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社会福祉士
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- 精神保健福祉士
- スクールソーシャルワーカー
- 仕事内容
- 資格

スクールソーシャルワーカー(SSW:School Social Worker)という仕事をご存じでしょうか。何らかの問題を抱えるこどもたちを対象にさまざまな支援を行う仕事で、近年、注目されている仕事の1つです。こどもの福祉に関わる仕事をしたいとお考えの方なら、興味深い職業ではないでしょうか。
この記事は進路を決める際の参考となるよう、スクールソーシャルワーカーの仕事内容や従事するために必要な資格をまとめました。
目次
1.スクールソーシャルワーカー(SSW)とは?

この章ではスクールソーシャルワーカー(SSW)の役割や具体的な仕事内容、全国の学校に導入されている理由を見てみましょう。また、混同されやすいスクールカウンセラー(SC)との違いも解説します。
スクールソーシャルワーカー(SSW)の役割
<こどもたちが抱える問題>
- *いじめ
- *不登校
- *暴力行為
- *虐待
- …など
学校へ行けない、または学校に行きたくても登校できない「不登校」を例に挙げてみましょう。
<不登校となった要因の例>
- *学校でいじめに遭っている
- *両親の期待に応えようと努力しすぎて疲弊し、無気力となっている
- *家庭内の不和によって非行に走っている
- *学力が思うように伸びず、授業への参加がつらくなっている
- *精神的に不安定で親から離れることに不安を感じている
スクールソーシャルワーカー(SSW)の具体的な仕事内容
こどもを支援する際、多くは家庭・学校・公的機関などの関係機関と連携をとって行い、支援方法は大きく分けて「直接支援」と「間接支援」の2つに分類されます。
01.直接支援
こどもや家庭へ直接働きかけ、支援します。例えば、こどもおよび保護者の相談を受け、必要な情報を提供するほか、こども、保護者を対象としたグループワークを開催して、問題解決を図るといった支援があります。
02.間接支援
こどもが通う学校や教員に対して行うサポートで、主に学校に対するこどもの支援体制構築や教員への専門的なアドバイス、情報提供などをするものです。こどもに直接関わる支援ではないため、間接支援と呼ばれています。
スクールソーシャルワーカー(SSW)とスクールカウンセラー(SC)の違い

- スクールソーシャルワーカー:こどもの福祉に関する支援に従事する
- スクールカウンセラー:こどもの心理に関する支援に従事する
スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーでは支援する方法は異なりますが、どちらも何らかの問題を抱えるこどもをサポートする役割を担っています。
スクールソーシャルワーカー(SSW)が導入された背景
そのため、2008年に文部科学省が「スクールソーシャルワーカー活用事業」を開始しました。こどもたちが直面している問題を解決するにあたって、関係機関や家庭と連携しながら解決を図るコーディネーター的な存在が必要であると考えたためです。
なお、2008年より前からスクールソーシャルワーカーを導入している市町村は存在していましたが、こどもを取り巻く問題が現在ほど表面化していなかったため、一般的には知られていませんでした。
2.スクールソーシャルワーカー(SSW)に必要な資格

