将来、理学療法士になって活躍したい!
医療・福祉業界の中で、患者さんの症状や状態に合わせてリハビリのプロとして頑張っていきたいと思っている高校生のみなさんは、理学療法士がどんな職種でどんな仕事内容なのかについては知っていると思います。
▶参照:理学療法士になるには
理学療法士になって、就職したらどのくらいの給与なのか?将来の目指す職業やイメージが膨らんでくると就職してからの事や、収入など、お金の事も気になると思います。
景気に影響を受けにくい医療職として、安定して長く働いていけるイメージがあるけれども実際にはどのくらいの給与なのか。
勤続年数を積んでいけば、昇給していけるのか?
年収をアップするにはどのようにすればよいのか?など、気になるポイントについてもお伝えします。
では、まず理学療法士の平均年収がどのくらいなのかについて見ていきましょう。
理学療法士の平均収入(年収)は、430.5万円となっています。(残業代やボーナス含む)平均年齢は35.3歳となっています。
▶参照:e-Stat_令和3年賃金構造基本統計調査
※理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士での年収を合算したデータです。
理学療法士の給与(年収)は、日本の給与所得者の平均年収(約440万円)よりも少し低い傾向となっており、日本の高齢化社会の影響による社会保障費の抑制や診療・介護報酬の動向から、大幅な増減はないと見られています。
しかし、理学療法士の国家資格は一度資格を取得すれば生涯更新が必要ではない点や、今後は高齢化社会になるため、理学療法士の需要はますます増加しています。
特に、医療機関以外での介護・福祉分野を中心とした在宅リハビリへの需要が高まっており、今後も理学療法士を積極的に採用する職場も増えていきます。
これまでの活躍場所だけではなく、全国の各地域で活躍できるためご家族の事情(転勤や引っ越し)や、女性の妊娠や出産で一度、仕事から離れても再就職先が可能であるということです。
「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」を図りやすく、今後も活躍できる場所が増えている職種で、安定して長く働くことができる職種です。
理学療法士の将来性についての詳しい内容は、こちらの記事もご覧ください。
▶理学療法士の将来性が知りたい!どうなる?
続いて、国家試験合格後に理学療法士として就職した場合、初年度にもらえる給与はどのくらいなのでしょうか。
理学療法士の初年度の平均収入は、329.8万円となっています。(残業代やボーナス含む)
※施設の種類や規模などにより多少の変動はあります。
また、初年度から20代(20歳~29歳)の理学療法士の平均収入は、355.3万円となっています。(残業代やボーナス含む)
20代の間でも、平均収入が上がっています。
先ほどの、理学療法士全体の平均収入(年収)のデータを見てもわかりますが、長く働いて勤続年数を重ねていけば、昇給もしていけることがよく分かります。
安定して長く働いていける職業であるといえるのではないでしょうか。
次に、理学療法士の各年代の平均収入についても見ていきたいと思います。
先ほど見た20代の期間でも、平均収入が上がっていましたが30代、40代とどのように収入が推移していくのでしょうか。
このように、理学療法士の収入(年収)は勤続年数を重ねて経験を積んでいくと、年齢が上がるにつれ平均年収も比例して高くなる傾向があります。
年齢と勤続年数に応じて年に1回昇給するというケースがほとんどのようです。
30代の半ばで、理学療法士の全体の平均年収の金額となっており、その後も上がっていき、50代半ばで年収500万円を超えています。
60代で給与が下がっているのは、定年を迎えて正社員から非正規雇用など勤務形態や雇用形態が変わるケースが多いためです。
理学療法士の平均年収について、詳しく知ることができました。
次に、作業療法士が年収を上げていくためにはどのようなポイントがあるのかを見ていきたいと思います。
1)新たな資格を取得してキャリアアップを目指す
理学療法士が年収を上げていくためのポイントとして、まずはじめにキャリアップがあげられます。
理学療法士の資格は国家資格ではありますが、さらなる専門性を追求し新たな資格を取得することでキャリアップすることができ、それが給与(年収)アップのポイントのひとつになります。
資格を取得することで、専門的な知識やリハビリの技術の向上だけではなく、職場内での役割の拡大につながる可能性が高まります。
では、どのような資格取得を目指すとよいのでしょうか?
