女性が活躍できる理学療法士の世界
  • 2024.02.07

 理学療法士が日本に誕生した1966年当時は9割が男性で占められていましたが、現在では男女比6:4と女性理学療法士の割合が増えています。昨今、日本は女性の社会進出が遅れていると問題視されていますが、生涯の職業として理学療法士を選び、子育てをしながら理学療法士として働いている女性も多くなってきています。
 本記事では、どのように女性理学療法士が活躍しているかを解説します。

目次

理学療法士として何歳まで働けるの?

妊娠、出産しても働けるの?

 女性であるということで妊娠、出産などのライフイベントにより、一時的に休職する可能性は男性より高くなります。理学療法士の多くは医療施設に勤務していますが、医療現場は看護師や受付スタッフなど女性の割合が多く占めており、子育てをしながら働いている女性が多い職場です。実際に理学療法士協会が実施したアンケート調査によると、70%以上の女性が「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」と回答しており、子育てをしながら仕事を望む、あるいはしている女性理学療法士は多いのです。
 最近では保育所を併設している病院や学童保育に手当を出している病院もあり、働く子育て世代を支援してくれる職場が増えてきています。出産を機に時短勤務やパートタイム勤務に切り替える女性がいることも事実ですが、子どもが小学生になるタイミングでフルタイムの勤務や正社員に戻る女性も多く、日本理学療法士協会の調査では約90%の女性理学療法士は常勤勤務であると報告されています。自分のライフイベントに合わせて働き方を選択できることも理学療法士として働くメリットと言えるかもしれません。

理学療法士は体力仕事?女性でも大丈夫?

 体力面で、女性が長く働けるか不安に思う人もいるかもしれません。比較的体力のある20~30代では実際に患者さんを診療する時間が多く、介助が必要な方の理学療法を行うことも多々あります。その際にも体格差を考慮して担当患者さんは決められます。背の高い男性理学療法士からすると、小柄な女性患者さんの介助で腰を痛めることもありますので、そういった患者さんは女性理学療法士が担当する方が望ましいといえます。一方で、大柄で介助量の多い患者さんの場合は、男性理学療法士が担当するケースが多く、お互い仕事による腰痛などの怪我がないように配慮されています。

女性でもキャリアアップはできるの?

 理学療法士のキャリアプランの1つに臨床現場で管理職を目指す、というものが挙げられます。理学療法士協会が実施している認定資格(認定理学療法士、専門理学療法士)や、その他にも医療関係の学術団体が実施している資格(3学会合同呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士など)もあり、各種専門資格を取得し、後輩教育などを行うことでステップアップできる可能性は大いにあります。
 理学療法士の資格が日本に誕生してから約30年の間、男性の割合が高かったこともあり、現在は役職者については男性の割合が高くなっていますが、技師長(リハビリテーション科のトップ)や主任になる女性も増えてきており、今では役職者の40%は女性が占めています(日本理学療法士協会調べ)。理学療法士協会も女性のキャリアアップ支援活動を行っており、今後ますます管理職に登用される女性は増えることが見込まれます。

女性が活躍できる理学療法の領域

ウィメンズヘルス領域で活躍する女性理学療法士

 先ほども述べたように、女性は妊娠、出産という心身に大きな影響を与えるライフイベントを経験する可能性があります。妊娠に伴い骨盤はひろがり、骨盤周囲の筋肉(腹筋群、骨盤底筋群)にも大きく影響をおよぼすことで、腰痛や尿漏れ(尿失禁)などの身体症状が生じることもあります。また、閉経による女性ホルモンの低下は骨盤底筋群を低下させます。そのため、尿失禁は出産前後だけでなく、40歳以上では3~4割の女性で生じているといわれており、男性と比べて女性の方が発症頻度の高い症状です。そこで、妊娠中から出産後の身体の変化に伴う種々の症状や壮年期の排尿ケアに対し、理学療法士が姿勢や動作、適切な筋肉のトレーニングなどを指導することがあります。
 乳がんも男性と比べ女性が圧倒的に多い疾患の1つで、発症率は約100倍も違うと報告されています。日本人の乳がん好発年齢は40歳代後半で、30歳代後半から増加しており、比較的若い年齢で発症する癌ですが、早期発見、早期治療により生命予後は比較的高くなっています。乳がんの手術後は肩関節の可動域制限が生じたり、リンパ浮腫が生じたりすることがあり、それらの予防は乳がん術後リハビリテーションの大きな目的となっています。
 このように女性特有の症状や疾患、比較的若い年齢の方にも実施することから、担当に女性理学療法士を望む方は多く、ウィメンズヘルス領域は女性が特に活躍できる領域といえます。また、理学療法士は患者さんの身体に触れることが多いため、上記疾患以外においても女性患者さんの中には女性理学療法士を担当に望まれる方もいます。

関西福祉科学大学で理学療法士を目指そう

 女性理学療法士の割合が増えているとはいえ、現状では養成校教員の多数は男性が占めています。関西福祉科学大学ではAA(アカデミックアドバイザー)制度があり、各学年に3名の担当教員がいますが、各学年に1人は女性教員を配置しています。女性理学療法士としての実務経験のある教員ばかりですので、実際どのように現場で働いているのか、どのような悩みや苦労がありどのように解決してきたのか、など具体的なアドバイスを聞くことができます。

 女性理学療法士を目指そうと思っている方は、ぜひ関西福祉科学大学に入学して一緒に学びませんか。

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