スクールソーシャルワーカーという資格試験はありませんが、ほとんどの場合は「社会福祉士」や「精神保健福祉士」などの資格取得が求められます。次の表を見るとわかるように、スクールソーシャルワーカーの多くが社会福祉士または精神保健福祉士の資格を保有しています。
保有する資格 | 割合 |
---|---|
社会福祉士 | 63.9% |
精神保健福祉士 | 33.9% |
教員免許 | 32.3% |
心理に関する資格 | 19.0% |
その他(社会福祉に関する資格) | 16.7% |
その他(SSWの職務に関する技能資格) | 5.6% |
保有資格なし | 3.6% |
ソーシャルワーカー
ソーシャルワーカーは、生活上、さまざまな困難や課題をかかえている人びとからの相談に応じ、その解決のために必要な福祉サービスの使用を支援したり、関係するさまざまな専門職や事業者、ボランティアと連携を図り総合的に援助したり、サービスが足りないときはそのサービスを開発することなどを行います。
▶出典:日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)「ソーシャルワーカーデー宣言」より
社会福祉士
- 高齢者・障害者福祉施設
- 社会福祉協議会・地域包括支援センター
- 児童相談所、児童福祉施設
- 教育機関(スクールソーシャルワーカー)学校・学童
- 医療機関(医療ソーシャルワーカー)病院・診療所相談室
- 地方公務員(福祉職)
精神保健福祉士
- 精神科クリニック
- 精神保健福祉センター・保健所
- 地域活動支援センター
- 福祉ホーム
- 保護観察所・矯正施設
- 教育機関(スクールソーシャルワーカー)学校・学童
社会福祉士・精神保健福祉士資格の取得方法
<国家試験>
- 社会福祉士:「社会福祉士国家試験」
- 精神保健福祉士:「精神保健福祉士国家試験」
(指定試験機関の社会福祉振興・試験センター実施)
<社会福祉士・精神保健福祉士国家試験の主な受験資格>
- 福祉系大学で指定科目を履修している
- 福祉系大学で基礎科目を履修し、短期養成施設などで6ヶ月以上、知識・技能を習得している
- 福祉系短大で指定科目を履修し、2年間にわたって相談援助の実務経験を積み、短期養成施設などで6ヶ月以上、知識・技能を習得している
▶参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験」
▶参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験」
スクール(学校)ソーシャルワーク教育課程修了証
スクールソーシャルワーカーになるために必須ではありませんが、「スクール(学校)ソーシャルワーク教育課程修了証」が発行され高い専門性と技術を持つことを証明でき、就職に有利となるでしょう。
申請する際には、次の条件を満たしていることが必須です。
- スクール(学校)ソーシャルワーク教育課程認定審査委員会が認定した社会福祉士・精神保健福祉士の養成校(大学・専門学校など)で認定に必要な科目を履修している
- 社会福祉士または精神保健福祉士の資格を保有している
有資格者以外がスクールソーシャルワーカー(SSW)になる方法
条件1. 福祉・教育の分野に関する専門的な知識と技術を保有している、または活動経験の実績がある
条件2. 次の職務内容を適切に遂行できる
- 問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働き掛け
- 関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整
- 学校内におけるチーム体制の構築、支援
- 保護者、教職員などに対する支援・相談・情報提供
- 教職員などへの研修活動
これらの条件を満たすためには、大学や短大、専門学校などで福祉・教育に関して学び、教育現場などにおける福祉に関する職務経験が必要となるでしょう。
3.スクールソーシャルワーカー(SSW)の将来性

スクールソーシャルワーカー(SSW)の需要
- 2013年:小学校3,825校、中学校2,342校
- 2022年:小学校12,154校、中学校6,387校
- 2013年:50,197件
- 2022年:281,688件
今後も、全国の小中学校、高校への配置の拡充が進められており、スクールソーシャルワーカーは将来性が高い職業です。
スクールソーシャルワーカー(SSW)の平均年収
<雇用形態別 令和2年度(2019年)の年収>
雇用形態 | 平均年収 |
---|---|
正規職員 | 464万円 |
契約社員 | 295万円 |
パートタイム職員 | 241万円 |
派遣社員 | 200万円 |
無回答 | 250万円 |
平均 | 292万円 |
▶参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書」
正規職員と契約・パートタイム・派遣職員との待遇に大きな差があり、また、スクールソーシャルワーカーの約9割が契約職員とパートタイム職員(2020年)として従事しています。
前述したようにスクールソーシャルワーカーの需要が高まっており、文部科学省はスクールソーシャルワーカーの配置拡大をする方針を掲げているため、今後は正規職員として働く人が増えるかもしれません。しかし雇用形態に関わらず、児童や生徒の課題解決だけでなく成長にも関わることができ、非常にやりがいがある仕事です。
▶参考:一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連名「要望書」
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また、関西福祉科学大学はスクール(学校)ソーシャルワーク教育課程認定審査委員会の認定を受けているため、前述したスクール(学校)ソーシャルワーク教育課程修了者名簿への登録申請も可能です。
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▶関西福祉科学大学オープンキャンパス
この記事を書いた人

所属:入試広報部
ひつじ6号
福祉・医療・教育系の「お仕事」について詳しくお伝えできるよう、頑張ります!