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特別支援学校教諭になるには? 必要な免許や知識・技能を解説
  • 2025.10.08

 特別支援学校は、障害のある児童・生徒に対して幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を行うと同時に、障害による学習・生活上の困難を克服して自立を図るために必要な知識・技能を授けることを目的に設置されている学校です。対象となる障害種には、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、または病弱者(身体虚弱者を含む)があります。以前は障害により盲学校、聾(ろう)学校、養護学校と呼ばれていました。幼稚部(3歳~5歳)は主に早期教育が重要な視覚障害、聴覚障害特別支援学校に設置されています。特別支援学校教諭として採用されると、主に特別支援学校で教諭として児童・生徒の教育と支援にあたることになります。

 この記事では、特別支援学校教諭の仕事内容や、特別支援学校教諭になるためにはどんな学びが必要かなど、具体的に解説していきます。

目次

1.特別支援学校教諭の仕事って?

 特別支援学校の先生というと、少しハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、先生としてやるべき仕事は、基本的には小・中・高等学校の教諭と変わりません。とはいえ、もちろん特別支援教育ならではのポイントもあります。ここでは特別支援学校教諭の仕事や働き方、年収などについて解説します。

具体的にどんなことをするの?

 特別支援学校の先生だからといって、通常の教育と異なる特別なことをするわけではありません。ただ、障害のある子どもたちと接するため、 それぞれの障害についての知識や支援のスキル、障害者の福祉に関する知識や人権意識、カウンセリング・マインドなど、 身につけておくべきことは多く、多様な場面に対応できる力や姿勢が求められます。
 子どもたちの体や心の状態をしっかり見て感じながら、学習や生活の面で一人ひとりに寄り添って教育・指導することが大切です。

どんなところで仕事をするの?

 主な職場は特別支援学校です。しかし、知的な遅れのない発達障害児の増加もあり、特別支援教育は特別支援学校に限らず全ての学校で行われています。小・中学校に設置されている特別支援学級の担任や、小・中・高等学校に設置されている通級指導教室の担当者は、その学校の教員の中から校長によって指名されます。
 特別支援学級の担任は、小・中学校の教員免許状と併せて特別支援学校教諭の免許状を所持することが望ましいとされますが、特別支援学校教諭の免許状がなくても勤務は可能です。しかし、特別支援学校教諭の免許状を取得していることは、特別支援教育に関する知識や技能を持っていることの証明になります。また、特別支援学校教諭の免許状を取得していても通常学級の先生として働くこともあります。
 特別支援学校教諭をめざすことで、道が狭まることはありません。むしろ、特別支援学校教諭の免許状を取得していていれば、先生として働く場所の選択肢は増えるとも考えられます。
ちなみに、テレビなどで取り上げられることも多い病院の院内学級や訪問教育は、病弱特別支援学校や肢体不自由特別支援学校の訪問部が主に担当しています。

年収はどのぐらいあるの?

 国立大学の附属や少数の私立を除き、ほとんどの特別支援学校は都道府県や規模の大きな市が設置母体となっています。地域や学校の種別によっても変わってきますが、国税庁の調査によると特別支援学校教諭の平均年収は494万円で、日本の会社員の平均年収458万円を上回っています。これを見ると、教師の平均年収は一般的な年収の中では高い方であるといえます。 公立学校の教諭であれば、年2回のボーナス支給もあり、安定した収入が見込めます。

参照:国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査

2.特別支援学校の先生になるために

 特別支援学校の先生になるためには、まず基礎免許状として幼稚園、小学校、中学校または高等学校の教員免許状を取得する必要があります。その基礎免許状に追加して特別支援学校教諭の免許状を取得することで、特別支援学校の先生をめざすことができます。
 特別支援学級の先生についても特別支援学校教諭免許状があることが望ましいとされていますが、現状では義務ではないため、小・中学校の教員免許状だけでも担当する場合があります。ここでは、特別支援学校教諭の免許状について詳しく解説していきます。

参照:文部科学省「参考資料7「特別支援教育にかかる教育職員免許状について」「参考資料25:特別支援教育に係る教育職員免許状について」

特別支援学校教諭の免許って?

 特別支援学校の先生は、小学校・中学校・高等学校または幼稚園の教員免許状に加えて、原則として特別支援学校教諭免許状を取得することになっています。障害についての基礎的な知識や、特定の障害についての専門性を身につけるために、大学などで特別支援教育に関する科目の単位を修得することで取得できます。

必要な免許の種類は?

 特別支援学校教諭の免許状には、一種・二種・専修の3種類があります(専修免許は大学院修了者や、現場経験をつんだ現職がスキルアップするためのものという位置づけです)。

 一種免許状は大学で、二種免許状は短期大学等で必要な科目・単位を修得し、教育委員会へ申請することで授与されます。特別支援学校教諭免許状は、修得した科目の種類や単位数によって免許状の専門領域が定められます。領域の種別は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者の5領域です。

免許はどうやって取得するの?

