の最低限である可能性には注意が必要です。養護教諭として働き始めたら、実際に児童・生徒の怪我の処置や体調不良時の対応などを行わなければなりません。他にも健康相談や心理的なケアなど、さまざまな仕事があり、適切な対応をするには多くの知識や経験を持ち合わせているほうが安心といえます。

 短期大学で取得できるのは養護教諭二種免許状です。二種免許状取得者は、教育職員免許法の第9条の2において「教育職員で、(途中略)二種免許状であるものは、相当の一種免許状の授与を受けるように努めなければならない。」と、一種免許状に切り替える努力義務があります。働く中で二種か一種かが問題になる場面はありませんが、一種免許状に切り替える人は多くいます。

 各自治体によって初任給に違いがある場合があります。あらかじめ働きたい自治体で確認しておくとよいでしょう。その他、保健師免許をもち所定の単位をおさめた方は、申請のみで二種免許状を取得できる制度もあります。(教育職員免許法施行規則第66条の6で定められた単位)

 4年制大学にも、2年次や3年次編入等の制度がある大学があります。編入するまでに学んだ知識や単位を活かして、2~3年で養護教諭一種免許状を取得できる大学もありますので、確認してみるとよいでしょう。

大学院

 大学院に進学し、所定の科目で必要な単位を修得することで養護教諭専修免許状を取得できます。大学院へは、高等学校卒業後または高卒認定試験合格後すぐに進学することは原則できません。
 また、基本的に専修免許状を単独で取得できるケースはなく、養護教諭一種免許状を取得したうえで専修免許状の取得をめざします。

 専修免許状は養護教諭に必要な知識を幅広く深く持ち合わせている証明になります。学校側も専門的な知識を有した養護教諭と判断できるため、安心して採用できます。他の免許状取得者に比べて給与が高い場合が多いのも特徴です。
 
 大学院で勉強したい場合は、まずは大学に入学し一種免許状を取得しましょう。そのうえで、より知識を深めたいと感じた際に、自分の興味のある分野の大学院へ進学する、もしくは、働き始めてから更に学びを深めたいと思った場合に大学院への進学することも選択肢の1つです。(専修免許状を取得したい場合は、専修免許状の対象になる大学院かどうかを事前に調べる必要があります)

看護学校

 養護教諭になるために、看護学校に進学するのも方法の1つです。看護師免許を取得しておけば、養護教諭として子どもたちに適切な処置ができたり、保護者や他の教員に安心感を与えられたりするのはメリットといえます。実際、看護学校を卒業し、保健師や看護師として働いた後に養護教諭をめざす人もいます。

 ただし、3年制の看護学校で養護教諭免許状を取得できるところはありません。養護教諭をめざす場合は看護学校卒業後、看護学校の専攻科に進学する必要があります。養護教諭になりたいと考えて入学すると、期待していた学習内容と異なる可能性が考えられるため、各学校のカリキュラム内容をよく確認しましょう。

養護教諭をめざすための学部・学科ではどんなことを学ぶの?

 養護教諭をめざすための学部・学科で学ぶ内容ですが、今回は関西福祉科学大学 健康科学科の科目を例にして紹介します。
  • 衛生学・公衆衛生学(予防医学含む)
  • 救急処置
  • 養護概説
  • 学校保健
  • 看護技術
 それぞれの科目で学ぶ内容や、重要性についてご紹介します。

衛生学・公衆衛生学(予防医学含む)

 衛生学・公衆衛生学は、養護教諭免許状を取得する際の必修科目です。
 また、医療関係の多くの資格で必修科目となっています。
 主に養護教諭として働く際に必要となる、環境と健康の関係性、特に人を取り巻く環境が健康に与える影響や対策について学びます。他にも、環境問題、地球環境や食に関する衛生などについて学びます。
 
 養護教諭は児童・生徒の健康管理を行ったり、校内で感染症が蔓延しないよう予防したりしなければなりません。児童・生徒に正しい病気の予防方法や健康管理の方法を教える必要があります。
 また、学校内の衛生管理も仕事の1つなので、衛生学を学ぶことは重要といえるでしょう。

