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理学療法士の就職先について~病院以外の就職先~
  • 2023.09.06

 理学療法士の主な就職先は、病院(リハビリテーションセンター、クリニック含む)などの医療機関です。他には、介護老人保健施設などで働くケースもあります。また、最近はスポーツ分野でも理学療法の有用性が注目されています。本記事では、理学療法士の病院以外の就職先や、就職先選びのポイントを解説します。

目次

理学療法士の病院以外の就職先は?

 理学療法士の勤務先は病院(リハビリテーションセンター、クリニック含む)だけではありません。病院で働く理学療法士がもっとも多いものの、介護老人保健施設や行政機関、大学や研究機関などに勤務する理学療法士も増えています。

 例えば、関西福祉科学大学の理学療法学専攻を2023年に卒業した理学療法士の主な就職先は以下のとおりです。[注1]

就職先 割合
病院(公立・大学病院以外) 83.0%
公立病院 10.2%
介護老人保健施設 5.1%
大学附属病院 1.7%

 病院(公立・大学病院以外)への就職率が最多の83.0%、次点が公立病院(10.2%)となっていますが、介護老人保健施設等(5.1%)で働く人もおり、過去には一般企業に就職した卒業生も存在します。大学のリハビリテーション学科を卒業しても、病院で勤務するとは限りません。ここでは、理学療法士の病院以外の就職先や、主に担当する仕事をそれぞれ紹介していきます。
  • 介護老人保健施設
  • 身体障害者(児)施設
  • 行政機関
  • 一般企業
  • 大学・研究機関
 [注1] 関西福祉科学大学(理学療法学専攻):資格・就職キャリア

介護老人保健施設

 介護老人保健施設では、主に要介護認定を受けた人を対象として、理学療法士がリハビリプログラムを提供します。高齢者の人と向き合いながら、弱った身体機能を少しでも取り戻し、自立した生活を送れるようにサポートするのが理学療法士の役割です。訪問リハビリテーションを提供している施設の場合は、理学療法士も患者の自宅に訪問することがあります。

身体障害者(児)施設

 身体障害者(児)施設では、体に障害を抱えた人を対象として、身体機能の回復に向けたリハビリプログラムを提供します。施設によっては、職員の一人としてイベントやレクリエーションの企画運営に関わる場合もあります。

行政機関

 理学療法士は、行政機関で公務員として働くケースもあります。地域の住民に対する個別支援や集団支援などの業務だけではなく、地域住民のニーズに応じた事業の企画や立案なども行います。[注2] 例えば、理学療法士が主体となり、地域の住民向けのリハビリ教室を開催している市区町村も存在します。

 [注2] 日本理学療法士協会:行政リハビリ専門職 のための手引き

一般企業

 まだまだ求人数は少ないものの、一般企業で活躍する理学療法士も存在します。一例として、ハウスメーカーで高齢者が暮らしやすいバリアフリー住宅の設計に関わったり、家庭用運動器具メーカーで商品開発に関わる人もいます。

大学・研究機関

 理学療法を学問として修めたい人は、大学や研究機関で働くこともできます。例えば、大学の教員として働いたり、専門学校の講師として働いたりするケースです。大学の教員として働く場合、大学院の修士もしくは博士課程を修了する必要があります。専門学校で働く場合は、一定の実務経験があれば、大学院の課程を終了していなくても講師として働くことが可能です。

理学療法士として働くならどんな就職先がよい?選び方のポイントを紹介

 理学療法士の資格を取得すれば、病院に限らず、さまざまな職場でキャリアを形成できます。理学療法士として働く職場を選ぶ場合、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

 理学療法士が治療や指導を行う相手は、就職先によって異なります。高齢者・障がい者・地域の人など、サポートしたい相手を明確にしておくことが大切です。今回は、理学療法士が就職先を選ぶポイントを3つ紹介します。

1.サポートしたい相手を明確にする

 理学療法士が治療を行う患者は、就職先によって異なります。例えば、介護老人保健施設に就職する場合、主に高齢者のリハビリや身体機能の回復に取り組むことになります。

 自分がどのような人に対して理学療法を提供したいのか、イメージを明確にしておくことが大切です。例えば、スポーツ障害を負った人のサポートをしたい場合、介護老人保健施設などに就職すると、イメージのギャップが生まれる場合があります。高齢者、障がい者、地域の人、スポーツに関わる人など、サポートしたい相手を決めてから就職先を選ぶと良いでしょう。

