心理学って何を学ぶの?
  • 2024.10.04

 心理学とは、人の心の動きや行動を科学的に解明する学問のことです。興味はあるけれど具体的に何を学ぶのか、何に役立つのかわからない方もいるでしょう。

 この記事では、心理学は具体的に何を学べるのか、どんな場面で役立つのかを詳しく紹介します。心理学を学ぶことで得られるメリットや学ぶ方法も解説するので、心理学に興味のある方はぜひ参考にしてください。

目次

心理学って何を学ぶの?どんな学問か分かりやすく解説

 心理学は具体的に何を学ぶのか気になっている方に向けて、どんな学問なのかをわかりやすく解説します。あわせて、どんな人が心理学を学んでいるかも紹介します。

心理学ってどんな内容を学ぶの?

 心理学とは、人間の心理や行動を科学的に解明する学問のことです。人間は日々の生活の中で、さまざまな感情を抱いたり行動したりします。

 例えば「勉強をしなさい」と言われると途端にやる気がなくなったり、旅行の前の日は楽しみで眠れなかったりした経験がある方も多いでしょう。このように、心と体は互いに影響しあっています。どのような心理からどのような行動が現れるかは、心理学で科学的に解明することが可能です。

 群集心理など社会や集団との関わりに関する心の動きを学ぶ「社会心理学」、人間の発達とともに変化する心の動きを探求する「発達心理学」、うつをはじめとした心の問題が起きる原因や解消方法を学ぶ「臨床心理学」などと、心理学は分野ごとに細かく分けられています。多くの分野の中から何の心理学を選ぶかで、学ぶ内容は変わってきます。

どんな人が心理学を学ぶの?

 心理学を学ぶ人は、悩みを持つ人をサポートしたいと考えていることが多いです。対人関係のトラブルや仕事に関するストレスなどが影響し、心身に不調を感じている人は少なくありません。臨床心理士や学校心理士、産業カウンセラーなど悩みを持つ人をサポートする職に就きたい人もいれば、家族や親しい友人など、身近な人の話を聞くときに活かしたい人もいます。

 また、社会貢献を目的に心理学を学ぶ人もいます。心理学は人の行動を促すのにも利用できるのが特徴です。

 例えば、災害時の避難誘導の声かけを工夫するだけで避難のスピードが上がり、多くの命を救える可能性があります。そのほか、犯罪心理学で犯罪が起こるメカニズムを研究することで、新たな犯罪を予防できるでしょう。

 さらに、自分のことをよく知りたい人も心理学を学ぶことが多いです。心理学を学ぶと、自分のことを客観視したり分析したりする力が身に付きます。自問自答を繰り返す「内観」ができるようになれば、自分の感情や思考がわかるようになるでしょう。

このように、心理学を学びたい人、学んだ人の理由は多岐にわたります。

心理学では具体的にどんな内容を学べる?

 心理学と一口に言っても、「社会心理学」「発達心理学」のようにさまざまな種類があり、それぞれで学べる内容が異なります。ここでは上記2つのほか、「臨床心理学」「犯罪心理学」「認知心理学」で学べる内容を紹介します。

社会心理学

 社会心理学では、個人が社会との関わりの中でどのような心の動きを見せるか、行動特性が見られるかを研究しています。社会心理学で示す「社会」は、国や地域、企業などの大きな枠組みから、友人・家族といった小さなコミュニティーも含まれます。

 具体的には集団の中で起こす振る舞いや互いに与える影響、コミュニケーション方法などを学ぶので、社会生活に役立てられるでしょう。周囲との人間関係を良好にしたい方、ビジネスで顧客に心理的アプローチをしたい方におすすめです。

 また、社会心理学は、近年問題視されている少子高齢化や経済格差といった社会的な動きが個人の心理や行動にどのような影響をもたらすのかも研究します。社会問題に興味がある方にもおすすめです。

発達心理学

 発達心理学とは、人間の成長過程の心理や行動、身体機能などの変化を研究する分野です。人間は乳幼児期、児童期、青年期と順を追って成長します。各発達段階で心がどのような成長を見せるのか、なぜ特定の行動をとるのかに注目して研究を進めます。

 また、心理的な変化は成熟期や老年期にも起きているため、老化に関する心理や行動についても理解を深められるのが特徴です。発達心理学を学んで発達段階ごとの知能や身体能力を理解しておけば、子どもの発達の遅れに気付きやすくなるでしょう。

 自分と年代が離れている人の心理や行動の特徴を知ることで、人間関係を円滑にすることも可能です。保育や教育など人の発達に関する仕事をしたい方や、子育てや対人関係の問題を解決したい方におすすめの心理学です。

