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心理カウンセラーは相談者に具体的な指示を出すのではなく、カウンセリングを通じて、相談者自身で心の問題に対処できるようサポートする仕事です。
同じ心理カウンセラーであっても、職場によって仕事内容は異なります。
本記事では、心理カウンセラーの仕事内容を知りたい方向けに、職場別の仕事内容と一日の仕事の流れ、心理カウンセラーになるために必要なことを解説します。
目次
心理カウンセラーの仕事内容は?職場ごとの働き方を紹介

ここでは、職場ごとに心理カウンセラーの仕事内容を紹介します。
1.教育系の現場で働くカウンセラーの仕事内容
主な仕事内容は悩みを抱える児童や生徒に対するカウンセリング、保護者からの相談への対応や面談です。
ほかにも、不登校の生徒の相談に対応したり、職員会議で意見を交換したり、教員や保護者へ研修したりもします。
スクールカウンセラーとして働くためには、公認心理師などの資格が必要です。[注1]
[注1]job tag「スクールカウンセラー」
2.福祉系の現場で働くカウンセラーの仕事内容
- 高齢者施設のカウンセラーの仕事
高齢者施設では、高齢者ケアストレスカウンセラーなどの有資格者が、高齢者本人や、高齢者の家族や介護をする人に面談を行い、問題解決を後押しします。
仕事は介護施設や病院以外に、訪問看護では、高齢者本人の自宅でもカウンセリングします。
なお、高齢者施設のカウンセラーは、介護士や看護師が行うことが多く、カウンセラーのみの募集はあまりありません。 - 児童福祉施設のカウンセラーの仕事
児童相談所や児童福祉施設では、専門の資格を持ったカウンセラーが、子どもや保護者の相談にのり、心理学的な立場から解決に向けたアドバイスをします。
ほかにも、施設の職員に対する研修や、他の児童福祉施設や学校・警察・病院と連携し、虐待の疑いのある子どもの保護などもしています。
児童福祉施設で働くカウンセラーは「児童相談員」と呼ばれ、なるためには児童福祉司や児童心理司、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格が必要です。
また、合わせて地方公務員試験にも合格しなければいけません。[注2]
3.産業系の現場で働くカウンセラーの仕事内容
従業員の心のケアでは、仕事や人間関係、ハラスメントなどの悩みを聞きとり、カウンセリングを行います。
また、ストレスマネジメントの社内研修で講師を勤めることもあります。
キャリア設計や能力開発の支援では、面談を通して従業員の意欲や希望を確認し、最適なキャリア形成をサポートします。
企業内カウンセラーに必要な資格は、それぞれの会社により異なります。
なお、産業カウンセラーの資格を持っていると、従業員の心のケアとキャリア形成の支援、どちらにも対応できるため就職するうえで有利でしょう。
4.医療系の現場で働くカウンセラーの仕事内容
臨床心理の知識を使って患者の症状を落ち着かせる、患者自身で心の問題を解決できるようにするのが目的です。
また、患者だけでなく、患者の家族の相談・支援も仕事内容に含まれます。
医療系の機関で働くのに必要な資格は、それぞれの病院によっても異なります。
しかし、専門的な知識を必要とするため、公認心理師や精神保健福祉士などの資格を持つ心理カウンセラーが大半です。[注3]
[注3]job tag「カウンセラー(医療福祉分野)」
5.公務員として働くカウンセラーの仕事内容

仕事内容は配属先により異なり、さらに国家公務員・地方公務員、どちらの仕事もあります。
- 警察関係機関で働くカウンセラー
警察関係機関で働くカウンセラーでは、科学警察研究所研究員や科学捜査研究所研究員など、心理学の知識を活かした研究や、事件の調査などを行う仕事もあります。
ただし、これらの仕事は通常のカウンセリングではなく、ポリグラフ検査(うそ発見器)を使った心理鑑定などがほとんどです。
また、都道府県警察に勤める心理職員(心理員)は、非行少年への指導、子どもの問題を抱える家族からの相談対応、犯罪被害者や遺族へのカウンセリングなどを行っています。 - 刑事施設で働くカウンセラー
刑務所や少年刑務所、拘置所などで働くカウンセラーは、主に心理学の知識を活かし、非行に走った少年の更生をサポートするのが仕事です。
法務教官は少年院などで少年の矯正教育や生活指導を行います。
また、裁判所から送られてきた少年の身柄を保護し、裁判を受けるまでの間の心の安定もサポートしています。
法務技官(心理)は、矯正心理専門職とも呼ばれ、少年院などで受刑者の非行の原因を分析し、立ち直りに向けた精神的支援をする仕事です。
合わせて、保護者や学校、地域の方の相談にのることもあります。
保護観察官は罪を犯した人が社会の中で立ち直れるように、保護観察の計画や違反時の対処をする仕事です。
ボランティアの保護司とともに支援します。 - 裁判所で働くカウンセラー
裁判所の中でも、家庭裁判所で裁判官の指示のもと、家事事件や少年事件の調査を行う公務員を家庭裁判所調査官といいます。
家事事件では、争っている人たちや巻き込まれている子どもに面談を行い、問題の原因を調査します。
そのうえで、対人関係にも配慮した適切な解決案を提示します。
少年事件では、少年が非行を犯した原因を性格や成育歴、家庭環境など、多方面から調査します。
そのうえで、更生に向けた解決策を裁判官に提示するのが仕事です。
心理カウンセラーの仕事の流れは?一日のスケジュールを紹介

