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スポーツリハビリテーション ~競技復帰に向けた理学療法士の役割とは?~
  • 2023.12.25

 スポーツ選手の怪我は、競技からの長期離脱を余儀なくされることがあります。怪我をしたスポーツ選手の競技復帰には、理学療法士が様々な場面で関わることがあります。本記事では、怪我をしたスポーツ選手に対する競技復帰に向けた理学療法士の役割について解説します。

目次

機能回復を目的とした理学療法士の役割

 スポーツ競技中に怪我をして、整形外科を受診した人もいると思います。受診するとまずは医師の診察がなされ、診断そして治療方針が決定されます。運動機能が低下している場合は、機能回復を目的に理学療法士によるリハビリテーションが実施されます。

1)急性期の理学療法士の役割

 患部を保護するためにギプスを巻いたり、杖をついたり、場合によっては手術が選択されることもあります。このとき理学療法士は、杖の使い方を指導するなど患部に負荷を掛けずに安全に生活ができるように支援します。また、患部外のトレーニングを実施し、できる限り筋力や体力を低下させないことも理学療法士の役割です。手術が予定されている場合は、術前の機能評価を実施することもあります。その後、段階的に患部に対する理学療法を開始します。

2)医学的管理のもと行われる理学療法

 怪我の影響や患部の保護などにより、関節可動域や筋力の低下が生じることがあります。理学療法士は、これらの機能を改善するために運動療法を実施します。アイシングや電気治療などの物理療法を併用することもあります。この時期の理学療法は、患部の状態が悪化しないように、十分な医学的管理のもと実施されます。

3)他の医療職との連携

 患者さんによって注意点や管理方法が異なり、また怪我の程度や手術の方法によってはリハビリテーションの進め方も異なります。そのため、安全かつ効果的な理学療法を行うためには、医師をはじめ他の医療職との連携や情報共有が不可欠になります。

競技復帰を目的とした理学療法士の役割

 一般的なリハビリテーションの目的は生活復帰や社会復帰ですが、スポーツ選手に対するリハビリテーションは競技復帰を目的に行われます。競技復帰を目的とした理学療法士の役割はどのようなものでしょうか?

1)競技復帰を目的とした理学療法

 競技復帰には怪我をした部位の機能回復だけでなく、競技特性を考慮した理学療法プログラムを組む必要があります。競技復帰に必要な関節可動域や筋力を獲得し、ジャンプやステップ、ダッシュなどの動作も取り入れていきます。心肺機能も向上させる必要があり、競技復帰に耐えられる体力を獲得していきます。もちろん、患部が悪化しないように医学的管理が不可欠であり、医師をはじめ他の医療職との連携は継続します。

2)スポーツトレーナーやアスレティックトレーナーとの連携

 競技復帰をめざすためには、スポーツパフォーマンスや競技力の向上が必要です。理学療法士がこれらに関わることもりますが、トレーナーと連携しながらパフォーマンスや競技力の向上をめざすこともあります。トレーナーはスポーツ選手に対してトレーニングメニューを作成し、スポーツパフォーマンスの向上を支援する専門家です。理学療法士はこれまでの治療やリハビリテーションの経過を把握していることから、トレーナーに適切に情報共有することで安全かつ効果的なトレーニングを提供することができます。なお、過度の負荷は患部を悪化させるため、医師とも協議しながらトレーニングメニューを検討する必要があります。

3)スポーツトレーナーやアスレティックトレーナーの資格は?

 スポーツトレーナーやアスレティックトレーナーとしての知識や技術を獲得するために、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーなどの資格を取得している人もいます。理学療法士にもこの資格を取得し、スポーツに関わるより専門的な知識や技術を身につけている人もいます。

4)チーム関係者との連携

 怪我が回復し運動機能が一定の基準に達していれば競技復帰となります。理学療法士は必要に応じて選手だけでなくチーム関係者に対してもリハビリテーションの経過に関する説明を行い、安全かつ円滑な競技復帰を支援します。

競技復帰後の理学療法士の役割

 競技復帰後も理学療法士は選手に関わることがあります。定期的に通院する選手も多く、その際に運動機能の評価を行ったり、再発予防を目的としたトレーニングやコンディショニング指導を行います。

1)運動機能の評価

 競技復帰後も定期的に関節可動域や柔軟性、筋力などの機能評価を行い、選手の運動機能を評価します。評価結果を基に、新たなトレーニングを指導することもあります。

2)再発予防を目的とした理学療法士の役割

 再発予防のためには普段からのコンディショニングが重要になります。理学療法士はストレッチングなどのコンディショニング指導にも関わり、再発予防をめざします。

理学療法士はスポーツ選手と一緒に競技復帰をめざすことができる仕事です。

 理学療法士は、怪我をしたスポーツ選手に対してあらゆる場面で関わることがあります。スポーツ選手に寄り添い、一緒になって競技復帰をめざすことができるやりがいのある仕事です。

 理学療法士をめざせる大学のなかでも関西福祉科学大学の理学療法学専攻は、「スポーツ傷害理学療法学」などのカリキュラムが充実しています。

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