• TOP
  • 記事一覧
  • 理学療法士の1日のスケジュールを知りたい!

理学療法士の1日のスケジュールを知りたい!
  • 2024.10.09

 理学療法士は医師の指示を受け、怪我や病気の患者さんにリハビリテーションを行うことで、基本動作の回復を助ける専門職です。1日のスケジュールは勤務先により異なるものの、平均的には8:30~17:00までの勤務帯が多く、午前と午後に理学療法を行い、就業前後やリハビリを行う合間に他の職員とミーティングをして情報共有をします。

 本記事では、理学療法士の1日の仕事とスケジュールを知りたい人に向けて、具体的な仕事内容、残業や休日などについて紹介します。

目次

理学療法士の1日の仕事とスケジュールをわかりやすく紹介

 理学療法士が働く場所は医療機関だけでなく、福祉施設や小児施設、スポーツ現場、行政などさまざまです。また、働く場所によっても、1日のスケジュールは大きく異なります。

 ここでは、病院に勤務する理学療法士の一般的1日のスケジュールを例に紹介します。まずは、1日の大まかな仕事とスケジュールは以下のとおりです。

勤務時間 業務内容
~8:30 出勤
8:30~9:00 朝のミーティング
9:00〜12:00 午前の理学療法
12:00〜13:00 休憩
13:00〜13:30 昼のミーティング
13:30〜16:30 午後の理学療法
16:30〜17:00 終業ミーティング・書類作成・退勤

 それぞれ、スケジュールの詳細を解説します。

スケジュールの詳細を解説!

  • 8:30:出勤
    私服で出勤し、職場に到着してから更衣室でケーシー(制服)に着替えます。手洗いやうがいを済ませてから、朝のミーティングに向かいます。

  • 8:30〜9:00:朝のミーティング
    朝のミーティングで他のスタッフと一緒に必要事項を伝達して情報を共有します。なお、職場によっては朝の勉強会を行うこともあるようです。
    ミーティングが終わったら、患者さんのカルテを確認し、必要な器具や評価用紙の準備をします。

  • 9:00〜12:00:午前の理学療法
    患者さん1人当たり20分~1時間のリハビリを行うことが多いでしょう。患者さんは担当制です。内容は、日常生活動作の確認、筋力の増強、関節の動きの改善、痛みの緩和などです。運動器疾患や脳血管疾患、スポーツ中の怪我など、患者さんの病状に合わせて支援し、社会生活や日常生活の範囲を広げるのが目的の1つです。
    また、リハビリが必要な人は年齢・性別を問いません。そのため、一人ひとりの患者さんとコミュニケーションを取り、確認しながらリハビリを進めていきます。
    リハビリが終わったら、必要な情報をカルテに記載します。

  • 12:00〜13:00:休憩
    午後の診療まで、1時間程度の休憩があります。院内に食堂があればそこで同僚と昼食を取ったり、お弁当を持参したりして休憩します。

  • 13:00〜13:30:昼のミーティング
    午後の診療に入る前に、他のスタッフも集まり、午前中に担当した患者さんの状況を共有することもあります。
    ミーティングがない場合は、午後から担当する患者さんのリハビリ計画やカルテの確認などを行います。

  • 13:30〜16:30:午後の理学療法
    病院により、午前は外来患者中心、午後は入院患者中心など、リハビリ対象者を分けていることもあります。
    入院患者中心のリハビリでは、リハビリテーション室で行うだけでなく、在宅復帰をめざして、病院の周辺を歩いたり、実際に患者さんが復帰する予定の在宅を調査しに行くこともあります。
    リハビリでは、運動器具や治療器具を使った理学療法だけでなく、メンタル面のサポートも行います。

  • 16:30〜17:00:終業ミーティング・書類作成・退勤
    午後の理学療法が終わった後は、患者さんの状況を終業ミーティングで共有します。また、リハビリ計画の作成やカルテ記載など、必要な書類を作成し、その日のうちに担当した患者さんの状況をまとめます。
    緊急対応や勉強会などがなければ、業務が終わり次第退勤です。
 理学療法士によっては、退勤後も自宅で診療に必要なことを調べるなど、勉強する人もいます。

理学療法士の具体的な仕事内容は?

