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ユニバーサルデザインって?身近な例やバリアフリーとの違いを紹介
  • 2026.02.26

 毎日気づかないうちに使っているものが「どんな目的で作られているのか」考えたことはありますか?
 たとえば、シャンプーボトルの横のギザギザ。目の不自由な人でもシャンプーとリンスを間違えないようにする工夫です。
 このように「誰にとっても使いやすい」ように考えられたデザインを、ユニバーサルデザインといいます。

 「みんなが使いやすいように」という視点で考えられたユニバーサルデザインについて知ると、身近な世界が少しだけいつもと違って見えるかもしれません。

目次

1.ユニバーサルデザイン(UD)ってなに?

 バリアフリーという言葉については聞いたことがあるけれど、ユニバーサルデザインは聞いたことがない方もいるかもしれません。
 まずはユニバーサルデザインがどうして生まれたのか、どんな目的で作られているのかを知りましょう。

1-1.ユニバーサルデザインとは?

 ユニバーサルデザインとは、「ユニバーサル Universal」と「デザイン Design」を組み合わせた言葉です。

 ユニバーサルには「全てに共通の、普遍的な」という意味があります。そんな視点でデザインされたユニバーサルデザインの、性別や年齢、からだの特徴、国籍など関係なく、みんなが使いやすく・わかりやすいことをめざしています。

 つまり、できる限り誰もが使いやすいようにデザインされたもののことです。
 多くの人が使う公共施設はもちろんのこと、普段使っている日用品や街の中にもユニバーサルデザインで作られたものがたくさんあります。

1-2.ユニバーサルデザインの7原則

 ユニバーサルデザインには、その方向性を示した7つの原則があります。

 1)公平な利用:全ての人に役立ち、有益であること。
 2)利用の柔軟性:使う人の好みや能力に応じて使い方を選べること。
 3)単純で直感的な利用: 経験や知識に関係なく、すぐに使い方が理解できること。
 4)認知できる情報:必要な情報が見やすく、聞きやすく、理解しやすく提供されること。
 5)失敗への寛容さ:間違えて操作しても大きな問題にならないように配慮されていること。
 6)身体的負担の少なさ:使うのに大きな力や疲労を必要としないこと。
 7)アプローチと利用のためのサイズや空間: 車いすや杖を使う人など、さまざまな人がアクセスしやすく、使いやすいスペースや大きさが確保されていること。
 ※翻訳は著者
 ▶参考:
 NC State University, Center for Universal Design, “The Principles of Universal Design”)
 JITSUKEN(ジツケン)内閣府認証 特定非営利活動法人 実利用者研究機構

 これは、アメリカのユニバーサルデザインの父と言われているRonald Mace教授を中心にした専門家グループが提言した原則です。良いデザインにとってのガイドラインとしても、共通する考え方です。

1-3.ユニバーサルデザインを考えるときのポイント

 ユニバーサルデザインは、全ての人を対象に考えられたデザインです。
 健康だったり、不自由なく生活したりしていると、なかなかその大切さを感じにくいかもしれません。ですが、ちょっとイメージしてみてください。

 「突然の怪我で身体が動かなくなってしまったら……」
 「言葉がわからない国で、災害に巻き込まれてしまったら……」

 ユニバーサルデザインによって、日常生活や災害時の避難で困ることが少なくなるでしょう。

 このように、ユニバーサルデザインは誰もが怪我や病気、災害などで何らかの障害を抱えた場合を想定して、どんな状況でも使いやすいかどうかを大切にしています。

 バリアフリーとは何が違うの?

 ユニバーサルデザインと似たような考え方に、バリアフリーというものがあります。

 バリアフリーは、生活で困っている人が直面する障壁(バリア)を取り除き、すべての人の社会参加をめざす考え方です。たとえば道路や建物の入り口にある段差を取り除くといったことなどです。
 ただしバリアフリーは「困ってから対応する」ということが課題でした。たとえば、お店の入口に段差があって車いすの人が入れないと分かったときにスロープを後付けするのがバリアフリーです。
 そこから生まれたのが、“最初から誰もが使いやすいこと”をめざすユニバーサルデザインです。最初から段差をなくし、ベビーカーや大きな荷物を持つ人も使いやすい入口にします。

 ほかにも、特定の人が使えるように機能や環境を整えるアクセシブルデザインや、企画段階から多様な人が参加して一緒にデザインをつくるインクルーシブデザインなど、考え方は広がっています。

2.日常生活にもこんなにある!ユニバーサルデザインの事例

 ユニバーサルデザインとはどんなものなのか、というイメージがついたら、実際に身近な暮らしのなかにあるユニバーサルデザインに目を向けてみましょう。
 実は何気なく毎日使っているものも、ユニバーサルデザインで作られているものかもしれません。

