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作業療法士の給料はどのくらい?気になる年収について
  • 2022.11.14

 作業療法士に興味がある!将来は作業療法士になって活躍したい!と考えている高校生の方や保護者の方にとって「作業療法士の給料(年収)がどのくらいなのか?」については知っておきたい内容ではないでしょうか。

 高校を卒業して、作業療法士の養成校に入り国家資格を取得し就職した後の初任給についてや、年齢やキャリアを重ねていくと給料(年収)はどうなっていくのか。

 今回は作業療法士の気になる給料(年収)について、見ていきたいと思います。

目次

作業療法士の平均年収はどのくらい?

 作業療法士の給与(年収)は、働く施設や規模、雇用形態、勤続年数、地域などによって違ってきます。
 まずは、平均的にどのくらいの給料(年収)なのかを見ていきたいと思います。

 作業療法士の給料の平均的な数字を知り、自分が将来働きたい場所や施設、規模によってどう変わるのかを詳しく調べていくのがオススメです。

作業療法士の平均年収(給与)

 作業療法士全体の平均年収は約407万円(※)となっています。
 ▶参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2020年度発表

 この作業療法士の平均年収データの年齢や勤続年数の平均データは下記のようになっています。
  • 平均年齢:34歳
  • 平均勤続年数:6年半
 作業療法士の給料(年収)は、日本の給与所得者の平均年収(約440万円)よりも少し低い傾向となっており、日本の高齢化社会の影響による社会保障費の抑制や診療・介護報酬の動向から、大幅な増減はないと見られています。

 作業療法士の働く場は、身体、精神、発達、地域・高齢期分野など幅広く、昨今では介護予防、就労支援、特別支援教育などの分野で働く作業療法士も増えてきています。今後、さらに需要が高まると考えられています。

 現状でも、作業療法士の採用に積極的な職場が全国に点在し、今後も増えることが予測されます。
 作業療法士の将来性や求人状況や不足している職場などについては、こちらの記事もご覧ください。
 ▶作業療法士の将来性が知りたい!どうなる?

 続いて、勤務先の規模や年齢や勤続年数の違いで年収(給与)がどのように違ってくるのかを見ていきたいと思います。

企業規模別の平均年収(給与)

 企業規模別でみると、平均年収にどのような違いがあるのでしょうか。
 厚生労働省のデータをみると、下記のようになっています。
 ▶参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2020年度発表
  • 10人~99人:3,979,100円
  • 100人~999人:4,049,100円
  • 1,000人以上:4,206,950円
 将来、勤務する職場の規模によって平均年収に違いがあることがわかります。

年齢別の平均年収(給与)

 続いて、年齢によって平均年収(給与)にどのような違いがあるのか見ていきたいと思います。
 ▶参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2020年度発表
 上記データより、企業規模計(10人以上)男女データの平均数値を算出
  • 20~24歳:3,233,650円
  • 25~29歳:3,687,750円
  • 30~34歳:3,963,750円
  • 35~39歳:4,406,600円
  • 40~44歳:4,680,550円
  • 45~49歳:4,949,150円
  • 50~54歳:5,584,800円
  • 55~59歳:5,650,350円
  • 60~64歳:3,860,750円
  • 65~69歳:3,563,800円
  • 70歳~:3,505,800円
 データを見ると、年収が最も高くなる50歳後半まで経験を重ねていくことで、年収も上がっていくことがわかります。
 作業療法士として、経験を積んでいくことで自分自身がどのくらいの年収になるのか参考になると思います。

 これから、ますます高齢化が進む日本では経験豊富な作業療法士が求められていくことが予測されています。特に、勤務年数の長い経験豊富な作業療法士の平均年収は上がっていく可能性が高いと考えられます。

 また、作業療法士の国家資格取得者のほとんどが、作業療法の仕事に携わることができています。
 日本作業療法士協会の調査データによると、作業療法士全体のうち87.8%が作業療法士として継続して職務に就いており、ずっと作業療法士として長く安定して働き続けられるということが分かります。
 つまり、作業療法士という仕事は退職するまでの長い期間続けて働くことができ、給与もあがりつつ安定して収入を得ることができる仕事といえるのはないでしょうか。

 約9割の作業療法士が、長く続けて働いている理由として大きな要因は、「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」を図りやすい点だと言えます。
 例えば、妊娠や出産のタイミングで仕事を離れて休業期間があったとしても、別の職場への再就職先がしずらいというケースはあまりありません。(※作業療法士の国家資格取得者の約60%が女性です。)
 また、自身の状況や家庭環境などの変化に合わせて、非常勤勤務や小規模事業所での勤務など多様な就労環境の中から自分に合った職場を選択できるというメリットがあります。

 このように、ワークライフバランスを図りやすい仕事であり、高齢化社会によって今後求められる仕事であり全国各地で積極的に採用されるということから多くの作業療法士が長く続けていける仕事であるということが分かります。