 特別支援学校教諭の免許状は、修得した科目の種類や単位数によって認定される領域が異なります。小学校・中学校・高等学校または幼稚園の教員免許状(基礎免許)と特別支援学校の教員免許状を同時に取得できる大学の教育学部や教育学科の専門課程で学ぶ必要があります。また、基礎免許状の学校と特別支援学校の両方で教育実習を行い、取得するのが一般的です。ただし、教育学部や教育学科でも特別支援学校教諭免許の教職課程がない学校もあるので注意が必要です。
 一方、既に基礎となる教員免許状を所持して特別支援学校や小・中・高等学校に勤務している現職教員の場合は、勤務している都道府県の教育委員会や一部の大学が実施している免許法認定講習を受講して必要な単位を修得することで、特別支援学校教諭二種免許状を取得することが可能です。国立の教育大学などに設置されている特別専攻科や一部の専門職大学院、放送大学などの通信制大学でも免許状を取得することができます。
 しかし、大学卒業後に免許を取得しようとする場合、社会人として働きながら勉強の時間や費用を確保しなければならないなど、大変なことも多くなります。

 特別支援教育の学びは、今後さらに必要とされる知識だと考えられており、さまざまな現場で活かせる内容です。教員をめざすのであれば、最初から特別支援学校教諭免許状の取得を視野に入れて勉強することをおすすめします。

3.特別支援学校教諭免許取得の難易度は?

 では実際に特別支援学校教諭をめざす場合、難易度はどの程度なのでしょうか。また、具体的にはどのようなことを学んで準備していけばいいのでしょうか。ここでは必要な知識や学ぶ内容、採用の難易度や流れについて紹介します。

免許の取得は難しくはありません

 特別支援学校教諭の免許状は、特別支援学校教諭の教職課程のある大学で学ぶ場合には必要な科目の単位を修得することで申請できるので、基本的な学びをしっかりと身につけておけばそれほど難しいことではありません。
 ただ、それぞれの障害への知識を深めるなど学習すべき科目が多く、幅広い学びが求められます。前述の通り、小・中・高等学校などでの教育実習に加えて、特別支援学校での教育実習も必要です。また、特別支援学校教諭になるためには、各自治体(都道府県)の採用試験を受けることになるので、スケジュールや募集要項などの情報をしっかりと把握しておくことも重要なポイントです。

教員採用試験の合格率は?

 特別支援学校教諭の採用試験は、各都道府県や政令指定都市の教育委員会によって、特別支援学校教員採用枠で実施されます(小・中・高等学校と一括で試験を行う自治体もあります)。
 その際、特別支援学校の免許状の保有を受験資格としている自治体と、特別支援学校教諭免許状がなくても受験を認める自治体がありますが、特別支援学校免許状を取得していること(または取得見込)を条件にしている自治体が増えています。2024年度における特別支援学校教諭の採用試験倍率の全国平均は2.3倍で、小学校2.0倍、中学校3.2倍、高等学校5.0倍、養護教諭7.6倍、栄養教諭9.0倍という数字と比べると、比較的倍率が低いことがわかります。
 ただし、小・中・高等学校よりは募集人数が少なく、募集の方法もそれぞれで違う場合があるので、勤務を希望する自治体の募集方法や、その年の募集人数などを確認しておく必要があります。国立大学教育学部の附属特別支援学校の場合は、独自の採用を行っている学校は少なく、公立の特別支援学校の教員の中からの人事交流によって採用されることがほとんどです。

▶参考:教員採用試験対策サイト(時事通信出版局)「2024年度(2023年夏実施)教員採用試験 最終合格者数DATA」

どんなことを勉強しておけばいい?

 特別支援学校教諭免許状の領域には視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者の5つがあります。全ての領域について学習が必要ですが、修得した科目の単位などによって免許で定められる領域が決まります。実際には視覚障害者と聴覚障害者の領域に対応しているのは大規模な国立大学の教育学部が中心で、それ以外の多くの大学では知的障害者、肢体不自由者、病弱者の3領域に対応しています。実際に教員になってから免許法認定講習などで単位を修得して領域を追加することも可能です。大学では、基礎免許状の取得に関する学習や教育実習に加えて、特別支援教育についての知識や各障害児の病理、障害別の指導方法などを学び、特別支援学校で教育実習を行います。学ぶ範囲は幅広く、また、障害への理解や特別支援教育における基本的な理念や姿勢を身につけることも重要です。

特別支援学校教諭になるなら関西福祉科学大学教育学部教育学科へ!

 特別支援学校教諭になるには、学ぶことがたくさんあります。それはこれからの教育の現場でさらに必要とされることが見込まれる分野であり、先生として子どもと向き合う際に、自分をサポートしてくれる大きな力となる学びです。
 特に特別支援教育を受けている子どもたちは、大人が予想する以上に大きな成長を見せてくれることがあります。やりがいの大きな特別支援学校教諭をぜひ、めざしてみてはいかがでしょうか。

 関西福祉科学大学 教育学部 教育学科では、小学校教諭一種免許状、幼稚園教諭一種免許状、特別支援学校教諭一種免許状(知・肢・病)もしくは保育士資格のいずれかの最大3つの免許・資格の取得が可能です。特別支援学校の教員をめざす場合は、2年次に初等教育コースを選択し、小学校教諭を基礎免許状として、特別支援学校教諭一種免許状(知・肢・病)を取得します。
 教員採用試験対策の各講座など、就職面でのサポートも充実しています。
 特別支援学校教諭をめざすなら、ぜひ関西福祉科学大学 教育学部 教育学科のオープンキャンパスを訪れてみましょう。

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