救急処置

 救急処置とは、体調不良の人や怪我を負っている人に対して、必要な処置や対応をすることです。関西福祉科学大学では救急処置Ⅰと救急処置Ⅱの2つの授業で、手当の方法や心肺蘇生法、病院との連携や適切な連絡方法などを学びます。

 養護教諭として各学校に配属されれば、子どもたちの怪我の手当てや発熱時の観察を行う必要があります。子どもの様子から救急車の要請有無などを判断しなければなりません。いざというときに適切な対応ができるよう、救急処置について学ぶのは重要です。

養護概説

 養護概説では、養護教諭の職務の基本を学び、養護教諭とは何かを考えます。養護教諭は児童・生徒の心と身体の健康の保持増進と課題解決を支援する役割を担っています。学校教育での組織活動を理解し、養護教諭の役割、養護教諭の専門性を理解することは、養護教諭をめざすうえで重要といえるでしょう。

学校保健

 学校における児童・生徒、教職員の健康の保持増進に関わること全般を学びます。児童・生徒だけでなく、教職員の健康管理・健康教育も養護教諭の仕事です。また、学校だけでなく、地域と連携した取り組みも考えられるよう学びます。

看護技術

 関西福祉科学大学では、看護技術Ⅰと看護技術Ⅱの科目を通して、学校現場において必要となる基本的な看護技術や保健室での清潔、健康診断について学びます。

 養護教諭の大きな業務として、保健室経営と健康診断業務があります。健康問題の発見・分析、判断から解決へと導く対応力、子どもたちへの教育指導力を身につけることで、養護教諭として働く基盤が整います。
 

 上で紹介した科目以外にも、養護教諭になるためには座学で学んだ内容を活かし、学外実習として学校や病院でも学びます。教育実習の養護教諭バージョンと考えるとわかりやすいでしょう。
 関西福祉科学大学の健康科学科では「養護実習」「看護臨床実習」が学外実習の科目に該当します。

養護教諭をめざすための大学の選び方

 養護教諭をめざすための大学を選ぶ際には、以下の3点を意識しましょう。
  1. 「養護教諭の免許状に関する教職課程」の有無をチェックする
  2. 学び方や在学期間を比較する
  3. カリキュラムをチェックする
 具体的に解説していきます。

1. 「養護教諭の免許状に関する教職課程」の有無をチェックする

 養護教諭をめざしたいなら、養護教諭の免許状に関する教職課程の有無を確認しましょう。養護教諭の免許状に関する教職課程がない4年制大学や短期大学を選ぶと、養護教諭免許状を取得できません。免許状がないと養護教諭として働けないため、必ず養護教諭の免許状に関する教職課程がある大学を選んでください。
(参考:令和5年4月1日現在の教員免許状を取得できる大学 文部科学省

 なお、就職活動をする際、私立高等学校の中には専修免許状の有無を重視するところもあります(必須という訳ではありません)。勤務先の選択肢を増やしたい場合は、一種免許状取得の後、専修免許状を取得できる大学院へ進学することも方法の1つでしょう。

2. 学び方や在学期間を比較する

 養護教諭をめざすための大学を選ぶ際には、学び方や在学期間を比較しましょう。養護教諭に必要な知識を広く深く学びたい場合は、4年制大学が向いています。多くの科目から幅広い内容を学び、一種免許状を取得することが可能です。
 また、一種免許状取得後に大学院へ進学し必要な科目を学ぶことで、専修免許状の取得も可能です。

 反対に、早く働き始めたい場合は、短期大学がおすすめです。在学期間が最短2年と短く済むため、早く養護教諭になれます。ただし、在学期間が短い分、学べる内容も限られるため、卒業時点で取得できるのは二種免許状です。

 二種免許状を取得した場合でも、養護教諭として一定の年数を働けば、所定の科目の単位を取得することで一種免許状に切り替えられます。将来的な切り替えも見越して、短期大学に進学するのも方法の1つでしょう。

3. カリキュラムをチェックする

 学部・学科によっては、力を入れている科目が異なりますので、是非カリキュラム内容もチェックしてください。例えば、教育学部や看護学部のどちらを選ぶかでも学べる内容が異なるため、めざしたい養護教諭像を考えながら学校を選ぶのがおすすめです。

