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人とのつながりの中で意外な進展があるのが、おもしろいんです。

福祉栄養学科
村松 陽治

専門分野、研究テーマ

専門分野:栄養学、分子遺伝学
研究テーマ:個体レベルの栄養素の代謝を分子遺伝学的手法を用いて解明することを目指しています

なぜその研究テーマにしたのか

同じ性別・年齢・身長・体重の人で、同程度に食べ過ぎていても、あるいは同程度に運動不足でも、肥満や2型糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病になりやすい人もいれば、なりにくい人もいるのはなぜでしょうか。単純にそんなことを疑問に感じました。

人間の遺伝情報を保存する約30億塩基対のDNAには、約1,000塩基に1個の割合で塩基の並び(塩基配列)に個人間で違いがあることがわかっています。ひとつひとつの塩基配列の違いによる影響は大きくありませんが、それらが組み合わさって遺伝することにより栄養素の利用に差が生じ、個人レベルで太りやすくなったり特定の生活習慣病に罹りやすくなったりすると考えられています。

肥満や2型糖尿病などの生活習慣病と関連する塩基配列の違いを分子遺伝学的手法によって検出し、それがなぜ栄養素の利用に影響を及ぼすのかを解明することにより、栄養素の代謝機構に新しい知見をもたらすことができるのではないかと期待しています。

どこが面白いと思われてるポイントなのか

人とのつながりの中で意外な進展があるということですね。肥満研究に使用していたOLETFという系統のラットには、肥満する際に筋肉内にも脂肪組織が多く発生するという特徴があります。実は、この筋肉内脂肪交雑という現象は、牛肉では“サシが入る”あるいは“霜降り”などと呼ばれ、畜産業界では非常に高く評価されているのです。

一見、畑違いと思われるような畜産領域の研究者との共同研究で、OLETFラットの肥満に関わる遺伝子のひとつが、黒毛和種牛では筋肉内脂肪交雑=霜降りを引き起こしている可能性があるという結果を得ています。このよう なサシが入りやすい遺伝子の型をもつ牛だけを選抜して交配をかけていけば、いずれ安価な肉牛でもおいしい肉質が実現できるのではないかと期待しています。将来、霜降り肉が安くなったために食べ過ぎる人が増えると、それがまた生活習慣病の増大につながるかもしれない、というジレンマを少し感じながら共同研究に取り組んでいます。

担当科目について

「基礎栄養学」分野の科目を主に担当しています。「基礎栄養学」は、人間と栄養素との基本的な関わりを理解するための栄養学の基盤をなしている分野です。具体的には、健康の保持・増進と栄養の関係、ならびにエネルギーや各種栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなど)の消化吸収、体内での代謝、生理的意義などについて学びます。 人間と栄養素の関係の基本がしっかり身についていれば、後に学ぶライフステージごとの適切な栄養、疾病と栄養の関係、栄養管理(栄養ケア・マネジメント)と栄養教育の適切な方法などがスムーズに理解できるでしょう。「基礎栄養学」は、ややもするととっつきにくい印象を持たれがちな分野ですが、本当は勉強しがいがあって、理解すればするほど栄養学全体を面白く感じることができる、そんな分野であると思っています。

大学前を流れる原川沿いを、栄養学者らしく歩く。

毎日ではないのですが、ウォーカーになります。大学からの帰路、遠回りしながら、1分あたり100 mを超える速さで、一日の総歩数が10,000歩程度になるまで歩きます。授業の改善点、研究の進捗状況と計画、ゼミナールに配属された学生達の様子など、日々の様々な懸案事項に思いを巡らせながら、ひたすら早足で歩くようにしています。 大和川沿いの府道からわかれて近鉄河内国分駅近辺を通り、本学前を経て原川親水公園に至る原川沿いの道を、哲学の道ならぬ「栄養学の道」と内心で勝手に名付け、その周辺を中心にあちらこちらを歩いています。春先には川辺の夜桜が風に舞い散り、初夏には蛍に出会うこともありました。思考に没頭しながら歩き続け、ふと我に返ると見知らぬ場所に立っていて仰天し、恥ずかしい思いをすることもしばしばです。そんな時には、一人苦笑しながら「少なくとも『健康づくりのための身体活動基準 2013』の身体活動量の基準の一日あたりの目安は満たせたかな」とつぶやいて、気恥ずかしさをごまかしています。

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