2-1.家の中にあるユニバーサルデザインいろいろ

 みなさんが学校や家などで毎日使っているものにも、ユニバーサルデザインが隠れています。

  • シャンプーボトル
 毎日お風呂で使っているシャンプーにもユニバーサルデザインが隠れています。
 シャンプーボトルをよく見てみると、ノズルの上やボトルの横に小さな突起があるのがわかります。
 これは、目が見えない人や髪を洗っていて目を閉じていても触ったときにシャンプーボトルだとわかるようにデザインされたものです。
 今夜お風呂に入るときにぜひチェックしてみてください。

  • トランプ
 何気なく使っているトランプですが、ときどき数字やマークが4つのカド全てに書かれているものがあります。
 これは、左利きの人でも右利きの人でも数字が見えるように考えられたユニバーサルデザインのトランプです。

  • スマートフォン
 日常生活に欠かせないスマートフォンにもユニバーサルデザインが隠れています。
 たとえば一部のスマートフォンには、目が見えない人に画面上の文字を読み上げてくれる機能や、小さい文字が読めない人のための文字拡大機能などがあるのを知っていましたか?
 最近では当たり前になった音声文字入力も、ユニバーサルデザインです。

2-2.街の中にもこんなにあるユニバーサルデザイン

 家から学校や塾に行くまでの途中にも、街の中にはさまざまなユニバーサルデザインがあります。

  • ピクトグラム
 駅の案内表示や街中の表示などで使われているピクトグラムは、文字が読めなくても情報や注意などを伝えてくれるデザインです。
 現地の言葉がわからない外国の方や、小さな文字が見えにくくなった年配の方も、ピクトグラムがあるおかげでどこに何があるか見つけやすくなっています。

  • タッチレス水栓
 駅や高速道路のトイレなどで目にすることがあるタッチレス水栓は、蛇口をひねらなくても水が出せるのが特徴です。
 タッチレス水栓なら、握力が弱い方や子ども、高齢者など蛇口をひねるのが難しい人でも使いやすくなります。これもユニバーサルデザインです。

  • 自動ドア
 自動ドアは、公共施設やお店の入り口などでもよく目にします。
 車いすの方や扉を開ける力のない高齢者の方だけでなく、両手に荷物を持っている人や子ども連れ、妊婦さんなど、あらゆる立場の人が出入りしやすい、ユニバーサルデザインです。

  • 音の出る信号
 目が見えない方や色覚多様性に配慮して信号のサインを認識しやすいように用いられているのが音響効果です。鳥の鳴き声や音楽などの音が信号の変化を伝えてくれます。
 安全に道路を渡るための信号にもユニバーサルデザインが隠れています。

  • 多言語表記の看板
 街の案内板や美術館の説明などでよく目にする多言語表記。英語や中国語、韓国語などが日本語と一緒に書かれています。
 これは、言葉の異なる人でも内容がわかりやすいようにデザインされたものです。
 当たり前に目にしている看板や案内板に、どんな言語が使われているのかぜひ探してみてください。

3.災害時や防災の視点から見たユニバーサルデザイン

 毎日の暮らしのなかにも当たり前に広がっているユニバーサルデザインですが、地震などの災害時にもユニバーサルデザインはとても重要です。
 災害発生時に、高齢者や子どもなど災害弱者と言われる人も含めて、誰もが安全に避難できるような情報掲示や避難所の環境整備をする際の基準として、ユニバーサルデザインが幅広く活用され始めています。
 災害時や防災対策の場面で、ユニバーサルデザインがどんなふうに役立つのかを解説します。

3-1.災害現場のために考えられているユニバーサルデザイン

 地震や豪雨などの災害時に開設される避難所では、これまでの災害の経験を踏まえてさまざまなユニバーサルデザインが取り入れられつつあります。

 災害時は健康で体力のある人だけでなく、高齢の方や障害のある人、子どもなど、いろいろな人が避難所に集まります。
 だからこそ「誰もが安心できる環境」を整えることが命を守ることにつながります。

 避難所で取り入れられつつあるユニバーサルデザインには、次のようなものがあります。

  • 段ボールベッド
 段ボールベッドは、避難所で床に直接寝なくて済むので衛生的です。また、寝ている姿勢から立ち上がりやすく高齢者や介護が必要な人にやさしいデザインです。

  • 広いトイレや仕切りのあるトイレ
 避難所のトイレも、車いすや介助が必要な人、プライバシーを守りたい人にも対応した広さのあるトイレや仕切りのあるトイレが整備され始めています。

 ほかにも、絵や色で分かる案内表示など避難所にはさまざまな工夫が施され始めています。
 こうした工夫は、実は私たち自身が災害時に安心できる環境づくりでもあります。

3-2.日常でも災害時でも役立つユニバーサルデザイン

 日常時と災害時の両方で活用できるようにデザインされているものもあります。
 たとえば、普段から家の照明として使うことでバッテリーが自動で充電され、停電時には自動点灯するライトがあります。暗闇の中で懐中電灯を探す必要がないため事故や怪我を防止でき、電池切れの心配もありません。
 これは、「経験や知識を問わずに必要な時にすぐに使い方が理解できる」という、ユニバーサルデザインの条件にもかなった商品です。
 なかには、照明器具から外して懐中電灯として使えるものもあります。