臨床心理学

 臨床心理学は、心の問題が起きる原因やその解消法を研究する分野です。うつ病をはじめとした心の病や、不登校などの心の問題は何がきっかけで起きるのか、心の回復の支援には何が必要かを学びます。

 臨床心理学を活用する場面は、さまざまです。メンタルクリニックで心の病を患っている人の回復を助けたり、女性問題や高齢者の問題などを心理的側面から援助したりするほか、スクールカウンセリングで子どもと親のメンタルをケアする場面もあります。

 このように、医療、福祉、教育分野と活動領域が広いのが特徴です。他の心理学に比べて治療を目的とするため、実践的な場面が多いでしょう。

 心理的な面から誰かをサポートしたい方におすすめです。

犯罪心理学

 犯罪心理学とは、犯罪者の心理行動や動機を研究する分野です。人間の心理と犯罪には、深い関わりがあると考えられています。犯罪に至るまでの経験や家庭環境、人間関係などを調査してデータを集め、分析を行います。

 犯罪を引き起こすきっかけとなった出来事は何か、どのような心の動きがあったか、不可解な行動を起こしたときの心理状態はどうだったのかなどを細かく見ていけば、一定の傾向をつかむことが可能です。

 犯罪心理の研究によって、新たな犯罪の予防効果が期待できます。また、犯罪心理学は、犯罪者の更生にも役立ちます。

 犯罪が起きるまでのプロセスに興味がある方におすすめの心理学です。

認知心理学

 認知心理学は、人間の知的活動に関する人間心理を研究します。問題解決のプロセスや意思決定、言語発達や記憶など、研究対象が広いのが特徴です。認知心理学では、実験を行いながら学ぶ場面が多いです。

 例えば、学習や記憶、思考などに関する課題を遂行する過程を観察し、どのような行動に出るのかを研究します。また、あらゆる過程や出来事をどのように捉えるか、捉えた結果、どのような行動に移るのかを研究することもあります。

 人間の思考や行動のプロセスに興味のある方におすすめの分野です。

心理学を学ぶことで得られる5つのメリット

 心理学を学ぶと、日常生活のさまざまな場面で役立ちます。以下より心理学を学ぶ主なメリットを5つ解説します。

1. 悩みを持つ人をサポートできる

 心理学を学ぶと、人の悩みが生まれるメカニズムや対処方法を理解できるため、悩みを持つ人のサポートをすることが可能です。カウンセラーをはじめとした心理系の仕事に就き、さまざまな人を支援できます。心の問題と向き合うのは大変でもありますが、感謝される場面も多いでしょう。

 また、身近な人の悩みに寄り添い、サポートするのにも役立ちます。相手の心の動きを考えながら適切な言葉を選べるので、正しく導いたり、精神状態を楽にしたりする手助けができます。「あなたに相談してよかった」と、嬉しい言葉をもらえることもあるでしょう。

2. 自分を知ることができる

 心理学は、人の心の動きや行動を研究する学問です。そのため他者だけでなく、自分の心を分析するのにも利用できます。「少しでも注意されると極端に落ち込む自分」や「楽しくなると調子に乗りすぎて羽目を外してしまう自分」などの心の動きを客観的に把握・分析し、その理由を突き止めることが可能です。自分の心を理解できれば、心理学を使って改善方法も考えられます。

 また、自分の心の動きを客観視できると、思考パターンが掴めてきます。

 例えば「感情的になって怒りをぶつけてしまうパターン」「落ち込んでさらにミスを繰り返してしまうパターン」に気づくことが可能です。思考パターンがわかると偏った考えや思い込みを変えるなどして、自分の気持ちをある程度コントロールできます。自分を知り、よい方向に改善できるのは心理学を学ぶ大きなメリットといえるでしょう。

3. 人間関係を良好に保てる

 心理学を学ぶと、相手の言動や行動を心理学的な視点で理解できます。どのような心理なのかを判断できると、適切なコミュニケーションの取り方がわかるため、人間関係を良好に保てるでしょう。

 例えば、誰かに何かをお願いするときや注意するときにも相手の心理の動き方を考慮しながら内容を伝えられるので、受け入れてもらいやすくなります。相手との信頼関係を築いたり、苦手だった人との関係も改善できるのは大きなメリットです。

 また、対人関係のトラウマがある人は、不安や恐れを緩和することが可能です。人間不信で悩んでいた人も心理学を学び、トラウマを癒やしていけば、徐々に周囲との接触が怖くなくなるでしょう。