1.学校で働く心理カウンセラーの仕事の流れ
時間 | 仕事内容 | 詳細 |
~8:30 | 出勤・ミーティング | 出勤後は担当教師とカウンセリングが必要な生徒の打合せ |
9:00~ | カウンセリング | 依頼を受けた生徒と面談 |
10:00~ | カウンセリング | 休み時間中に相談室を訪ねた生徒と面談 |
12:00~ | 休憩 | 昼食休憩 |
13:00~ | 授業観察 | 必要に応じて悩みを抱える生徒の授業中の様子を観察 |
14:00~ | 事務処理 | 今日の面談記録などをまとめる |
14:30~ | 勤務終了 | 午前中の仕事はここで終了 午後の勤務もあるときは、別の学校に移動 |
スクールカウンセラーは、常勤ではなく1年契約の非常勤職員がほとんどです。
1日の勤務時間は3~4時間程度で、複数校をかけもちするのが一般的です。
また、いじめなどの緊急事態が発生したときには、残業して対応します。
なお、午後勤務がある人は、15:30~18:00まで出勤し、生徒のカウンセリングや、ミーティングで意見交換をすることもあります。
2.企業で働く心理カウンセラーの仕事の流れ
時間 | 仕事内容 | 詳細 |
~8:30 | 出社 | 始業前に出社し、制服に着替えて、メールをチェックする |
9:00~ | 朝礼 | 全体朝礼があれば参加する カウンセラーの立場からの発言を求められることもある |
10:00~ | カウンセリング | 予約制の場合、順番に社内カウンセリングする |
12:00~ | 休憩 | 昼食休憩 |
13:00~ | カウンセリング | 面接のほか、メールや電話などでもカウンセリングに対応 |
16:00~ | ミーティング | 必要があればミーティングに参加し、労働環境の改善案などを述べる |
18:00~ | 事務処理 | 今日の仕事内容を整理し、明日の準備 |
18:30~ | 退社 | 問題がなければ定時に仕事を終了し、退社 |
なお、企業の場合、始業や就業の時間、実際の仕事の内容はそれぞれの会社により異なります。
3.医療機関で働く心理カウンセラーの仕事の流れ
時間 | 仕事内容 | 詳細 |
~8:00 | 出勤 | 始業時刻までに出勤し、予約状況などを確認して仕事に備える |
9:00~ | カウンセリング | 医師の指示の元、患者に対しカウンセリング |
12:00~ | 新規患者の対応 | 新規の患者がいれば、病歴などを一通り確認し面談記録を作成 |
14:00~ | 休憩 | 昼食休憩 |
15:00~ | 心理検査 | 医療機関ではカウンセリング以外に、必要に応じて心理検査(心理テスト)も実施する |
18:00~ | 退勤 | 面談記録を整理し、時間になれば退勤 |
働き方は常勤・非常勤どちらもあり、病院によっては、土日勤務や夜間勤務もあります。
4.少年鑑別所等で働く心理カウンセラーの仕事の流れ
時間 | 仕事内容 | 詳細 |
~8:00 | 登庁 | 始業時間に間に合うように登庁 |
8:30~ | 朝礼(職員) | 部署の職員朝礼では全職員が集まり連絡や引継ぎを行う |
8:50~ | 引継ぎ | 少年鑑別所は夜勤もあるため、夜勤職員から仕事を引き継ぐ |
9:00~ | 朝礼(少年鑑別所) | 少年鑑別所の朝礼では、部屋や衣服の検査を行い、凶器がないか確認 |
9:30~ | 午前の日課 | 少年が工作などの課題を行うのを観察し、内容を記録する |
12:00~ | 休憩 | 昼食休憩 |
15:30~ | 打合せ | 法務技官など他の職員と話し合い、更生に向けた方法を協議 |
18:00~ | 事務処理・引継ぎ | 業務内容をまとめて、夜勤職員に引き継ぎを行う |
18:30~ | 退庁 | 問題がなければ退庁します。 |
なお、少年鑑別所では少年院のように教育などは行いません。
心理カウンセラーの仕事をこなすために必要なもの

1.心理に関する知識
そのため、カウンセラーは大卒者や大学院卒者が多く、心理学の知識を基礎から体形的に学んでいます。
また、卒業後も継続的に勉強して、新しい知識を取り入れる意欲も必要です。
2.心理に関する資格
なお、心理カウンセラーになるための必須資格はないものの、相談者から信頼され安心して相談してもらうためにも、代表的な資格は持っておいたほうがよいでしょう。
3.コミュニケーション能力
傾聴力とは、相手の話を途中で遮らずに注意深く聞き、要点をまとめながら、必要があれば質問して確認する力です。
また、カウンセラーは相談者の保護のために、医療機関や行政機関とも協力します。
そのため、状況を適切に説明し、他者と連携する能力も必要です。
4.共感力
そのとき、大切になるのが相手の話しをすべて受け入れ、気持ちに寄り添う共感力です。
相談者は話しを受け入れられ、共感されることで、安心感を覚えます。
しかし、話に共感しすぎてしまうと、冷静な立場での判断が難しくなってしまいます。
そのため、カウンセラーには共感力を支えるだけの精神力や体と心の健康も必要です。
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この記事を書いた人

所属:入試広報部
ひつじ5号
福祉・医療・教育系の「お仕事」について詳しくお伝えできるよう、頑張ります!