作業療法士として年収(給料)アップしていくためには

 作業療法士の平均年収について、詳しく知ることができました。
 次に、作業療法士が年収を上げていくためにはどのようなポイントがあるのかを見ていきたいと思います。

作業療法士として経験年数を積む

 作業療法士が年収を上げていくためのポイントとして、経験年数があげられます。
 作業療法士として、働く年数が長くなれば経験と一緒に年収も上がっていきます。

 経験年数別の平均年収を見ていきたいと思います。
 ▶参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2020年度発表
 上記より、企業規模計(10人以上)の経験年数別の男女平均年収を算出
  • 経験年数0年:338万円
  • 経験年数1~4年:358万円
  • 経験年数5~9年:391万円
  • 経験年数10~14年:440万円
  • 経験年数15年以上:511万円
 上記のデータは、あくまでも平均的な数値で勤務先によって違ってくることもありますが、作業療法士として経験を積んでいくことで年収が上がっていくことが分かるかと思います。
 また、職場にもよりますが、作業療法士として経験を積み、主任、課長、部長といった役職に就くことで、年収をアップしていくこともできると思います。

新たな資格を取得してキャリアアップを目指す

 次に、作業療法士が年収を上げていくためのポイントとして、キャリアアップがあげられます。
 作業療法士の資格も国家資格ではありますが、さらなる専門性を追求しキャリアアップするためには、新たな資格を取得することも給料(年収)アップのポイントのひとつです。
 資格の取得は、専門的な知識やリハビリの技術の向上だけではなく、職場内での役割も拡大、給料UPにもつながる可能性もあります。
 作業療法士として経験を積み、「認定作業療法士」や「専門作業療法士」という日本作業療法士協会が定める資格を取得し、キャリアアップすることもできます。

■「認定作業療法士」や「専門作業療法士」とは?
 作業療法士の質の向上を目的として、平成10年に日本作業療法士協会によって「生涯教育単位認定制度」が創設されました。
 平成15年には、「生涯教育制度」へ改正され同時に「認定作業療法士制度」が創設されました。
 さらに、平成21年度からは「専門作業療法士制度」が始動しています。

 協会認定作業療法士とは、作業療法の臨床実践、教育、研究及び管理運営に関する一定水準以上の能力を有する作業療法士を日本作業療法士協会が認定した者をいうとされています。

 専門作業療法士制度は、上記の認定作業療法士である者のうち、特定の専門作業療法分野において「高度かつ専門的な作業療法実践能力」を有する者を専門作業療法士として認定することとしています。
 専門作業療法士とは作業療法の中のある分野をより深く知り、その分野における高度な課題解決能力を有する人たちの事です。

 このように、作業療法士として経験を積み、さらに専門性を高めるために「認定作業療法士」や「専門作業療法士」を目指しキャリアアップすることも年収アップにつながる大切な要素になると思います。

今後の社会動向に合わせて活躍の場所を拡げる

 作業療法士は幅広い場面で、リハビリテーションのスペシャリストとして高い専門性を発揮できる仕事です。

 今後も時代の流れとともに需要の高まりも予想され、活躍できる場はさらに広がると言われています。
 今後の社会動向によって、どのような活躍場所の拡がりがあるのでしょうか。
  • 医療機関以外での活躍場所の拡がり
    従来の新卒の作業療法士の就職先は医療機関がほとんどでした。
    現在の新卒の作業療法士が目指せる領域は、医療機関だけではなく、介護事業所、児童福祉施設、自治体の保健センターなどにも広がっています。

  • 学問としての作業療法領域の拡がり
    全国各地にある作業療法士養成校のカリキュラムも、時代の流れに合わせて変化を遂げていきました。
    4年制大学での教育や修士・博士号を取得する環境も整えられ、職業としての作業療法に加えて学問としての作業療法に拡がってきております。
    4年制大学で学び、大学院に進学してリハビリテーションについての研究を行うという進路も出てきております。

 大学で教鞭をとる作業療法士として、医療・福祉分野における研究開発に携わる作業療法士としてなどその専門性と学問的基盤を活かした活躍場所が増えてきております。
 ▶参考:関西福祉科学大学 作業療法学専攻 資格・就職キャリア

  • 社会起業家としての活躍の拡がり
    また、上記以外の活躍の拡がりもあります。それは、「社会起業家」として、身近な地域住民が抱える問題の解決に取り組む起業家としての作業療法士も増えてきております。

 特に、2011年の東日本大震災以降、日本全国で災害に対する備え、あるいは災害からの復旧・復興のための体制づくりの重要性に注目が集まっております。
 有志者が任意団体を立ち上げ、被災者の生活支援や介護予防に向けた指導を行ったり、リハビリテーションの専門家が少ない地域で訪問リハビリテーション事業を行ったりと、社会起業家として多くの被災住民の健康を支える作業療法士も増えてきております。

  • 子どもの分野での活躍の拡がり
    高齢者や成人だけではなく、子どもの分野にも作業療法士としての活躍場所が拡がってきております。
    最近では特に、不登校や引きこもり、ニートといった問題に発展しやすい発達障害児の支援では、作業療法士の個別訓練・指導が、より早期に受けられる事業所の開設が増えてきております。

 以上のように、作業療法士を取り巻く状況は目まぐるしく変化してきており、今後も時代の流れとともに、活躍できる場はさらに広がっていきます。
 そのような場所での活躍の経験が今後、作業療法士として給料(年収)をアップしていく重要なポイントになるのではないでしょうか。

 これからの時代に求められる仕事であり、長く安定して働いていける作業療法士について詳しく知りたい方は、養成校の説明会やオープンキャンパスに参加すると1日で多くの情報が得られてオススメです。

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