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養護教諭(保健室の先生)の仕事内容を知りたい
  • 2023.10.18

 養護教諭は、小中高すべての学校に配属されている学校保健の責任者です。いわゆる「保健室の先生」と紹介したほうが、馴染みがあるのではないでしょうか。養護教諭の主な仕事内容は、健康診断の準備や指導・補助をはじめとした健康管理、ケガや病気に対する適切な救急処置、児童生徒の健康相談や心のケア、学校衛生管理、保健教育などです。

 この記事では、養護教諭について知りたいと考えている人に向けて、仕事内容を詳しく解説するとともに、養護教諭の仕事のやりがいや魅力、向いている人の条件などを紹介します。

目次

養護教諭の主な仕事内容をわかりやすく解説

 養護教諭の仕事には、主に次の6つがあります。

1. 健康管理

 児童生徒の健康管理は養護教諭の重要な仕事の一つです。ケガをした児童生徒の手当てや、体調不良の児童生徒の健康観察をし、ベッドで休ませたり早退を促したりします。また、遠足や林間(臨海)学校、修学旅行といった校外行事や、体育祭などの運動行事での健康管理も行います。

 学校全体の衛生状況をチェックし、教職員に対して児童生徒が健康を維持できる環境づくりの助言や協力をすることもあります。インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染病予防・報告も養護教諭の仕事です。

 学校で行う健康診断は、定期・臨時ともに養護教諭が計画を立てて準備・指導を行います。定期検診では、医師の手配から補助(診察結果の書き込みなど)だけでなく、結果があまり良くなかった児童生徒に対しては、経過観察をして健康状況をチェックします。

2. 健康相談

 健康相談は、児童生徒の心身の健康問題の解決や学校生活への適応支援をするうえで大切な役割を担っています。具体的な仕事内容としては、保健室に来た児童生徒の相談に乗り、身体の悩みや健康についてのアドバイスを行います。ケガや病気を抱えている児童生徒に対しては、安心して学校生活を送れるようにアドバイスして、他の児童生徒への理解を得るためのフォロー、担任教諭との情報共有などを行います。

 健康相談を行う際は、実施することを周知したうえで、児童生徒やその保護者が相談しやすい環境、プライバシーが守られる環境を整えることが大切です。

3. 保健教育

 保健教育とは、日常生活において児童生徒が自身で健康管理を行えるように指導することです。保健だよりをはじめとした配布プリント、保健室や教室、職員室内に掲示するプリントのほか、学級活動やホームルーム、保健の授業を通して、健康管理に関する情報提供や注意喚起をすることが主な仕事です。具体的な内容としては、虫歯予防のための歯磨き方法や夏の水分補給について、風邪をはじめとした感染病を防ぐための手洗いうがい・消毒の呼びかけなどです。性教育指導については、担任教諭や保健体育教諭と連携して行います。

4. 救急処置

 救急処置とは、ケガや病気の児童生徒に適切な応急処置を行うことです。養護教諭が行う救急処置の範囲は、医療対象にならない程度の手当てと、医療処置が必要となった場合に児童生徒が医療機関を受診するまでの処置です。ケガをした児童生徒の保険申請についても、養護教諭が行う場合があります。

5. 心理的なケア

 家庭や学校生活のなかで、心の悩みを抱えた児童生徒に対し、心理的なケアを行います。悩みの種類や深刻度、心の状態は児童生徒によってさまざまです。なかには保健室で悩みを聞いてもらうだけで気が晴れる児童生徒もいる反面、いじめや家庭環境の問題で深く傷ついている児童生徒や、クラスになじめない、勉強についていけないなどの理由から教室に行くことができず、保健室登校をする児童生徒もいるでしょう。

 どのような状況であっても、養護教諭は児童生徒が安心して相談できる存在として耳を傾けることが大切です。養護教諭だけで対応が難しい場合は、担任教諭やスクールカウンセラーと連携し、保護者等と情報共有しながら対応していくこともあります。

6. 環境衛生管理

 環境衛生管理は、学校内の空気検査の他、水道やプールの水質検査を行い、衛生面で問題がないか確認する作業です。児童生徒の目の健康を維持するため、教室内の照明が適切な明るさかどうかを測定することもあります。高校の文化祭など、学校行事で食品や飲料を扱うお店を出す場合は、養護教諭が衛生面の管理を行います。

養護教諭の仕事のやりがいや魅力とは?