 理学療法士の仕事は、怪我や病気で体に不自由がある人に対し、リハビリテーションを行い、寝返る・座る・立つ・歩くなどの基本動作の回復を支援することです。

 リハビリテーションは医師の指示を受け、それぞれの患者さんの状況に合わせて行います。なお、リハビリ計画の作成や、在宅調査、患者さんの家族の相談に応じることも業務の一部です。ここでは、具体的な仕事内容を解説します。

運動療法

 運動療法では、患者さんの体を動かすことで、疾患の改善や基本動作能力の向上をめざします。患者さんの力のみで体を動かすこともあるものの、難しい場合、専用の器具や理学療法士が動作をサポートします。

 運動療法は筋力や柔軟性、持久力、平衡性など必要な機能の回復や維持を行ううえでも重要です。有酸素運動や無酸素運動、筋持久力運動、バランス運動など多くの方法があります。
 また、食事や入浴、トイレなど、日常生活に必要な基本動作能力の回復や向上をめざす、日常生活動作練習(ADL練習)なども行われます。

物理療法

 物理療法とは、温熱、電気(低周波など)、光線(レーザーなど)、超音波などの物理的な手段を使って、体の機能の回復や痛みの緩和をめざす方法です。
 物理療法では、痛みの緩和や筋力・可動性の回復の他、障害の予防や軽減なども目的としています。そのため、社会復帰やスポーツ復帰の場面でも行います。


生活環境や住環境に関するアドバイス

 多くの患者さんは、退院後も住み慣れた在宅で生活したいと望まれています。退院後の患者さんが在宅に復帰できるように住環境のアドバイスを行うことも重要な業務です。
 また、住環境だけでなく、地域のコミュニティーなども調査して、退院後円滑に生活ができるように、退院後の生活を想定したプログラムをリハビリに取り入れることもします。
 リハビリにより機能を回復させるだけでなく、生活環境や住環境、就業環境も含め、患者さんが社会復帰しやすい環境のサポートも大切な仕事となります。

検査測定

 新たにリハビリが必要な患者さんには、まず現在の状況を把握したうえでリハビリ計画を作成します。理学療法士の作成した計画を元に、医師や看護師、介護士、作業療法士、言語聴覚士などと協議し、最終的な治療方針や目標を設定します。
 患者さんの運動機能を検査測定するだけでなく、基礎疾患や既往歴、生活状況などの基本情報、血圧や心電図などの身体情報など、あらゆる情報を入手します。
 リハビリ計画作成後は、それをもとに治療が進められ、定期的に再評価を行いながら患者さんの回復をめざします。

補装具の適合判定

 車椅子や義肢、歩行補助杖、座位保持装置など、体が不自由な患者さんが社会復帰するために用いる器具を補装具といいます。
 理学療法士は、患者さんに適した補助具を選んだり、実際に使い方を指導したりします。なお、補装具の適合判定では、医師や看護師、作業療法士、義肢装具士など他の専門職と一緒に行うこともあります。
 義肢の場合、採寸や作成は義肢装具士が行うものの、理学療法士は作成過程から連携しています。

他職種や患者家族との連携

 患者さんの目標に向かってリハビリテーションを進めていく上では、多くの専門職との連携が不可欠です。
 具体的には医師や看護師、社会福祉士、介護士、作業療法士・言語聴覚士、精神保健福祉士、栄養士、薬剤師、義肢装具士など多岐にわたります。これらの多職種との情報交換や連携は仕事上不可欠です。

 また、患者さんの家族にリハビリの状況を伝えたり、相談を受けたりすることも重要な仕事です。患者さんが在宅に戻った後も介助が必要であれば、家族に正しい介助方法を指導します。

記録作成

 リハビリテーションの所要時間や実施内容、検査測定結果などをカルテに記載しなければいけません。カルテの内容は患者さんの状況を記録するだけのものではなく、診療報酬や介護報酬などを請求する証拠にもなります。なお、カルテは公的記録のため5年間の保管が必要です。

 そのため、記載する内容は単なるメモ程度ではなく、正確性や客観性などを満たす内容でなければいけません。それぞれの勤務先でカルテの記載方法も若干異なる可能性があるため、決められたルールに従って作成します。

理学療法士の働き方は?残業は多い?

