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スクールソーシャルワーカー(SSW)とはどんな仕事?SSWになるための資格とは
  • 2025.03.25

 スクールソーシャルワーカー(SSW:School Social Worker)という仕事をご存じでしょうか。何らかの問題を抱えるこどもたちを対象にさまざまな支援を行う仕事で、近年、注目されている仕事の1つです。こどもの福祉に関わる仕事をしたいとお考えの方なら、興味深い職業ではないでしょうか。

 この記事は進路を決める際の参考となるよう、スクールソーシャルワーカーの仕事内容や従事するために必要な資格をまとめました。

目次

1.スクールソーシャルワーカー(SSW)とは?

 スクールソーシャルワーカー(SSW)とは、児童や生徒を取り巻く環境に働きかけることによりこどもたちが抱える問題を解決すべく支援を行う専門職で、全国の小学校から高等学校が主な職場です。

 この章ではスクールソーシャルワーカー(SSW)の役割や具体的な仕事内容、全国の学校に導入されている理由を見てみましょう。また、混同されやすいスクールカウンセラー(SC)との違いも解説します。

スクールソーシャルワーカー(SSW)の役割

 スクールソーシャルワーカーの役割とは、こどもたちが抱える次のような問題の解決を図ることです。

<こどもたちが抱える問題>
  • *いじめ
  • *不登校
  • *暴力行為
  • *虐待
  • …など
 これらの問題の多くは、学校や家庭などこどもを取り巻く環境が要因であり、問題解決や状況の改善が容易ではない場合がほとんどです。よって、ただ単に学校や家庭に働きかけるだけでなく、社会福祉の視点から多角的に支援をしなければなりません。

 学校へ行けない、または学校に行きたくても登校できない「不登校」を例に挙げてみましょう。

<不登校となった要因の例>
  • *学校でいじめに遭っている
  • *両親の期待に応えようと努力しすぎて疲弊し、無気力となっている
  • *家庭内の不和によって非行に走っている
  • *学力が思うように伸びず、授業への参加がつらくなっている
  • *精神的に不安定で親から離れることに不安を感じている
 このように、不登校の1つをとってもこどもが抱える問題の要因は1つではないことから、スクールソーシャルワーカーが働きかける場所や行うべき対応も多岐にわたります。また、適切に支援をするためには、法学や心理学といった専門的な知識が不可欠です。

スクールソーシャルワーカー(SSW)の具体的な仕事内容

 それでは、スクールソーシャルワーカーは具体的にどのようにこどもたちを支援するのでしょうか。

 こどもを支援する際、多くは家庭・学校・公的機関などの関係機関と連携をとって行い、支援方法は大きく分けて「直接支援」と「間接支援」の2つに分類されます。

01.直接支援
こどもや家庭へ直接働きかけ、支援します。例えば、こどもおよび保護者の相談を受け、必要な情報を提供するほか、こども、保護者を対象としたグループワークを開催して、問題解決を図るといった支援があります。


02.間接支援
こどもが通う学校や教員に対して行うサポートで、主に学校に対するこどもの支援体制構築や教員への専門的なアドバイス、情報提供などをするものです。こどもに直接関わる支援ではないため、間接支援と呼ばれています。

スクールソーシャルワーカー(SSW)とスクールカウンセラー(SC)の違い

 スクールソーシャルワーカー(SSW)と似た仕事に「スクールカウンセラー(SC:School Counselor)」があります。両者はどちらもこどもたちへの支援を行うものですが専門分野に違いがあり、学校教育法ではそれぞれ次のように定義されています。
  • スクールソーシャルワーカー:こどもの福祉に関する支援に従事する
  • スクールカウンセラー:こどもの心理に関する支援に従事する
 上記のように、こどもを取り巻く環境の改善によって問題解決を図るのがスクールソーシャルワーカーで、こどもの心をケアして問題解決に取り組むのがスクールカウンセラーです。

 スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーでは支援する方法は異なりますが、どちらも何らかの問題を抱えるこどもをサポートする役割を担っています。

スクールソーシャルワーカー(SSW)が導入された背景

 全国の学校でスクールソーシャルワーカーが導入されたのは、いじめや暴力行為、虐待、不登校といった問題が年を追うごとに増加していることが理由です。

 そのため、2008年に文部科学省が「スクールソーシャルワーカー活用事業」を開始しました。こどもたちが直面している問題を解決するにあたって、関係機関や家庭と連携しながら解決を図るコーディネーター的な存在が必要であると考えたためです。