2.学校で学んだことを活かせるか

 就職先の設備や治療方針などを事前に調べ、学校で学んだことや得意なことを活かせるか確認することも大切です。病院や施設によっては、運動療法や物理療法に制限があり、学んだことを活かせないケースもあります。自分がどのような理学療法士として活躍したいのか、しっかりとイメージを固めてから就職先を選びましょう。

3.将来のことも考えておく

 厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、理学療法士の平均年収は426.5万円とされています。[注3] 初めて社会人になる人は、初任給や家からのアクセスの良さなど、ついつい目先の要素だけで就職先を選んでしまうかもしれません。

 しかし、目先のことだけで判断すると、将来のキャリアプランを考えたときにうまくいかない可能性があります。職場で経験できることや得られる知識も考慮しながら、将来なりたい自分に合った就職先を選ぶことが大切です。自分がどのような理学療法士になりたいのか、どのように地域や社会に貢献していきたいのか、なりたい自分のイメージを明確化しましょう。

 [注3] 厚生労働省:理学療法士(PT)

 

理学療法士として就職するまでの流れ

 理学療法士として就職するには、大学や専門学校で必要な知識を学んだり、国家資格を取得したりする必要があります。現在高校生の人が、理学療法士として働くまでの主な流れは以下のとおりです。

 大学や専門学校で必要な知識を修得する
 ↓
 気になる就職先をピックアップする
 ↓
 採用試験を受ける
 ↓
 理学療法士の国家試験を受ける

 理学療法士の場合、就職先の採用試験を受けてから国家資格を受験するケースも多々あります。進学する大学を決める前に、理学療法士として働くまでの流れをイメージしておきましょう。

大学や専門学校で必要な知識を修得する

 理学療法士の国家資格を受験するには、文部科学大臣もしくは厚生労働大臣が指定した学校、または都道府県知事が指定した養成施設において、3年以上知識や技能を修得する必要があります。また、理学療法士として患者の状態を適切に評価し、リハビリプログラムを考案する上でも、しっかりと専門知識を身につけることが大切です。

 そのため、理学療法士になりたい人は、まず大学のリハビリテーション学科や専門学校の理学療法士コースに入学する必要があります。入学後の流れは、まず1年次~2年次に理学療法士としての基礎科学知識を身につけ、3年次から本格的な臨床実習がスタートするイメージです。

 理学療法士の就職活動は、最終学年の実習を終えたころから本格化していきます。最終学年になったら、理学療法士の募集情報をこまめに確認しておきましょう。病院や施設によっては、公募の期間が臨床実習の期間とかぶることもあるため、しっかりとしたスケジュール管理が求められます。

採用試験を受ける

 他の職業と同様に、理学療法士の就職活動でも採用試験を受けることになります。事前に就職先で求められることを調べて、準備しておきましょう。

 理学療法士は人と人が関わる仕事です。理学療法の専門知識だけでなく、患者と良好な関係を築くコミュニケーション能力や思いやり、地道な治療やリハビリを投げ出さない責任感などが求められます。そのため、採用する側は候補者の人間性を見極めたいと考えています。社会人としての基本的なマナーや身だしなみはもちろん、理学療法士としての熱意や前向きな姿勢を見せることが重要です。

 学校によっては、面接練習を行えることもあります。不安な場合は、学校の先生に面接対策をお願いしましょう。

理学療法士の国家試験を受ける

 2月下旬になると、理学療法士の国家試験が行われます。例えば、令和5年度の第58回理学療法士国家試験は、筆記試験が2月19日、口述試験および実技試験(重度視力障害者のみ)が2月20日に行われました。この時期までに就職先が決まっていない場合は、就職活動と並行して国家試験対策に取り組むことになります。

 理学療法士の国家試験の合格率は、例年80%前後です。就職先から内定をもらっても、国家試験に落ちると内定取り消しになる可能性があるため、しっかりと準備をして試験に臨むことが大切です。

まとめ:得意を活かして就職先を選ぼう

 理学療法士の就職先は病院だけではありません。高齢者・障がい者・地域の人など、サポートしたい相手に合わせて就職先を選びましょう。また、学校で学んだことや得意なことを活かせる職場を選ぶことが大切です。

 理学療法士をめざせる大学なら、関西福祉科学大学のリハビリテーション学科 理学療法学専攻がおすすめです。理学療法学専攻の卒業生は、病院以外にも介護老人保健施設や一般企業で活躍しています。

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