 理学療法士は病院に勤めるか、それとも別の勤務先に勤めるかによっても働き方が異なります。ここでは、理学療法士になるために必要な資格や将来性と合わせて解説します。

理学療法士の勤務先は?

 理学療法士の勤務先には以下が挙げられます。
  • 医療機関(一般病院、総合病院、公立病院、大学病院、クリニックなど)
  • 介護老人保健施設
  • 通所リハビリテーション事業所
  • 訪問リハビリテーション事業所
  • 障害児・者福祉施設
  • 市役所
  • 研究機関
  • スポーツ施設(トレーナー)
  • 健康関連企業
  • 教育機関(大学、専門学校、特別支援学校など)
 一般的には病院勤務が多く、急性期の病院では早期治療と退院が目標です。一方、療養型の病院では日常動作訓練などを長期的に行い回復するのが目標です。
 また、病院以外にも介護老人保健施設や障害児・者福祉施設、スポーツ施設など、理学療法士を必要としている機関は多くあります。

 なお、上記の勤務先以外では、開発途上国や災害時の支援においても理学療法士の技術は必要とされています。

理学療法士の一般的な働き方

 理学療法士は患者さんが起きている間にリハビリ対応を行うため、勤務時間は日勤の時間帯が一般的です。そのため、出勤・退勤時間も決まっており、プライベートと両立しやすいでしょう。
 医療機関で夜勤があることはほとんどありませんが、夕方からの時間帯にスポーツ外来などで夜診としてリハビリを行っている施設はあります。

残業は多い?

 一般的に、理学療法士は残業が少ない職業です。リハビリ計画も事前に設計するため、基本的には予定どおり仕事が進むでしょう。
 院内勉強会を行っている施設では、希望により業務外の時間を利用して勉強会への参加も可能です。

休日は?

 休日は勤務先によっても異なります。土曜日・日曜・祝日が休診の勤務先であれば、ある程度休みの日が固定されています。
 一方、365日体制の医療機関や福祉施設、スポーツ施設などでは、シフト制や変形労働時間制が採用されています。具体的には週休2日や4週8休制などです。

理学療法士になるには?

 理学療法士として働くためには国家資格の「理学療法士」の取得が必要です。理学療法士の国家資格を受験するためには養成校で3年以上、専門のカリキュラムを学ばなければいけません。

 なお、養成校には4年制大学、短期大学、専門学校、特別支援学校があります。
 理学療法士の資格取得後も、健康運動指導士や呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士、介護支援専門員など、それぞれの領域に特化した資格を取得することで、より仕事の幅を広げられます。
 参考▶公益社団法人日本理学療法士協会

理学療法士の将来性

 理学療法士は怪我や病気の人だけでなく、高齢者に対してもリハビリテーションを行います。今後も高齢化が進む日本では、将来に渡り需要のある職業と考えられます。
 また、高齢化に伴い認知症、フレイル、転倒骨折、生活習慣病などの予防医療の需要も高まっています。理学療法士は運動の専門家としての知識や技術から、これらの要望に応えられる点も強みと考えられます。

 AIや科学技術が進歩し、リハビリテーションの場面で活用できるようになったとしても、患者さんの痛みや辛さに寄り添える人間の理学療法士の存在は不可欠です。

理学療法士をめざすなら関西福祉科学大学のリハビリテーション学科へ!

 理学療法士の1日のスケジュールは、勤務先により異なりますが、休みや勤務時間は守られており、残業も比較的少ないため、ワークライフバランスが取りやすい点もメリットです。

 関西福祉科学大学のリハビリテーション学科 理学療法学専攻では、国家資格の取得に向けたカリキュラムの実施と学生別の試験対策を行っています。また、就職率にも定評があり、2024年3月卒業生は就職率98.5%を実現しています。
 理学療法士などリハビリ分野の専門職をめざす方は、ぜひ、関西福祉科学大学のオープンキャンパスにお越しください。また、資料請求にも無料で対応しています。

RECOMMENDATION

あなたにおすすめの記事