4. 就職するときや資格取得を目指すときに役立つ

 心理学を学ぶと、心理関係の仕事に就くのに役立ちます。就職先によっては、心理学の資格や知識がなくても働くことが可能です。

 しかし、心理関係の仕事は、繊細な人の心を扱うもののため、未経験者に任せるのは危険が伴います。そのため、心理学の知識や資格がある人のほうが採用されやすいのは間違いありません。スクールカウンセラーなどを目指すのなら、大学で心理学を学んでおくのがよいでしょう。心理学を専門的に学んだことを証明できます。

 また、心理学を学んでおくと、公認心理師の受験資格を得られます。ただし、受験資格は大学で特定の科目を履修しないと得られません。他の学び方では受験できない点には注意してください。

5. 問題行動を起こす経過がわかる

 問題行動を起こす経過がわかるのも、心理学を学ぶメリットの一つです。心理学を学ぶと、どのような背景や心の動きがあって問題行動が起きるのかを理解できます。

 原因がわかれば、同じ状況を作らないよう対策を取ることが可能です。もし、目の前の知人が問題行動を起こしそうな状態にあれば、適切なアプローチをして予防することもできます。子育てをする際に、子どもとの接し方や環境の作り方にも気を配ることで、問題行動を未然に防ぐこともできるでしょう。

心理学ってどこで学べるの?

 上述したように、心理学で学ぶメリットは大きいです。しかし、実際に心理学を学ぶにはどのような方法があるのか、どこで学ぶのか知らない方も多いでしょう。

 次からは心理学を学ぶ方法を3つお伝えします。心理学を学んでみたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

本を読んで学ぶ

 誰でも手軽に学べる方法は、本を読むことです。心理学の本は書店や図書館で手に入れられます。初心者向けのわかりやすいものから上級者向けの専門書まであるので、知識量にあわせて選ぶとよいでしょう。

 すでに興味のある専門分野を学ぶ場合は、複数の本を読むのがおすすめです。心理学は個人によって見解が異なる部分もありますが、何冊か読むと共通の情報が掴めてきます。

 まだ興味のある分野がわからないときは、テーマが異なる本を複数読んでみてください。さまざまな本を読めば、自分がどの分野に興味があるのかがわかります。興味のある分野を見つけておくと進路を決めやすくなるので、早いうちから本を読み始めるのがおすすめです。

大学で学ぶ

 心理学を専門的に学びたい場合は、大学に行くのがおすすめです。大学教授や講師など正しい知識を持った人から学べるため、誤った情報を覚える心配がありません。

 また、心理学の基礎から応用まで幅広く学べるのも大きなメリットです。「心理学とは」など初心者向けの講義から、徐々に応用的な内容にステップアップし、理解しやすいようにカリキュラムが組まれています。本などの独学だと学ぶ順番を誤ってしまい、うまく落とし込めないことも多いです。そのような心配がなく学べるのは大学のよいところといえます。

 なお、大学に通うと公認心理師の受験資格を得られたり、心理に関わる仕事への就職が有利になったりするメリットもあります。将来的に心理学に関する仕事に就きたい場合は、大学で学ぶのがよいでしょう。

通信講座や民間スクールで学ぶ

 通信講座や民間スクールでも心理学は学べます。大人になってから心理学に興味を持った方や、書籍の内容では物足りない方が受講することが多いです。通信講座は自宅でも学べるため、空き時間を活用しながら勉強を進められるでしょう。

 また、民間スクールは実践をしながら学べる点が大きなメリットです。知識を身につけるだけで終わらないため、学んだことを実生活で活かせるでしょう。

 ただし、民間スクールによってカリキュラムが異なります。複数の民間スクールの情報を集め、比較しながら選ぶのがおすすめです。

 なお、社会人になってからだと忙しく、学ぶ時間が作りにくくなります。興味があるなら高校卒業後に心理系の大学へ進学し、学び始めるのがよいでしょう。

心理学を学ぶなら大学への進学がおすすめ

 心理学は、人の心の動きをあらゆる側面から学ぶ学問です。悩みを持つ人をサポートできたり人間関係を良好に保てたり、自分の感情をコントロールできたりと、さまざまなメリットがあります。心理学と日々の生活は切っても切り離せない関係にあるため、学んでおいて損はないでしょう。また、医療や福祉、教育、経済など幅広い分野で活用でき、社会貢献につなげられるのも大きなメリットです。

 もし心理学に興味がある、学びたいと思うのなら、大学への進学がおすすめです。就職が有利になったり国家資格の受験資格を得られたりします。

 関西福祉科学大学の心理科学科なら、国家資格を持つ教員や実務に長けた教員の講義を受けられます。従来の分野はもちろん、「ポジティブ心理学」などの新分野についても学ぶことが可能です。興味のある方はぜひ関西福祉科学大学のホームページを確認してください。