 養護教諭の仕事のやりがいや魅力とは、児童生徒との関わりを通して心身の成長を見守り、サポートできる点ではないでしょうか。仕事を通じて、児童生徒から信頼され、ときには感謝されることも多いことから、子どもが好きな人にとっては魅力的な職業といえるでしょう。

児童や生徒の成長をサポートできる

 養護教諭はケガや病気の救急処置や健康管理だけでなく、悩みを抱えた児童生徒の相談に応じ、心のケアをすることも大切です。児童や生徒の一人ひとりの悩みに耳を傾け、寄り添うのは簡単なことではありません。しかし、児童や生徒が安心して学校生活を送れるようになったり、心身の成長を近くで見られたりすることは、養護教諭として大きな喜びを感じられる瞬間です。

児童や生徒から信頼される

 養護教諭は保健室だけでなく、さまざまなシーンで児童生徒と関わる仕事です。遠足や修学旅行などの校外行事にも同行するため、児童生徒と親しくなる機会も多く、ときには担任教諭にも話せない悩みや相談を打ち明けられることもあるかもしれません。その時は担任教諭との連携を図りながら生徒の成長を見守ることもあるでしょう。日常的な心の触れ合いを通して児童生徒から頼られる存在になれば、その分大きなやりがいを感じるようになります。

問題が解決したときに感謝される

 養護教諭はケガや病気を手当てしたり悩みの相談に応じたりと、児童生徒が困ったときや大変なときに直接関わることが多い仕事です。そのぶん、児童生徒から日常的に「ありがとう」と感謝されるシーンも多いかもしれません。それらの問題が解決した児童生徒が無事学校を卒業できたとき、養護教諭の仕事に達成感とやりがいを感じることができるでしょう。

養護教諭の仕事は大変なの?

 養護教諭の仕事は多くのやりがいや魅力がある反面、大変だと感じることもあります。養護教諭の仕事が大変だと感じる理由としては、次の3つが挙げられます。

多くの子どもに対応する必要がある

 小・中学校の養護教諭の定数は3学級以上ある学校に対して1人と決まっており、2人以上配置できるのは児童生徒の在学数が小学校で851人、中学校で801人以上の場合です。[注1]

 学校に配置された養護教諭の多くは、健康診断や健康相談、救急処置などを通し、1人で学校内すべての児童生徒と関わることになります。やりがいがある一方で、忙しさや負担を感じることもあるかもしれません。

[注1]文化科学省:教職員定数の算定について
www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/029/shiryo/05070501/s003.pdf

解決が難しい相談を聞くこともある

 児童生徒のなかには、家庭環境の問題やいじめなど深刻な問題を抱えているケースもあります。思春期に突入する小学校高学年以降になると、体の悩みや性の悩みなど、デリケートな問題が関わる相談を受けることも増えていきます。

 解決が難しい相談を受けたときは、健康観察や情報収集のほか、担任をはじめとした他の教諭と連携・協力して問題解決にあたります。学校現場だけでは解決できない問題は医療機関との連携も必要です。

正確な判断を求められる

 児童生徒のケガや病気の救急処置は、養護教諭の大切な仕事の一つです。患部を消毒して絆創膏を貼る、捻挫をした児童生徒には患部を固定するために包帯を巻くなどのほか、発熱している場合は児童生徒の様子を観察し、必要であれば保健室のベッドで休ませることもあります。

 医療機関との連携が必要な場合は、病院に連れて行ったり救急車を呼んだりすることもあるため、迅速かつ的確な状況判断が求められます。養護教諭は事故発生の経緯や児童生徒の様子を詳細に記録し、保護者へ状況説明します。なお、連携先の医療機関の選定は保護者が行います。

養護教諭の仕事はどんな人に向いている?

