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作業療法士の就職先は?病院以外の選択肢は?
  • 2024.04.12

 作業療法士が活躍する現場は多岐にわたります。一般的な病院や総合病院のほか、精神科病院や介護施設、福祉施設なども就職先の候補になります。そのため、働く場所によって業務内容や役割が変わります。
 作業療法士としての就職先を見つける際は、自分がどのような働き方を望んでいるのか、しっかり考えておくことが大切です。

 本記事では作業療法士の就職先の特徴や就職までのステップを解説します。

目次

作業療法士の就職先は病院以外にもある?

 作業療法士の一般病院以外の就職先をご紹介します。
 こちらで紹介するのは一例であるため、ほかの施設でも作業療法士が必要とされるケースはあります。

精神科病院

 作業療法士は患者の精神面のケアも専門とします。そのため、心の回復が専門の精神病院も就職先のひとつです。
  • 施設の特徴
    精神に障がいのある人の治療や保護を目的とした病院です。入院や通院の設備を備えています。
    統合失調症やうつ病、依存症などの精神疾患の治療が目的です。

  • 担当する業務
    精神疾患により生じる症状の緩和や安定、また日常生活や社会生活を営むための作業能力、生活能力、対人関係能力などの改善・回復をさまざまな作業活動を通して支援します。

  • ケアの対象となる人
    精神疾患により、日常生活や社会生活が困難となった人が対象です。

介護老人保健施設

 介護老人保健施設(老健)は高齢者の在宅復帰を目標とする施設です。
  • 施設の特徴
    高齢者が自宅に戻って、自分の力で生活ができるようにサポートする施設です。
    医師が常駐しているので、医療ケアが手厚くおこなわれます。

  • 担当する業務
    自宅で自立した生活ができるように、生活能力の向上のための日常生活動作や応用動作、機能訓練などのリハビリテーションを担当します。
    介護士への助言や指導を行うこともあります。

  • ケアの対象となる人
    病院から退院をして、直接自宅に戻ることが難しい場合に利用する施設です。要介護認定を受けた高齢者、脳卒中など特定の病気のある40~64歳の人が対象者になります。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム;特養)

 常時介護が必要で在宅生活が困難な人が利用する施設です。
  • 施設の特徴
    食事や入浴、排せつなど生活全般の介護や療養上の世話、また機能訓練等を行います。可能な限り在宅復帰できることを念頭にしますが、多くの方は在宅での生活は難しく、この施設を利用されます。終身利用される方もいます。

  • 担当する業務
    入所者ができるだけ自立した生活を送れるように、集団や個別での機能訓練、生活環境の調整や介護士への助言・指導を行います。

  • ケアの対象となる人
    在宅での生活が困難な、要介護3以上の高齢者、要介護3以上の脳卒中など特定の病気のある40~64歳の人が対象者になります。寝たきりや認知症などで意思の疎通が難しい人も少なくありません。

通所介護施設(デイサービスセンター等)

 通所介護施設は、日帰りで介護や機能訓練などを提供する施設です。
  • 施設の特徴
    機能訓練としては、個別や集団でのレクリエーション、体操や運動、趣味的活動などを行います。入浴や食事などの介護を提供します。利用者の孤立や閉じこもりの予防や、介護者の介護負担軽減を図ることも目的とします。

  • 担当する業務
    個別や集団でのレクリエーション、体操や運動、趣味的活動などの計画・実施、家族への助言や指導を行います。

  • ケアの対象となる人
    要支援及び要介護者が対象となります。障害の比較的軽度な利用者が多いですが、介護負担軽減を目的とする場合は重度な方も利用されます。

児童発達支援施設、放課後等デイサービス施設

 障がいを持つ子どもの生活能力を向上するために必要な療育を行う通所施設です。
  • 施設の特徴
    障がいを持つ子どもたちが通所し、日常生活における基本的動作や応用動作、自活に必要な知識や技能、また集団生活への適応のための訓練を行います。

  • 担当する業務
    個々に合わせた個別支援計画の作成やケアの実施を中心に担います。運動機能や知的機能のアセスメントを行ない、遊びや作業活動などを通して、機能や生活能力、学習能力の向上を目指します。家族・保護者への助言や指導、施設によっては保育園等に出向き助言や指導を行います。

  • ケアの対象となる人
    身体や知的に障がいのある児童や発達に障がいのある児童が対象となり、児童発達支援施設は未就学児を対象とし、放課後等デイサービス施設は就学時(小学校1年~高校3年まで)を対象とします。

障害者支援施設

 障害者に対し、夜間に「施設入所支援」を行うとともに、昼間に「生活介護」、「自立訓練」又は「就労移行支援」を行う施設です。
  • 施設の特徴
    施設入所支援は入浴や排泄、食事などの介護、生活などに関する相談や助言、その他の必要な日常生活上の支援を行います。生活介護は入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他必要な援助を行います。自立訓練は生活能力の維持・向上等を目的に、就労移行支援は就職に必要な知識やスキル向上を目的に訓練や支援を行います。

  • 担当する業務
    主に自立訓練や就労移行支援を行います。就労先への情報共有や支援方法についてのアドバイスをすることもあり、利用者と社会を円滑につなぐ役割も担います。

  • ケアの対象となる人
    知的障害・発達障害・身体障害など、さまざまな障がいのある人が対象です。利用者の年齢層は若干高めで、令和元年のデータでは平均52.9歳です。

保健所・行政機関

 作業療法士は病院や介護施設などのほかに、保健所や福祉課をはじめとした行政機関でも働く道があります。
  • 施設の特徴
    保健所は地域の医療機関や保健センター等の活動を調整して地域住民に必要なサービスを提供する仕組みづくりを行います。また行政機関も保健所と同様に必要なサービスの枠組みや仕組みをつくったり、高齢者や障がいのある方、その家族からの相談、生活や各種サービスの手続きを行います