以下は、理学療法士が取得することでスキルアップに役立つ資格です。
・「認定理学療法士」や「専門理学療法士」
日本理学療法士協会では専門理学療法士制度、認定理学療法士制度という専門分野のエキスパートを養成するカリキュラムを実施しています。
自らの専門性を高め、理学療法の学問的発展に寄与する研究能力を高めることや、高い専門的臨床技能の維持、社会、職能面における理学療法の専門性(技術・スキル)を高めていくことを目的としています。
特に、医療現場で働く場合は、自発的な学習の継続を行い、「認定理学療法士」や「専門理学療法士」の取得を目指して多様化するニーズに応えられる理学療法士を目指しましょう。
専門性を高めていくことができれば、プロスポーツ選手やスポーツ団体と専属契約を結んで活動する機会もでてきますし、書籍の執筆やセミナー講演などによる広がりも考えられます。
▶参照:日本理学療法士協会_生涯学習
・「呼吸療法認定士」
正式名称は「3学会合同呼吸療法認定士」と呼ばれる国家資格ではない認定資格です。
3学会合同呼吸療法認定士とも呼ばれる「呼吸療法認定士」は、「特定非営利活動法人日本胸部外科学会」「一般社団法人日本呼吸器学会」「公益社団法人日本麻酔科学会」が合同で創設している認定資格で、近年では、理学療法士や作業療法士で取得する方が増加してきている資格です。
この資格を取得している理学療法士の多くは、リハビリテーション科のある病院や訪問リハビリ、介護業界で活躍しています。人工呼吸サポートチーム(RST:Respiration Support Team)がある病院では呼吸療法認定士の資格を持っていると優先的にチーム医療へ配属されます。
それだけ呼吸療法認定士を持っている医療スタッフは少なく重要な存在であることが分かります。
・「福祉住環境コーディネーター」
福祉住環境コーディネーターとは、基本的動作能力が欠落している高齢者や障がい者の方に対して、快適に暮らせる住環境を提案できるアドバイザーです。
医療・福祉・建築について体系的で幅広い知識を身につけ、各種の専門職と連携をとりながら適切な住宅改修プランを提示したり、福祉用具や諸施策情報などについてもアドバイスします。
今後の超高齢社会に向けて、理学療法士の知識や技術を持ち、患者さんの基本的動作能力の改善サポートに加えて、住環境までを一緒に考えてサポートできる総合的な知識を身に付けることで活躍できる場所も増えキャリアアップにつながります。
2)職場でのステップアップをめざす
理学療法士が年収を上げていくためのポイントとして、経験年数があげられます。
理学療法士として、長く働き経験を積み職場内でステップアップすることで年収をアップしていくことができます。
経験年数別の平均年収を見ていきたいと思います。
経験年数0年:338万円
経験年数1~4年:358万円
経験年数5~9年:391万円
経験年数10~14年:440万円
経験年数15年以上:511万円
▶参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2020年度発表データから
企業規模計(10人以上)の経験年数別の男女平均年収から算出
上記のデータは、あくまでも平均的な数値で勤務先によって状況が異なることもありますが、理学療法士として経験を積んでいくことで給与(年収)が確実に上がっていくことが分かるかと思います。
また、職場にもよりますがスキルアップをして昇進、昇格することによって収入アップを目指すこともできます。
病院であれば、チーフや主任などの管理職になれば手当が付き、給与アップします。
管理職に就くためには、理学療法士としての技術や知識を日々学んでいくだけではなく、部下やメンバーのマネジメント能力も必要になってきます。
3)経験を活かした仕事に就く
理学療法士の知識や技術、そして経験を活かして別の仕事に就くことで年収をアップすることもできます。
例えば、医療介護に関する会社のコンサルティング会社、保険会社の営業、医療介護機器や家庭用運動機器の商品開発や営業職など医療職の知識や経験を活かして別業界で活躍して年収をアップする方もいます。