-
精神保健福祉士
- 精神保健福祉士
- 国家資格
- 心理職
- 就職
- 職業
- 給与

厚生労働省の発表によれば、精神疾患を抱えている人の数は2017年時点で外来・入院あわせて約419万人とされています。[注1]
この数は年々増加傾向にあることから、今後は精神疾患を抱えた人を専門的な知識に基づいてサポートする人材が求められるでしょう。
このような人材として注目されているのが精神保健福祉士です。
この記事では精神保健福祉士の資格内容や資格取得後の就職先や給与等について解説します。
[注1]厚生労働省「第13回 地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会 参考資料」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000940708.pdf
目次
精神保健福祉士ってどんな資格?

精神保健福祉士は医療、保健、福祉といった幅広い分野で活躍しています。
精神保健福祉士とは?資格について簡単に紹介
精神保健福祉士の仕事内容は勤務先によって異なりますが、例えば病院であれば入院している患者さんの相談に乗り、退院後の生活を送るためのサポートを行います。
また、患者さんだけではなく、その家族や関係機関と連絡を取り合い、患者さんの社会復帰を支援します。
精神保健福祉士と社会福祉士の違い
精神保健福祉士は精神的な障がいを抱えている人のサポートをするのに対して、社会福祉士は心身の障がいに関わらず、低所得や家庭事情などによって日々の暮らしに影響が出てしまっている人をサポートします。
社会福祉士は、高齢者や障がい者向けの介護施設や児童相談所をはじめとした福祉施設などで活躍しています。
精神保健福祉士と同様、社会福祉士も社会福祉士及び介護福祉士法で定められた国家資格です。
精神保健福祉士と臨床心理士・公認心理師との違い
精神保健福祉士は国家資格であるのに対して、臨床心理士は公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会が認定した民間資格です。
さらに、心理の専門職として公認心理師も国家資格化されました。
また、精神保健福祉士は相談者の就労や必要な行政手続きをサポートするのに対して、臨床心理士・公認心理師は心理検査やカウンセリング等の臨床心理技法を用いて、相談者の心の悩みを解決します。
精神保健福祉士の資格を取得するには?

精神保健福祉士国家試験は2日間にわたって実施され、受験料は24,140円です。[注3]
精神保健福祉士の資格試験を受けるためには?
受験要件は以下のようなパターンがあり、大学、短期大学を経由した場合の要件は次のとおりです。
パターン | 資格取得方法 |
---|---|
1 | 4年制保健福祉系大学等で指定科目を履修 |
2 | 3年制保健福祉系短期大学等で指定科目を履修+相談援助実務を1年経験 |
3 | 2年制保健福祉系短期大学等で指定科目を履修+相談援助実務を2年経験 |
4 | 4年制保健福祉系大学等で基礎科目を履修+短期養成施設等で6ヶ月以上勤務 |
5 | 3年制保健福祉系短期大学等で基礎科目を履修+相談援助実務を1年経験+短期養成施設等で6ヶ月以上勤務 |
6 | 2年制保健福祉系短期大学等で指定科目を履修+相談援助実務を2年経験+短期養成施設等で6ヶ月以上勤務 |
7 | 4年制一般大学等+一般養成施設等で1年以上勤務 |
8 | 3年制一般短期大学等+相談援助実務を1年経験+一般養成施設等で1年以上勤務 |
9 | 2年制一般短期大学等+相談援助実務を2年経験+一般養成施設等で1年以上勤務 |
4年制保健福祉系大学、3年制保健福祉系短期大学、2年制保健福祉系短期大学で指定科目を履修した場合、最短4年で精神保健福祉士の資格取得が可能です。
精神保健福祉士の資格試験の内容は?
精神保健福祉士の資格試験の合格率はどのくらい?
直近5回の合格率は次のとおりです。[注5]
回数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第20回 | 6,992 | 4,399 | 62.91% |
第21回 | 6,779 | 4,251 | 62.71% |
第22回 | 6,633 | 4,119 | 62.10% |
第23回 | 6,165 | 3,955 | 64.15% |
第24回 | 6,502 | 4,267 | 65.63% |
平均 | 6,614 | 4,198 | 63.50% |
同じく国家試験である社会福祉士国家試験の直近の合格率が約30%であることと比較すると、精神保健福祉士の合格率は高いといえるでしょう。
社会福祉士の合格率は次のとおりです。[注6]
回数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
第30回 | 43,937 | 13,288 | 30.24% |
第31回 | 41,639 | 12,456 | 29.91% |
第32回 | 39,629 | 11,612 | 29.30% |
第33回 | 35,287 | 10,333 | 29.28% |
第34回 | 34,563 | 10,742 | 31.08% |
平均 | 39,011 | 11,686 | 29.96% |
精神保健福祉士の資格取得後はどんな仕事に就ける?