 教育学部の場合は、子どもとの接し方や発達過程、心理学などを中心に学べます。複数の免許が取得できたり、最初に取得する免許を決定せずに入学できる場合は、実際の入学者のうちどれぐらいの人が養護教諭免許状を取得しているかを確認しておくと安心です。

 看護学部の場合は、怪我や体調不良の人に対する緊急時の対応やアレルギー対応など、看護に関する内容を中心に学べます。看護師だけでなく、保健師の資格を取得できる大学もあります。学校によっては養護教諭免許状取得に人数制限がある場合もありますので、確認しておくとよいでしょう。

 他にも、関西福祉科学大学 健康科学科のように、養護教諭養成に力を入れたカリキュラムを組んでいる学部・学科もあります。

 このように、入学する大学や学部・学科によって学べる内容や取得できる資格が変わってくるため、将来を見据えて選びましょう。

養護教諭をめざしたい!自分に合った大学を選ぶときのポイント

 養護教諭をめざすことができる大学は数多くあるため、自分に合った大学を選ぶには何を行うべきか、悩む方もいるでしょう。自分に合った大学を選ぶ際には、ホームページや資料請求で情報を収集したり、オープンキャンパスで大学の様子や雰囲気を確認したりすることが大切です。

 ここでは、自分に合った大学を選ぶときのポイントを3つ紹介します。

1. 学校のホームページを見てみる

 自分に合った大学を選ぶときには、ホームページを見てみましょう。ホームページには、詳しいカリキュラムや入学案内、キャンパスの様子、大学の強みなど、さまざまな情報が掲載されています。自分の求めていることが学べるか、大学の雰囲気は自分に合っているかなどを確認するのに役立ちます。大学に関する情報がまとめて確認できるため、情報収集の手間を省けるでしょう。

 また、ホームページ内に掲載されている「先輩の声」を確認するのもおすすめです。実際に大学に入ってよかったことや学べたことなどがリアルに書かれているので、自分が大学に入ったときの様子をイメージできます。複数の大学のホームページをチェックし、情報を比較しながら選ぶとよいでしょう。

2. 資料請求をしてみる

 気になる大学は、資料請求をするのもおすすめです。資料請求は「本当に大学に興味がある人」が行うことが多いため、ホームページ以上に詳細な内容が記載されています。よいところだけでなく大変なところも載せている学校が多いため、よりリアルに入学後の様子をイメージできるでしょう。

 なお、1つの大学の資料を見ていると、その大学だけが特別によいものに思える場合があります。したがって、複数の大学の資料請求を行い、内容を比較しながら検討するのがおすすめです。資料請求は無料の場合が多いですが、まれに有料の大学もあるので、よく確認してから請求しましょう。

3. オープンキャンパスに参加してみる

 自分に合った大学を選びたいなら、ホームページや資料請求だけではなく、オープンキャンパスに参加することをおすすめします。オープンキャンパスで大学に行くと、実際の授業の雰囲気や学生の様子を感じられるため、入学後に「イメージと違った」とがっかりする心配がありません。大学内の設備や施設を確認しながら、自分の生活スタイルに合うか、環境は整っているかを知ることができるのも大きいでしょう。先輩の話を聞き、自分に合った学び方ができるかどうかも確認してください。

 近年は、オンラインタイプのオープンキャンパスもあります。自宅で大学の様子を確認することが可能です。事前予約が必要な場合もあるので、気になる大学のオープンキャンパスは早めに申し込みましょう。

養護教諭になるには「養護教諭の免許状に関する教職課程」のある学校に進学しよう

 養護教諭になるには、養護教諭の免許状に関する教職課程のある学校(大学・短期大学・大学院)、もしくは学部・学科を選ぶ必要があります。学部・学科によって学べる内容が異なるため、自身の将来を考えたうえで進学先を決めましょう。また、大学・短期大学・大学院によって取得できる免許状が異なります。どの免許状でも業務内容は同じですが、採用のされやすさや給与条件が変わる場合があることを覚えておきましょう。

 学校を選ぶ際にはカリキュラムはもちろん、雰囲気や強み、学べる環境なども考慮したうえで検討することが大切です。

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