  • 担当する業務
    相談に対する助言や、福祉サービスなどの手続きや調整、健康教室や介護教室などの計画や実施を行います。また、地域が必要とするサービスやサポートを見つけて、新しい事業の立案や計画などもおこないます。

  • ケアの対象となる人
    管轄する地域に住んでいる高齢者や障がいのある方とその家族が対象です。
    また、サービスを提供する施設からの相談も受け付けることがあります。

教育機関・研究機関

 作業療法士は後輩の育成や作業療法の質を高めるため、大学などの教育機関や、研究機関への就職も考えられます。
  • 施設の特徴
    教育機関は大学や短大、専門学校などの作業療法士を養成する機関です。
    研究機関は保健・医療・福祉、人や生活について研究する機関が主です。
    大学は教育と研究が一体となった機関です。

  • 担当する業務
    教育機関では作業療法士を目指す人への教育・育成が主な業務です。大学では研究も業務です。
    大学や研究機関では新しい技術や考え方、人や生活や環境についての研究を行い、より効果的な作業療法の開発や提供を目指します。

  • ケアの対象となる人
    教育機関や研究機関に就職する場合は、直接作業療法を実践する場面は少なくなりますが、学生や対象者など多くの人々と関わりながら、教育・研究を進めて行きます。

作業療法士の就職先はどう選ぶ?職場選びのポイントを紹介

 作業療法士として希望する働き方ができるように、選び方のポイントを知っておきましょう。

1.働きたい領域を決める

 作業療法士は職域が幅広く、様々な領域や職場で活躍できます。そのため、最初に自分が働きたい領域を決めて、それに合う職場を見つけることが大切です。
 4つの領域別に就職先(職場)の候補をご紹介します。
  • 身体障害領域
    小規模病院やクリニック・大学病院・総合病院・整形外科病院・身体障害者福祉センター・リハビリテーションセンターなど

  • 精神障害領域
    精神科病院・精神障害者支援センター・精神保健福祉センターなど

  • 発達障害領域
    病院の小児科・児童福祉施設・特別支援学校・保育所・発達障がい児支援センター・障害者厚生施設など

  • 高齢期領域
    介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・訪問看護ステーション・在宅介護支援センターなど
 現場ではなく、相談業務や提供サービスの仕組みや枠組みづくりを行いたい場合は行政機関なども就職先に挙がります。教育職や研究職に就きたい場合は、まずは大学院進学を考える必要があります。

2.教育や研修制度の充実度を調べる

 国家試験に受かった段階では、現場での知識や技能、その他の能力もまだまだ未熟です。
 働き始めた初期に十分な教育や研修制度でしっかり学べれば、基礎を盤石なものにして着実にステップアップしながら働けます。
 自信にもつながり、今後のキャリアにも大きく影響するため、就職先を選ぶときは教育や研修体制にも目を向けましょう。

3.長期的な視点で考える

 就職先を探す際に重視しがちなのは、初任給や休日数などの待遇面です。
 これらが平均的な値であることは大切ですが、長期的な視点でも就職先を選ばなくてはいけません。
 将来のキャリアプランを立ててそれに合致する就職先や、研修制度で常にステップアップを目ざせる職場であることなど、未来の自分を想像して選ぶようにしましょう。

作業療法士として就職するまでの流れ

 作業療法士として就職するには、決められた期間必要な学習をし、国家試験に合格しなければいけません。就職するまでの一般的な流れを解説します。

1. 大学や専門学校で国家試験の受験資格を得る

 作業療法士になるには、大学をはじめとした教育機関で必要なスキルと知識を習得し、国家資格を取得しなければいけません。
 作業療法士の国家試験の受験資格は、養成課程のある教育施設で3年以上知識と技術を学ぶ必要があります。作業療法士養成課程のある大学や専門学校等で必要な知識や技能を習得して受験資格を得ましょう。

2.気になる就職先をピックアップする

 作業療法士の最終学年時は、臨床実習や国家試験などが控えている状態です。
 また、専門職で内定率が高いことから、最終学年に入ってからの就職活動でも内定をもらいやすいです。
 そのため、多くの場合最終学年に入ってから本格的な就職活動を開始します。
 それまでに気になる就職先をピックアップしておきましょう。
 見学が可能であれば、実際に足を運んで現場の雰囲気を知っておくと安心です。

3.採用面接を受ける

 働きたい場所が決まったら、採用面接や試験を受けます。
 この時点ではまだ国家試験を受けていない人が大半ですが、就職先もそれを理解しています。
 面接や試験の日程は、必須の授業や実習の日程とかぶらないように注意しましょう。

4.作業療法士の国家試験を受ける

 作業療法士は内定をもらってから国家試験を受ける流れが一般的です。
 合格率は国家試験の中では高めですが、十分な準備と対策が必要です。しっかりと準備と対策をして臨みましょう。
 就職先の職場の方針によって、不合格時の対応は異なります。
 働きながら再度国家試験に挑める職場もあれば、内定取り消しになるケースも存在します。

作業療法士の就職先は幅広い 目ざすなら関西福祉科学大学へ

 作業療法士の就職先には病院や福祉施設など、幅広い選択肢があります。
 就職先を決める際は、ご自身が作業療法士になってどのように働きたいか、明確なビジョンを持って選ぶことが大切です。
 関西福祉科学大学では、作業療法士になるための作業療法学専攻を設置しております。国家試験の受験資格取得に必要な学習ができるため、スムーズに作業療法士を目ざせます。
 作業療法士として働くための第一歩になる場所です。ぜひご検討ください。

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