 なお、2008年より前からスクールソーシャルワーカーを導入している市町村は存在していましたが、こどもを取り巻く問題が現在ほど表面化していなかったため、一般的には知られていませんでした。

2.スクールソーシャルワーカー(SSW)に必要な資格

この章ではスクールソーシャルワーカー(SSW)になるための資格について解説します。

 スクールソーシャルワーカーという資格試験はありませんが、ほとんどの場合は「社会福祉士」や「精神保健福祉士」などの資格取得が求められます。次の表を見るとわかるように、スクールソーシャルワーカーの多くが社会福祉士または精神保健福祉士の資格を保有しています。
保有する資格 割合
社会福祉士 63.9%
精神保健福祉士 33.9%
教員免許 32.3%
心理に関する資格 19.0%
その他(社会福祉に関する資格) 16.7%
その他(SSWの職務に関する技能資格) 5.6%
保有資格なし 3.6%
[注1] 日本ソーシャルワーク教育学校連盟「要望書」

ソーシャルワーカー

 わが国ではソーシャルワーカーの国家資格として社会福祉士と精神保健福祉士が定められています。ソーシャルワークとは、福祉に関する専門的知識と技術を用いて、生活上の困難や悩みをかかえる人に寄り添い、その人と共にその困難や悩みの解決を図り、一人ひとりの幸福と自立した生活を支援することです。
 ソーシャルワーカーは、生活上、さまざまな困難や課題をかかえている人びとからの相談に応じ、その解決のために必要な福祉サービスの使用を支援したり、関係するさまざまな専門職や事業者、ボランティアと連携を図り総合的に援助したり、サービスが足りないときはそのサービスを開発することなどを行います。
▶出典:日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)「ソーシャルワーカーデー宣言」より

社会福祉士

 社会福祉士が活躍できる場は、医療機関、行政、介護・福祉施設、学校など多岐にわたり、さまざまな場所で活躍できるのが大きな強みです。
  • 高齢者・障害者福祉施設
  • 社会福祉協議会・地域包括支援センター
  • 児童相談所、児童福祉施設
  • 教育機関(スクールソーシャルワーカー)学校・学童
  • 医療機関(医療ソーシャルワーカー)病院・診療所相談室
  • 地方公務員(福祉職)

精神保健福祉士

 心の病や悩みを抱えた人の生活を、さまざまな領域からサポートする精神保健福祉士は精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)とも呼ばれ、心の病や悩みを抱えた人の日常生活や社会復帰を援助する専門職です。精神保健福祉士の就職先は、医療現場、福祉の現場、行政や司法関係など、様々な場所が挙げられます。
  • 精神科クリニック
  • 精神保健福祉センター・保健所
  • 地域活動支援センター
  • 福祉ホーム
  • 保護観察所・矯正施設
  • 教育機関(スクールソーシャルワーカー)学校・学童

社会福祉士・精神保健福祉士資格の取得方法

 社会福祉士及び精神保健福祉士の資格を取得するには、厚生労働省が指定した次の試験に合格する必要があります。

<国家試験>
  • 社会福祉士:「社会福祉士国家試験」
  • 精神保健福祉士:「精神保健福祉士国家試験」
    (指定試験機関の社会福祉振興・試験センター実施)
 また、社会福祉士及び精神保健福祉士の試験を受験するためには、以下の資格を満たしていなければなりません。

<社会福祉士・精神保健福祉士国家試験の主な受験資格>
  • 福祉系大学で指定科目を履修している
  • 福祉系大学で基礎科目を履修し、短期養成施設などで6ヶ月以上、知識・技能を習得している
  • 福祉系短大で指定科目を履修し、2年間にわたって相談援助の実務経験を積み、短期養成施設などで6ヶ月以上、知識・技能を習得している
▶参考:公益社団法人日本社会福祉士会「社会福祉士になるためには」
▶参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験」
▶参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験」

スクール(学校)ソーシャルワーク教育課程修了証

 大学や専門学校などでスクールソーシャルワーカーに従事するために必要な科目を学び、社会福祉士の資格を取得したら、日本ソーシャルワーク教育学校連盟のスクールソーシャルワーク教育課程修了者名簿に登録申請を行うこともおすすめです。

