正式名称:厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業(神経・筋疾患分野)「自律神経機能異常を伴い慢性的な疲労を訴える患者に対する客観的な疲労診断法の確立と慢性疲労診断指針の作成」研究班

2009年、厚生労働省疲労研究班誕生

 我々は、①現在の疲労診断基準は症状に基づく操作的診断法であり、客観性に欠けるため多くの医師からの信頼を得ることが出来ておらず、各地の疲労診療はうまく稼動していないこと、②このため、数百万人に及ぶと推測される慢性疲労患者が適切な治療を受けることができておらず、早急な疲労診療体制の見直しを切望していること、③日本疲労学会においても、上述のごとく疲労を客観的に評価できるようなバイオマーカーを確立し、そのバイオマーカーを用いた新たな診断指針の作成が急務であると決議していること、④欧米では、慢性疲労に対する病因・病態の解明、診断基準の改定、治療法の開発に向けた研究が国家レベルで進められているが、日本には公的に疲労の診断・治療法を検討する場が存在しないこと、などの理由から厚生労働省における疲労研究班の必要性を訴えてきた。

 その結果、2009年4月、厚生労働省に「疲労を訴える患者に対する客観的な疲労評価法の確立と診断指針の作成」(代表研究者:倉恒弘彦)を目指した研究班が発足した。この研究班では日本において疲労の研究や診療を行っている代表的な医師、研究者が集まり、生活者ニーズ対応研究「疲労・疲労感の分子病態メカニズムの解明とその対処法の開発」(代表研究者:渡辺恭良)の中で見出されてきたいくつかの客観的な疲労評価法のCFSに対する感度と特異度を検証するとともに、客観的な評価系を組み合わせて疲労の全体像を評価できる新たな診断法を策定することを目的としている。

 2010年8月現在、参加各施設におけるCFS患者や対象コントロール被験者の検体の採取や生理学的検査が順調に進められており、研究班が終了する2012年3月までに疲労を客観的に評価する手法とともにその疲労評価系を取り入れた新たな疲労診断指針が発表される予定である。

 

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