心療内科を受診する慢性疲労を訴える患者の診療、
客観的なバイオマーカーを用いた疲労の解析、うつ状態、種々の神経症状に関する研究
研究分担者 下村登規夫 国立病院機構 さいがた病院長
慢性疲労症候群においては、交感・副交感神経の不均衡が存在しており、深部反射が亢進している症例が多く、中枢神経系が強く発症に関与している可能性が示唆された。
慢性疲労症候群(CFS)では、交感・副交感神経機能異常について、客観的に評価を行う。頭痛・睡眠障害などの中枢神経障害を伴っており、中枢神経障害を示唆する客観的神経所見の把握を目的とした。
CFS患者76例、健常対照者37例を対象に検討した。きりつ名人にて、交感・副交感神経機能とバランスを検討し、深部反射についても検討した。
(倫理面への配慮)
連結不可能匿名化とし、倫理審査指針に従って行った。
CFS患者では、健常対照者に比較して心拍数が有意に多く、血漿BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値(CFS:13.9pg/mL、対照者: 99.3pg/mL)の有意な上昇を認め軽度の心不全状態が存在すると考えられた。深部反射の亢進が80%以上の症例で認められ、改善例では40%に減少していた。
CFS患者では、易疲労性・心悸亢進・睡眠異常・集中力低下などの中枢神経障害の症状に加えて自律神経症状も認められることが知られている。今回の検討で、交感・副交感神経のバランスに異常をきたしている可能性がみとめられた。このことが、軽度の心不全をCFS患者に起こさせたために血漿BNP値の上昇としてとらえられたものと考えられた。深部反射の亢進はCFS患者の80%で認められ、改善とともに深部反射も正常化していることから、中枢神経症状を反映していると考えられた。
CFS患者に自律神経異常ならびに中枢神経異常が存在する可能性は強く示唆されたが、日内変動との関連、重症度や治療による変化などについても検討を要すると考えられた。
これまでの研究で、特に問題となるものはない。
1. 論文発表
特になし
2. 学会発表
特になし
1. 特許取得
特になし
2. 実用新案登録
特になし
3.その他
特になし