 スクールソーシャルワーカーになるために必須ではありませんが、「スクール(学校)ソーシャルワーク教育課程修了証」が発行され高い専門性と技術を持つことを証明でき、就職に有利となるでしょう。

 申請する際には、次の条件を満たしていることが必須です。
  • スクール(学校)ソーシャルワーク教育課程認定審査委員会が認定した社会福祉士・精神保健福祉士の養成校(大学・専門学校など)で認定に必要な科目を履修している
  • 社会福祉士または精神保健福祉士の資格を保有している
▶参考:日本ソーシャルワーク教育学校連盟

有資格者以外がスクールソーシャルワーカー(SSW)になる方法

 社会福祉士や精神保健福祉士の国家試験を受験していなくても、有資格者と同等の知識や技能、職務経験があればスクールソーシャルワーカーになれます。ただし、次の条件を満たしていなければなりません。

条件1. 福祉・教育の分野に関する専門的な知識と技術を保有している、または活動経験の実績がある

条件2. 次の職務内容を適切に遂行できる
  • 問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働き掛け
  • 関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整
  • 学校内におけるチーム体制の構築、支援
  • 保護者、教職員などに対する支援・相談・情報提供
  • 教職員などへの研修活動

 これらの条件を満たすためには、大学や短大、専門学校などで福祉・教育に関して学び、教育現場などにおける福祉に関する職務経験が必要となるでしょう。

3.スクールソーシャルワーカー(SSW)の将来性

 「スクールソーシャルワーカー(SSW)になりたいけれど、仕事が見つからないかもしれない」という不安をお持ちの方もいるかもしれません。また、給与も気になるところです。そこで、スクールソーシャルワーカーの需要と平均年収を解説します。

スクールソーシャルワーカー(SSW)の需要

 スクールソーシャルワーカーは注目されているとはいえ、少子高齢化が進みこどもの数が減少傾向にあることから、スクールソーシャルワーカーの需要が減るのではないかと心配する人もいるかもしれません。しかし、こどもが減っている一方でスクールソーシャルワーカーを配置する学校は増加傾向にあり、かえって需要の高まりが予想されています。
  • 2013年:小学校3,825校、中学校2,342校
  • 2022年:小学校12,154校、中学校6,387校
 また、支援件数も増加しています。
  • 2013年:50,197件
  • 2022年:281,688件
▶参考:文部科学省「スクールソーシャルワーカー活用事業に関するQ&A」

 今後も、全国の小中学校、高校への配置の拡充が進められており、スクールソーシャルワーカーは将来性が高い職業です。

スクールソーシャルワーカー(SSW)の平均年収

 スクールソーシャルワーカーの平均年収は292万円です。

<雇用形態別 令和2年度(2019年)の年収>
雇用形態 平均年収
正規職員 464万円
契約社員 295万円
パートタイム職員 241万円
派遣社員 200万円
無回答 250万円
平均 292万円
※社会福祉士有資格者のスクールソーシャルワーカーの平均年収
▶参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書」

 正規職員と契約・パートタイム・派遣職員との待遇に大きな差があり、また、スクールソーシャルワーカーの約9割が契約職員とパートタイム職員(2020年)として従事しています。

 前述したようにスクールソーシャルワーカーの需要が高まっており、文部科学省はスクールソーシャルワーカーの配置拡大をする方針を掲げているため、今後は正規職員として働く人が増えるかもしれません。しかし雇用形態に関わらず、児童や生徒の課題解決だけでなく成長にも関わることができ、非常にやりがいがある仕事です。
▶参考:一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連名「要望書」

スクールソーシャルワーカー(SSW)をめざすなら関西福祉科学大学へ!

 スクールソーシャルワーカー(SSW)として働くことに興味がある方は、関西福祉科学大学の社会福祉学部 福祉創造学科への進学を検討してみてはいかがでしょうか。関西福祉科学大学では幅広く福祉が学べ、社会福祉士と精神保健福祉士に加えて、介護福祉士の国家試験合格がめざせます。

 また、関西福祉科学大学はスクール(学校)ソーシャルワーク教育課程認定審査委員会の認定を受けているため、前述したスクール(学校)ソーシャルワーク教育課程修了者名簿への登録申請も可能です。

 興味のある方は、ぜひ関西福祉科学大学のオープンキャンパスにご参加ください。

 ▶関西福祉科学大学オープンキャンパス

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