 ユニバーサルデザインの視点から「どんな場面でも誰にでも使えるように」考えられて設計された商品は、私たちの暮らしに安心をもたらし、日常生活と災害時・緊急時双方の場面で役立つでしょう。

4.ユニバーサルデザインはSDGsとも関係している

 ユニバーサルデザインはSDGsの「誰一人取り残さない」という考え方とも深く関係しています。
 SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、2015年に国連で採択された世界共通の目標です。2030年までに「誰一人取り残さない」持続可能な社会を実現することを目的としています。

 最後に、SDGsとユニバーサルデザインの関係について解説します。

4-1.SDGsの視点で考えてみよう

SDGsが掲げる目標の中でも
  • 目標4「質の高い教育をみんなに」
  • 目標10「人や国の不平等をなくそう」
  • 目標11「住み続けられるまちづくりを」
 という目標は、ユニバーサルデザインがめざす考え方に関わっています。

 つまり、ユニバーサルデザインを考えたり暮らしに取り入れたりすることは、SDGsのめざす「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現にもつながっているのです。

4-2.SDGsの視点から取り入れられているユニバーサルデザイン

 たとえば、一部の飲食店では障害のある方や高齢の方も従業員として働き活躍できるよう、働く上で必要な情報が掲載されているマニュアルにユニバーサルデザインを取り入れています。

 また、皆さんが通っている学校で、教室のどこに何があるかをルール化して誰もが使いやすくしたりするのも、広い意味でのユニバーサルデザインの考えを取り入れたものと言えるでしょう。

 たとえば黒板消しやチョークの置き場所を決めておく、教材の棚にラベルを貼る、机の配置を一定に保つ——。こうした工夫も「誰もが迷わず使える」教室づくりのためのユニバーサルデザインだと思うと、少しだけ世界の見え方も変わってくるのではないでしょうか。

5.ユニバーサルデザインとSDGsを学んでみよう

 ユニバーサルデザインは、普段の生活だけでなく、災害のときにも役立つ工夫がたくさんあります。

 もしその考え方を知っていたら、毎日の暮らしやこれからの学びにも活かせますし、大切な家族や友人が笑顔で暮らせる世界になりますよね。

 今日お話ししたユニバーサルデザインやSDGsについてもっと知りたいと思った方は、関西福祉科学大学の新しい教育プログラム「ミライドプログラム」で学んでみませんか。福祉や教育、栄養などの専門的な学科の学びにミライドプログラムを加えることで、将来の可能性が広がります。

 「ミライドプログラム」では災害支援やユニバーサルデザインに関連して以下のようなことが学べます。

5-1.「安全の科学」

 「安全の科学」という授業では、「人間工学」を学びます。人間工学は、人がより安全で快適に生活できるように考える学問です。
 たとえば、椅子の高さや机の形、スマホの操作方法、駅の案内板のデザインなど、私たちが普段使っているものや環境には、人間工学の考え方が生かされています。

 つまり、今回お話しした「ユニバーサルデザイン」とも深く関係しているのです。

 安全の科学では、人間工学という学問分野を通じて、私たちの暮らしを取り巻く環境や身近な道具の使いやすさ、人との関わり、組織の仕組みなど、生活を支えるさまざまな要素やつながりを考えていきます。

5-2.「災害心理学」

 災害が発生し、避難生活を送る中で被災者はさまざまな心理的ストレスに直面します。
 恐怖や混乱といった心理状態に加えて、大切な人を失う経験や、いつ日常にもどれるのかといった不安など、災害時特有の心理状況を知ることは、防災対策や被災時への備えとして欠かせません。

 また、災害時に私たち人間がどんなふうに行動してしまうのかなど、避難時に被害を拡大させないための心理的なアプローチはユニバーサルデザインにも落とし込めるヒントがあるでしょう。

 災害心理学では、心理学の観点から災害やリスクを考え、防災教育や心のケアに必要な視点や考え方を学べます。

ユニバーサルデザインも学べる関西福祉科学大学へ!

 ユニバーサルデザインとは、年齢、性別、国籍、障害の有無にかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいように工夫されたデザインの考え方です。その背景には「誰もが安全で快適な生活を送れる社会をつくりたい」という考えがあり、SDGsの目標とも深くつながっています。

 関西福祉科学大学のミライドプログラムでは、学科の枠を超えてユニバーサルデザインや人間工学などについて学ぶことができ、誰もが安心して安全な日常生活を送ることやSDGsについての考えを深めることができます。

 「誰かの役に立ちたい」「もっといい未来を作りたい」と思う方は、ぜひ関西福祉科学大学で、新しい発見や、自分の可能性を広げるチャンスを見つけてみませんか?

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