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小児、子どもと関わる言語聴覚士の仕事について
  • 2023.01.16

 言語聴覚士を目指している高校生のみなさんが言語聴覚士の仕事内容を調べていくなかで、子ども(小児)と関わる言語聴覚士について興味を持つ方も多いのではないでしょうか。

 今回は、子ども(小児)と関わる言語聴覚士の役割や仕事内容にスポットをあてて詳しく見ていきたいと思います。

 将来は子どもに関わる仕事に興味がある高校生の方にも、このページを通じて小児領域の言語聴覚士の仕事内容や役割について知ってもらえればと思います。

 子どもが好きな方は「保育士」や「幼稚園や小学校の先生」に興味を持って調べている方も多いと思います。子どもと関わる仕事に興味を持っている高校生の方の進路選択に役立つ情報になればと思います。

目次

小児領域で活躍する言語聴覚士の仕事や役割とは?

 言語聴覚士は、ことばや(「話す」「聞く」)や嚥下【えんげ】(安全に「飲み込む」)に困難をかかえる方に対し、その問題の本質やメカニズムを明らかにするために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行うことで、自分らしい生活を構築できるように支援する医療専門職です。
 
 言葉によるコミュニケーションの問題は、子どもからご高齢者まで幅広く、言語聴覚士の領域は対象者によって、「成人領域」「小児領域」に大きく分けられています。
 
 言語聴覚士の中には、子ども(小児)を対象として「小児領域」で活躍している方がいます。
「小児領域」で活躍する言語聴覚士の仕事や役割とは、どのような内容なのでしょうか。

対象となる子ども(小児)について

 まず、「小児領域」の対象となる子どもについて詳しく見ていきたいと思います。
 
「ことば・コミュニケーションの発達」、「耳の聞こえ」、「食べること」などに困難さがある子どもが対象です。
 
「ことば」
 言語発達遅滞や構音障害、吃音や学習障害(読み書きや計算の難しさ)、小児失語症などのある小児がリハビリの対象となります。
 言語聴覚士は、話しことばや書きことばの理解や表現ができるように支援を行い、コミュニケーションの発達を促します。また、発音に難しさがある場合には適切な時期に訓練を行うこともあります。吃音についても周囲からの関わり方や話し方について助言や指導を行います。
 
「ことば」の障害の原因は人それぞれです。お子さん一人ひとりに合わせた適切なリハビリを考案してサポートしていきます。
 
「聞こえ」
 人の声や周囲の音の聞きとりに困難がある「難聴」がある小児が支援の対象になります。音声でコミュニケーションを取ることが困難なことによってことばの発達にも影響があります。言語聴覚士は聴力検査を実施し、聞き取りや発音の指導などを行います。また補聴器や人工内耳の調整を行うこともあります。
 
「食べる」
 口の中で食べ物を咀嚼する力、飲み込む力の弱さや食べ物を丸呑みするなどの摂食嚥下障害がある小児がリハビリの対象となります。言語聴覚士は嚥下機能や口の動きの発達の状態に適した食べ物の形態を検討し、食べる機能の発達を促す支援を行います。
 
 
「高次脳機能障害」
 脳血管疾患による「小児失語症」や、「注意障害」、「記憶障害」のある小児がリハビリの対象となります。言語聴覚士は、ことばや認知機能の回復や発達を促し、家庭や学校などでの生活を送るために必要なリハビリやサポートを行います。
 
 1人ひとり個別でリハビリを行うだけでなく、グループでのリハビリも行っていきます。

小児領域における言語聴覚士の仕事内容

 次に、「小児領域」で活躍する言語聴覚士の仕事内容について見ていきたいと思います。
 
 先に述べたような、小児領域における「ことば」、「聞こえ」、「食べる」、「高次脳機能障害」などの問題の本質や発現しているメカニズムを検査・評価によって明らかにし、対処法を検討します。
 
 そして、その対処法をもとにリハビリプログラムを考案し、訓練、指導、助言などを通してサポートしていくことが言語聴覚士の仕事です。
 
 また、子どもを育てる親御さんへ適切な助言をすることも言語聴覚士の大切な仕事です。
 小さなお子さんの発達には、個人差があります。そのため、障がいの発見が遅れてしまう場合も少なくありません。
 
 言語聴覚士は、対象となるお子さんの状態を詳細に把握したうえで、お子さんとの効果的な関わり方を親御さんに伝え、日常生活や家庭内でコミュニケーションを楽しめるようにサポートします。

小児領域で働く言語聴覚士の人数や割合は?

 次に、小児領域で活躍する言語聴覚士の人数や、有資格者全体に占める割合について見ていきたいと思います。
 
 言語聴覚士が対象としている障害については下記のようになっています。
 
 成人言語、認知:14,650人
 
 摂食、嚥下:14,630人
 
 発声、発語:14,428人
 
 小児言語、認知:4,625人
 
 聴覚:2,097人
 
 その他:228人
 ▶参照:日本言語聴覚士協会_会員が対象としている障害
 
 小児言語・認知を対象にしている言語聴覚士の数は4,625人となっており、成人の言語・認知を対象としている言語聴覚士の約3分の1となっています。
 
 このように、小児領域を対象とする言語聴覚士の数は、全国的にまだまだ不足している状況です。
 
 子どもを対象とする言語聴覚士の需要は、近年、ますます高まっています。
 
 最近では、「言葉」や「聞こえ」に障害がある子どもに対しては、早期に言語聴覚療法を行うことが有効であるという考え方が主流になってきています。
 そのため、小児を対象とした言語発達支援の環境整備が行われ、言語聴覚士の活動の場が着実に拡がっています。
 
 現在は、小児領域の言語聴覚士の数が少なく、就職先はまだ多いといえる状況ではありませんが、「保健センター」「療育支援センター」「放課後等デイサービス」を実施する施設に言語聴覚士が配置されはじめています。
 
 小児領域における言語聴覚士の活躍の場は、拡大中です。臨床現場や教育現場からの高いニーズを背景に、今後、さらに増えていくと考えられています。
 
 言語聴覚士を目指している高校生の方、将来は子どもに関わる仕事に興味がある高校生の方には、ぜひ小児領域の言語聴覚士に興味を持っていろいろ調べたり、オープンキャンパスに参加したりして進路を選択していってもらえたらと思います。

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