次に、言語聴覚士の仕事の魅力について見ていきたいと思います。
高校生のみなさんの中には、将来は子どもに関わる仕事に就きたい!と思っている方も多いと思います。
発達支援に関わる言語聴覚士は、子どもの言葉の遅れやコミュニケーションの特徴について丁寧に評価し、玩具や絵本など、子どもが興味・関心を持つものも活用しながら言葉の育ちを促していきます。また、読み書きが難しい子どもには、基礎となる語い力や形を認識する力などを伸ばしながら、その子に合った方法で文字の習得ができるよう訓練、指導を行います。医療機関や福祉施設、学校などで子どもの発達や成長をサポートできる仕事です。
「話す」「聞く」といったコミュニケーションの機能に障害を持っている子どもの場合、周囲の人とうまくコミュニケーションがとれず、さまざまな物事を表す言葉にふれる機会が乏しくなりがちです。言葉の理解や表現の力の発達に難しさを抱えるとともに、社会生活に大きな影響を及ぼしてしまうこともあります。言葉の能力をみるだけではなく、子どもを取り巻く環境についても評価し、必要な調整を行うことも言語聴覚士の仕事です。
小児リハビリでは、子どもやその家族と定期的に会い、発達の状態や子どもの特徴に合った指導・訓練、保護者の不安に対する相談や具体的な助言を行います。じっくりと親子と向き合い、コミュニケーションを取ることが求められます。
子ども自身が持っている力を使って何かに向かう姿やチャレンジする姿、少しだけ手ごたえがある課題をクリアした時の「できた!」という表情を見ることは言語聴覚士にとっても嬉しい瞬間です。子どもたちが少しずつ、時には大きく成長する喜びを感じられる魅力があります。
言語聴覚士の職場環境は夜勤がなく、就業時間が規則的であることは魅力のひとつです。
女性の産前・産後の休暇取得、育児休暇の活用などのシステムが整備され、託児所を併設している施設も多く、結婚後も言語聴覚士として長く仕事を続けやすい職場環境です。
言語聴覚士は国家資格であるため、出産や育児で一時的に職を離れる時期があっても再就職は比較的容易であり、これまでの経験を活かして次のステージに活かせるのも特徴です。
日本言語聴覚士協会の調査によると、言語聴覚士の資格取得者の約80%が女性です。
▶参考記事:言語聴覚士の1日のスケジュールはどうなってる?
言語聴覚士の仕事は、日本の高齢化社会という社会的背景、診療報酬改定による医療機関における言語聴覚士の活躍の幅の拡がり、介護・福祉施設、訪問リハビリテーション、学校教育や児童関連施設での活躍の場の拡がりなどにより、今度ますます求められる仕事になってきます。
先述の通り、言語聴覚士は理学療法士や作業療法士に比べて少ない現状です。