 養護教諭の仕事に向いている人の特徴は次の3つです。

子どもが好きな人

 養護教諭は学校生活を送る数多くの児童生徒と関わる仕事です。子どもが保健室を訪れる理由は、ケガや病気だけではありません。なかには自分の話を聞いてほしい、相談に乗ってほしいという理由で保健室のドアを叩く児童生徒もいます。大人の目線で見れば些細なことでも、子どもにとっては深刻な悩みだったり、話を聞いてくれるだけで気が晴れたりすることもあるでしょう。たとえ事務作業に追われているときであっても、養護教諭は積極的に児童生徒の話に耳を傾け、優しく寄り添うことが大切です。

 また、積極的に活動できる、内向的で受動的、自己表現が苦手で誤解を受けやすいなど、子どもの持つ特性や発達状況はさまざまです。養護教諭には、児童生徒一人ひとりの性格タイプや発達状況に合わせたサポートが求められます。そのため、子どもとどう接していいかわからない、という人よりも、子どもが好きで世話をすることが苦にならない、子どもの成長を見守ることに魅力ややりがいを感じる、という人のほうが、養護教諭としての適性があるといえるでしょう。

責任感のある人

 養護教諭の仕事は、児童生徒の健康管理や心のケア、救急処置、衛生環境管理など多岐にわたります。児童生徒が健やかに、安心して学校生活を送るために重要な仕事ばかりです。

 救急処置ではケガや病気の状態から的確な判断を、心のケアでは児童生徒に寄り添い、問題の大小に関わらず真摯に対応することが求められます。ときには他の教諭たちや保護者だけでなく、スクールカウンセラーや児童相談所、医療機関などと連携し、問題解決に向けて協力しなければなりません。児童生徒だけではなく教職員の健康のサポートも行うため、学校保健全体を養護教諭が担います。

 どの仕事にも当てはまることですが、責任を持って仕事ができる人は養護教諭としての適性も高いでしょう。養護教諭の仕事には保健や看護、教育、衛生管理など、さまざまな学問や知識が必要です。そのため、責任感が強いだけでなく、常に向上心を持って勉強に励むことができる人に向いています。

包容力のある人

 養護教諭は児童生徒の相談相手として、頼りになる存在であることが大切です。家庭の問題、人間関係、身体の悩み、進路や勉強についてなど、さまざまな悩みを抱えた児童生徒の話に耳を傾け、必要に応じてアドバイスできる人でなくてはなりません。そして、児童生徒が安心して悩みを打ち明けられるよう、優しく寄り添い接することができる包容力が必要です。

養護教諭は児童生徒の健康管理や心のケアなど学校保健全般に関わる仕事

 養護教諭の仕事は、児童生徒の健康管理や救急処置だけではなく、保健教育や衛生環境管理など、児童生徒が安心して学校生活を送るための管理指導を行います。そして、悩みを持つ児童生徒の心のケアも、養護教諭の重要な仕事の一つです。ときには家庭環境やいじめなど、深刻な相談を受けることもあるかもしれません。養護教諭は事務的な仕事と並行し、どんな小さな悩みにも耳を傾け、他の教職員と連携を図りながら児童生徒の健やかな成長をサポートします。そして児童生徒だけではなく教職員の健康のサポートも行い、学校保健全般を担います。

 養護教諭に向いている人の条件は、子どもが好きで責任感がある人、子どもに信頼される包容力のある人です。救急処置の場面では、児童生徒のケガや病気に応じて適切な判断を行う必要もあります。

 関西福祉科学大学・健康科学科は、養護教諭に必要な健康・安全・環境など健康科学の基礎知識をはじめ、心の健康(メンタルヘルス)についても、専門的な技能を習得できる学科です。関西福祉科学大学の入試は、学力だけではわからない、個々人の能力や人間的魅力を活かすことができる総合型選抜(ポテンシャル発見)や総合型選抜(AO)などがあります。養護教諭をめざされる方は、ぜひチェックしてみてください。

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