医療系
具体的な業務は勤務先によって異なりますが、いずれも精神障がいを抱えた患者さんの生活をサポートします。
また、主治医や看護師、作業療法士など他の職種と連携してチーム医療を提供することも重要です。
福祉系
障がい者支援施設や通所施設では、医療費をはじめとしたアドバイスを行うだけでなく、他の機関と連携して適切な福祉サービスを利用できるように図ります。
また、介護施設では高齢者のケアや相談に乗ります。
教育系
文部科学省はスクールソーシャルワーカーの配置充実を掲げていることから、今後は教育領域における精神保健福祉士のニーズの高まりが予想されます。[注7]
司法系
具体的には社会復帰調整官や精神保健参与員として、精神保健福祉の観点からさまざまな意見やサポートを行います。
また、矯正施設でも社会復帰調整官等精神保健福祉士が配置されるケースがあります。
精神保健福祉士の気になる年収は?

前回行われた同調査の平均年収347万円と比較すると、57万円上昇しています。[注8]
【施設・事業所別】精神保健福祉士の年収目安
「精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書」によれば、主な施設・事業所別の精神保健福祉士の平均年収は以下のとおりです。[注8]
一方、次の施設・事業所は精神保健福祉士の平均年収を下回る結果でした。
【雇用形態別】精神保健福祉士の年収目安
「精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書」によれば、それぞれの割合は次のとおりです。[注8]
・正規職員:80.6%
103万円未満 | 103万円~130万円未満 | 130万円~150万円未満 | 150万円~200万円未満 | 200万円~300万円未満 | 300万円~400万円未満 | 400万円~500万円未満 | 500万円~600万円未満 | 600万円~ | |
正規職員 | 0.8% | 0.1% | 0.1% | 0.5% | 8.5% | 26.3% | 21.9% | 12.1% | 15.0% |
契約職員 | 4.8% | 1.5% | 0.8% | 4.8% | 28.9% | 22.7% | 7.9% | 2.5% | 2.0% |
パートタイム職員 | 21.4% | 7.6% | 4.3% | 7.9% | 18.0% | 5.7% | 2.6% | 0.9% | 0.3% |
派遣職員 | 10.9% | 0.0% | 0.0% | 2.2% | 19.6% | 8.7% | 2.2% | 0.0% | 4.3% |
一方、契約職員は200万円~300万円未満が最多の28.9%で、404万円を上回る層の割合は12.4%に留まっています。
【性別・年齢別】精神保健福祉士の年収目安
まず、精神保健福祉士の年齢比、男女比は以下のとおりです。[注8]
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代以上 | 平均 | |
男性 | 325万円 | 420万円 | 492万円 | 541万円 | 407万円 | 437万円 |
女性 | 311万円 | 351万円 | 399万円 | 451万円 | 321万円 | 366.6万円 |
また、男性全体の平均年収は、全体の平均年収を上回っているの対して、女性全体の平均年収は全体の平均年収を下回っています。
精神保健福祉士はさまざま領域で活躍できる資格
精神保健福祉士国家試験は年に1回実施され、2023年3月時点で24回行われています。
試験の近年の合格率は60%ほどです。
いずれの領域でも相談者の生活や社会参加をサポートする、やりがいのある仕事といえます。
この記事を書いた人

所属:入試広報部
ひつじ5号
福祉・医療・教育系の「お仕事」について詳しくお伝えできるよう、頑張ります!